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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】

待つ時間【拓夢】

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俺は、凛に連絡をしてから、暫くボッーとしていた。

「落ち着かない」

本当に凛が来てくれるかわからないから、ソワソワする。

さっきの手紙を読み返す。龍次郎さんからの妻に会って欲しいという切実な願い。何かあったのがわかった。

「あー、無理だ」

俺は、コートを着て、財布とスマホをポケットに入れた。家を出て、鍵を閉めて歩き出す。もしも、凛が来たことを考えて買い物に行こうと決めたのだ。
それと、五日間の休み全部、店屋物も嫌だなと思った。

駅前のスーパーについて、かごをカートに乗せて歩いて行く。

玉ねぎとじゃがいもと人参とキャベツぐらいあったらいいか?後、大根ぐらい買っとくか!それから、納豆と豆腐だろ。で、鮭と豚肉と鶏肉と…。いや、豚ミンチと合挽きミンチを買って、豚肉と鶏肉はやめよう。
頭の中で、色々考えながら俺はかごにいれていく。胡麻油とカフェインレスの紅茶買っとくか!わかめだろ。あっという間にかごはいっぱいになった。

あー、タクシーだな。

焼酎と500mlのビールをケースで買っとくか!タクシーだと決めたら、あっさりケースを手に取れた。
適当に、乾きものを入れてレジに行く。

「袋は、いりますか?」

「お願いします」

「何枚おつけしますか?」

「三枚で」

「わかりました」

そう言って、店員さんはレジをピッピッとしていた。お会計を終えて、俺はスマホを取り出してタクシーを呼んだ。タクシーが来るまでに荷物をつめる。

詰め終わって、スーパーを出るとタクシーが来ていた。荷物を乗せてもらって家に帰宅してきた。ただ、ついてからが大変だった。
タクシーの運転手におろしてもらったのはいいがビールのケースを持てそうになかった。

「最悪だ」

ため息をついた俺の前に、「星村さん、お久しぶりですね」管理人さんが現れた。

「持ちましょうか?」

「あっ、すみません」

管理人さんは、ビールのケースを持ってくれた。

「パーティーですか?」

「違います」

「そうなんですね!」

管理人さんは、驚いた顔で俺を見つめた。

「五日間、こっちにいるので」

その言葉に安心した顔を管理人さんにされた。

「すみませんでした。そこで、大丈夫です。助かりました」

俺は、家の前にビールケースを管理人さんに置いて下さいと頼んだ。

「よかったですよ!電球交換して帰る所だったんで」

「管理人さん、五日後には、ここ引き払う予定です。お世話になりました」

「そうでしたか!こちらこそ、今までありがとうございます。頑張って下さいね」

「はい」

「失礼します」

管理人さんは、軽く頭を下げていなくなってしまった。俺は、玄関の鍵を開けて買い物袋を置いた。

ビールケースを取ってから、玄関の鍵を閉めた。

「お米、二キロにしててよかったな」

俺は、そう言って袋を持ってリビングに行く。
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