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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】
凛は、戻るんだよな【拓夢】
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俺は、凛の髪を優しく撫でる。
「変わりたくてきたんだな、凛」
俺の言葉に、凛は俺を見つめる。
「龍次郎さんと生きてくって決めたんだな」
凛の目に、ゆっくりと涙が溜まっていく。
「凛は、戻るんだよな」
凛は、ゆっくりと頷いた。
「わかった」
最初から、勝ち目などない恋だった。そうだとわかっていながらも悲しい。
「拓夢、ごめんね」
凛は、そう言って俺の涙を拭ってくれる。
「謝らなくていいって言ってるだろ?最初から、わかっていながら…。俺は、凛を愛したんだから」
俺は、笑いながら凛を覗き込んだ。
「龍ちゃんを選ぶくせに、私は拓夢の愛まで欲しがってる。わがままだよね」
「いいんだよ」
俺は、凛の頬を優しく撫でる。蓮見が付けた性への嫌悪感と体を捧げないと愛をもらえない気持ち。それは、結婚した凛にも根深い傷になってる。
「同じじゃないのなんて、言われなくてもわかってるんだよな」
俺は、凛の涙を指先で拭った。龍次郎さんが、蓮見とは違うのなんて凛はわかって結婚したんだと思う。
さっき、龍ちゃんや俺も自分をいらないのと言った言葉に…。凛は、初めてを手放した日の後悔と蓮見との日々を思い出したのがわかった。
「拓夢、わがままばかり言ってごめんね」
「言っていいんだよ、凛。凛がわがままを言ったっていなくなったり何てしないよ!俺も龍次郎さんも…」
凛にわがままを言えなくしたのは、蓮見との日々だったんだと思う。それでも、凛は凛なりに龍次郎さんにぶつけてきたのがわかる。だけど、お互い不器用で優しくて拭いきれなかったんだよな。俺は、凛の唇を指で優しくなぞった。
「キスしていい?」
「うん」
俺は、ゆっくりと唇を重ねる。
【星村さん、どうか妻の傷を拭ってもらえませんか?俺には、出来ないけれど…。星村さんなら、凛を心から笑わせてあげれると思うんです】
龍次郎さんの手紙の文字が頭を流れていく。
俺は、凛の唇からゆっくり離れる。
俺と凛は、「フッ」って二人で笑い合った。
「餃子、一緒に作りたい」
俺は、凛の左の耳たぶを触(さわ)って言った。
「いいよ」
照れ臭くて恥ずかしくてくすぐったい。そんな気持ちが身体中を駆け抜ける。
「してない時って、どうしてたかな?」
俺は、そう言って凛に笑った。
「わからないね」
凛もそう言って笑ってくれる。
「リビング行こう」
俺は、凛の手を握りしめてリビングに引っ張って行く。
「拓夢、私の事、好き?」
「好き」
確かめずには、いられない程にすり減ってる凛の心を感じる。
「拓夢、私を好きでいてって言ったら重たいよね」
「重たくなんかない」
リビングの扉を開けてキッチンに行く。
「拓夢」
「愛してる、凛」
凛は、俺を見つめて笑ってくれた。愛してるって、たった五文字の言葉を凛の心に響かせられないなんて…。俺は、歌手じゃないんだなって思う。
「拓夢、もっと沢山言ってくれる?」
わがままな女の子みたいに凛は、そう言って笑ってる。それが、堪らなく愛しくて俺は凛を抱き締めていた。
「変わりたくてきたんだな、凛」
俺の言葉に、凛は俺を見つめる。
「龍次郎さんと生きてくって決めたんだな」
凛の目に、ゆっくりと涙が溜まっていく。
「凛は、戻るんだよな」
凛は、ゆっくりと頷いた。
「わかった」
最初から、勝ち目などない恋だった。そうだとわかっていながらも悲しい。
「拓夢、ごめんね」
凛は、そう言って俺の涙を拭ってくれる。
「謝らなくていいって言ってるだろ?最初から、わかっていながら…。俺は、凛を愛したんだから」
俺は、笑いながら凛を覗き込んだ。
「龍ちゃんを選ぶくせに、私は拓夢の愛まで欲しがってる。わがままだよね」
「いいんだよ」
俺は、凛の頬を優しく撫でる。蓮見が付けた性への嫌悪感と体を捧げないと愛をもらえない気持ち。それは、結婚した凛にも根深い傷になってる。
「同じじゃないのなんて、言われなくてもわかってるんだよな」
俺は、凛の涙を指先で拭った。龍次郎さんが、蓮見とは違うのなんて凛はわかって結婚したんだと思う。
さっき、龍ちゃんや俺も自分をいらないのと言った言葉に…。凛は、初めてを手放した日の後悔と蓮見との日々を思い出したのがわかった。
「拓夢、わがままばかり言ってごめんね」
「言っていいんだよ、凛。凛がわがままを言ったっていなくなったり何てしないよ!俺も龍次郎さんも…」
凛にわがままを言えなくしたのは、蓮見との日々だったんだと思う。それでも、凛は凛なりに龍次郎さんにぶつけてきたのがわかる。だけど、お互い不器用で優しくて拭いきれなかったんだよな。俺は、凛の唇を指で優しくなぞった。
「キスしていい?」
「うん」
俺は、ゆっくりと唇を重ねる。
【星村さん、どうか妻の傷を拭ってもらえませんか?俺には、出来ないけれど…。星村さんなら、凛を心から笑わせてあげれると思うんです】
龍次郎さんの手紙の文字が頭を流れていく。
俺は、凛の唇からゆっくり離れる。
俺と凛は、「フッ」って二人で笑い合った。
「餃子、一緒に作りたい」
俺は、凛の左の耳たぶを触(さわ)って言った。
「いいよ」
照れ臭くて恥ずかしくてくすぐったい。そんな気持ちが身体中を駆け抜ける。
「してない時って、どうしてたかな?」
俺は、そう言って凛に笑った。
「わからないね」
凛もそう言って笑ってくれる。
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俺は、凛の手を握りしめてリビングに引っ張って行く。
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「好き」
確かめずには、いられない程にすり減ってる凛の心を感じる。
「拓夢、私を好きでいてって言ったら重たいよね」
「重たくなんかない」
リビングの扉を開けてキッチンに行く。
「拓夢」
「愛してる、凛」
凛は、俺を見つめて笑ってくれた。愛してるって、たった五文字の言葉を凛の心に響かせられないなんて…。俺は、歌手じゃないんだなって思う。
「拓夢、もっと沢山言ってくれる?」
わがままな女の子みたいに凛は、そう言って笑ってる。それが、堪らなく愛しくて俺は凛を抱き締めていた。
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