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エピローグ【凛と拓夢の話】
過ぎていく時間【拓夢】
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俺は、その言葉に頷いていた。
「どんな人だった?」
「凄くいい人だった」
「それだけ?」
「神様とか仏様みたいな人」
俺は、そう言って珈琲を飲んだ。
「そうだろうな…」
しゅんの言葉に俺は、しゅんを驚いた顔で凝視した。
「いやいや、会った事はないよ。ただ、凛さんが電話してた時。めちゃくちゃいい顔してたから…。何て言うか穏やかって言うか、何か難しいけどさ…」
しゅんは、そう言いながら珈琲を飲んだ。
「俺、凛と旦那さんの時間を邪魔しないよ!」
「それって、美沙ちゃんと向き合うって事?」
「まあ、ちゃんと答えが出るまでは…」
「拓夢が決めたなら、応援するよ」
そう言って、しゅんは笑ってくれる。
「兎に角、今はやるべき事やって!SNOWROSEのデビューに向けて頑張るしかないな」
「そうだな」
俺としゅんは、拳を当てて笑った。
それから、他愛ない話をやり取りしてしゅんは帰宅して行った。
ピンポーンー
「はい」
次に現れたのは、美沙だった。
「ご飯食べない?」
「いいよ」
俺は、美沙を家にあげる。
「キッチン使ってもいい?」
「どうぞ」
本当は、凛との思い出を消すみたいで嫌だった。
「あのね」
「なに?」
玉ねぎを剥きながら、美沙が言う。
「体の関係は、なくていいから…。キスだってしないから。だから、ただ拓夢とこんな風に過ごしたい。駄目かな?」
その言葉に俺は、「わかった」と言った。
「ありがとう、拓夢」
「いや」
美沙を普通に戻す事が、今の俺のやるべき事なのも知れない…。
それから、時間は流れるように進んでいく。
俺は、凛に会わないまま生活を続けた。
まっつんやかねやんやしゅんには、会って飲んだ時に「やっぱり凛がいなきゃ無理だ」と泣きながら言っていたようで…。次の日、かねやんに拓夢落ちてるのかって心配の連絡がきたりもした。
美沙とは、相変わらずの日々を過ごした。美沙は、ただご飯を一緒に食べたりするだけの日々だけで満足しているようだった。
掲示板は、炎上と削除を繰り返しながらも、存在し続けていた。
そして、凛と会わなくなって二週間以上の月日が流れていた。
『今日は、SNOWROSEに大切な話があるんだ』
相沢さんからの連絡を受けて、俺達は事務所に来ていた。
「おはようございます」
「おはよう」
相沢さんは、俺達を事務所の一角にある部屋に連れて行く。
俺達が、部屋に入ると三上さんと呼ばれる女の人が珈琲を並べ終えた所だった。
「ありがとう」
「はい、失礼します」
そう言って、三上さんはいなくった。
相沢さんは、俺達にプリントを渡してきた。
「クリスマスのデビューイベントの話をしようと思ってね」
相沢さんにそう言われて、俺達は全員、椅子に座った。
「どんな人だった?」
「凄くいい人だった」
「それだけ?」
「神様とか仏様みたいな人」
俺は、そう言って珈琲を飲んだ。
「そうだろうな…」
しゅんの言葉に俺は、しゅんを驚いた顔で凝視した。
「いやいや、会った事はないよ。ただ、凛さんが電話してた時。めちゃくちゃいい顔してたから…。何て言うか穏やかって言うか、何か難しいけどさ…」
しゅんは、そう言いながら珈琲を飲んだ。
「俺、凛と旦那さんの時間を邪魔しないよ!」
「それって、美沙ちゃんと向き合うって事?」
「まあ、ちゃんと答えが出るまでは…」
「拓夢が決めたなら、応援するよ」
そう言って、しゅんは笑ってくれる。
「兎に角、今はやるべき事やって!SNOWROSEのデビューに向けて頑張るしかないな」
「そうだな」
俺としゅんは、拳を当てて笑った。
それから、他愛ない話をやり取りしてしゅんは帰宅して行った。
ピンポーンー
「はい」
次に現れたのは、美沙だった。
「ご飯食べない?」
「いいよ」
俺は、美沙を家にあげる。
「キッチン使ってもいい?」
「どうぞ」
本当は、凛との思い出を消すみたいで嫌だった。
「あのね」
「なに?」
玉ねぎを剥きながら、美沙が言う。
「体の関係は、なくていいから…。キスだってしないから。だから、ただ拓夢とこんな風に過ごしたい。駄目かな?」
その言葉に俺は、「わかった」と言った。
「ありがとう、拓夢」
「いや」
美沙を普通に戻す事が、今の俺のやるべき事なのも知れない…。
それから、時間は流れるように進んでいく。
俺は、凛に会わないまま生活を続けた。
まっつんやかねやんやしゅんには、会って飲んだ時に「やっぱり凛がいなきゃ無理だ」と泣きながら言っていたようで…。次の日、かねやんに拓夢落ちてるのかって心配の連絡がきたりもした。
美沙とは、相変わらずの日々を過ごした。美沙は、ただご飯を一緒に食べたりするだけの日々だけで満足しているようだった。
掲示板は、炎上と削除を繰り返しながらも、存在し続けていた。
そして、凛と会わなくなって二週間以上の月日が流れていた。
『今日は、SNOWROSEに大切な話があるんだ』
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「おはようございます」
「おはよう」
相沢さんは、俺達を事務所の一角にある部屋に連れて行く。
俺達が、部屋に入ると三上さんと呼ばれる女の人が珈琲を並べ終えた所だった。
「ありがとう」
「はい、失礼します」
そう言って、三上さんはいなくった。
相沢さんは、俺達にプリントを渡してきた。
「クリスマスのデビューイベントの話をしようと思ってね」
相沢さんにそう言われて、俺達は全員、椅子に座った。
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