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エピローグ【凛と拓夢の話】

話をする【凛】

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「まだ、何も話してないのに泣かないでよ」

相沢さんに指定されたお店について、龍ちゃんは車を停めながらそう言った。

「ごめんね」

私は、鞄からハンカチを取り出して涙を拭った。

「ちゃんと聞くから、凛の話」

「わかった」

私と龍ちゃんは、車を降りる。もう、後戻りする事は出来なくて…。私は、胃の痛みが酷くなるのを感じていた。

「こんにちは」

入り口で相沢さんと智天使(ケルビム)のボーカルさんに会った。

「こんにちは」

「行きましょうか」

「はい」

相沢さんと、龍ちゃんが言葉を交わして私達四人はついていく。

「いらっしゃいませ。こちらへ」

店員さんにそう言われて案内されたのは、個室だった。そう言えば入り口に中華料理【華】と書かれていた。円卓を囲みながら私達四人は席についた。

「せっかくなんで、お話が終わったら、お昼ご飯を食べませんか?」

「はい」

相沢さんの提案に龍ちゃんは、そう言った。

「まずは、自己紹介ですね!私は、相沢と言います。そして、彼がはやとと言います」

「初めまして」

そう言って、はやとさんはお辞儀をして来た。

「初めまして。私が、皆月龍次郎で、妻の凛です」

龍ちゃんの言葉に私は、頭を下げた。

「堅苦しいのは、やめましょうか。お互い、気楽に話す方がいいですね」

相沢さんは、そう言って笑った。

「そうですね」

龍ちゃんも、そう言って笑った。

コンコンー

「お待たせしました」

店員さんが、ホットコーヒーを4つ持ってきてくれた。

「失礼しました」

お辞儀をして、店員さんは部屋を出ていく。

「それじゃあ、話しましょうか」

店員さんがいなくなって、相沢さんが切り出した。

「はい」

龍ちゃんの言葉に相沢さんは、「ここからは、はやてが聞きたい事を聞いてもいいですか?」と言ってきた。

「勿論です。どうぞ」

そう言って、龍ちゃんは頷いていた。

「じゃあ、はやて。聞きたい事を聞きなさい。俺は、黙ってるから」

そう言って、相沢さんはどうぞと手を差し出した。

「わかりました」

はやてさんは、そう言うと話し出す。

「えっと、凛さんと呼んでいいですか?」

「はい」

私は、はやてさんにそう言われて頷いた。

「では!凛さんにお聞きします」

「はい」

「拓夢とは、どうして不倫関係になったのでしょうか?」

はやてさんは、そう言って私をジッと見つめながら言う。

「えっと、そうですね。星村さんと出会ったのは、不妊治療をもう出来ないと病院に言われて、友人の妊娠報告を聞いた帰りでした」

私は、まだ、きちんと癒えてない傷を掘り起こす。胸と胃がギュッギュッと締め付けられるのを感じる。


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