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エピローグ【凛の話5】
それは、あなたの…
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龍ちゃんは、その言葉に凛君の母親を見つめてこう言った。
「妻がですか?仮にも、彼は男ですよ。非力な妻とは違います」
「なーにが、非力よ!そんなの凛に決まってるじゃない」
龍ちゃんの言葉に、凛君の母親はケラケラと笑いだす。
「何がおかしいのでしょうか?彼が妻に強引に迫ったのでしょう。そんなの俺にはわかりますよ。妻は、未成年に何て手を出すわけがない。妻を力でねじ伏せようとしたのではありませんか?」
「ふざけんじゃないわよ」
凛君の母親は、声をあらげて龍ちゃんを睨み付ける。
「平田凛太郎君、本当の事を話してくれますか?」
龍ちゃんは、優しい声でそう言った。
「僕は、凛さんに無理矢理キスをしました。それは、この日では、ありません。星村さんに阻止されました。でも、僕は凛さんとエッチがしたいと思った。だから、力に任せて凛さんにキスをした」
「ふざけんじゃないわよ!何言ってのよ!凛。こんな女かばってんじゃないわよ」
バシャッ……
えっ?
私は、コーヒーをかけられた。
「自分の息子が認めていると言うのに何するんですか!」
龍ちゃんは、凛君のお母さんに声をあげた。
「大丈夫ですか?」
その声に、店員さんがやってきた。
「すみません。タオルを…」
「ああー、待って下さい」
そう言って、店員さんはおしぼりをたくさん持ってきてくれた。
「アイスコーヒーを追加できますか?」
「はい」
店員さんは、急いでいなくなった。
「大丈夫か?」
龍ちゃんは、そう言って私の髪や服をおしぼりで拭いてくれる。私は、鞄からハンカチを取り出して顔を拭いた。情けなくて涙が出てくる。透けたシャツからブラジャーが浮かんでる。ダサい。龍ちゃんは、立ち上がってスーツの上着を脱ぐと私に着せてくれた。
「汚れるから」
「大丈夫。気にするな」
そう言われて、私は龍ちゃんのスーツを着る。龍ちゃんの匂いがする。
「コーヒーお待たせしました」
「ありがとう。おしぼりごめんね」
「大丈夫ですよ」
店員さんは、お辞儀をしていなくなった。
「どうぞ」
凛君のお母さんは、苛立ちを隠せずにいるようだった。
「もう、これ以上の話し合いは無理そうですね」
龍ちゃんは、そう言うと立ち上がる。
「凛、帰ろう」
「うん」
私達が立ち上がろうとすると「ちょっと待って下さい」凛君が龍ちゃんにそう言った。
「もう、君の話を聞く必要はないよ。妻が申し訳ない事をしたね。君を傷つけただろう?」
その言葉に、凛君はボロボロ泣いている。
「そんな事してない!僕が、凛さんに抱かれたかったんだよ。凛さんは、何も悪くない」
その言葉に、龍ちゃんは名刺を差し出した。
「慰謝料を請求していただけたら助かります。君の心や体を傷つけたお詫びにはならないと思うけれど」と言った。
「違うって言ってます。僕は、望んで」
「お母さんは、そうは思っていませんよ」
龍ちゃんは、凛君にそう言うと私の腕を掴んだ。
「では、失礼します」
深々と頭を下げて、歩き出す。龍ちゃんの掴んだ手が震えているのがわかった。お会計を払って喫茶店を後にする。
「妻がですか?仮にも、彼は男ですよ。非力な妻とは違います」
「なーにが、非力よ!そんなの凛に決まってるじゃない」
龍ちゃんの言葉に、凛君の母親はケラケラと笑いだす。
「何がおかしいのでしょうか?彼が妻に強引に迫ったのでしょう。そんなの俺にはわかりますよ。妻は、未成年に何て手を出すわけがない。妻を力でねじ伏せようとしたのではありませんか?」
「ふざけんじゃないわよ」
凛君の母親は、声をあらげて龍ちゃんを睨み付ける。
「平田凛太郎君、本当の事を話してくれますか?」
龍ちゃんは、優しい声でそう言った。
「僕は、凛さんに無理矢理キスをしました。それは、この日では、ありません。星村さんに阻止されました。でも、僕は凛さんとエッチがしたいと思った。だから、力に任せて凛さんにキスをした」
「ふざけんじゃないわよ!何言ってのよ!凛。こんな女かばってんじゃないわよ」
バシャッ……
えっ?
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龍ちゃんは、凛君のお母さんに声をあげた。
「大丈夫ですか?」
その声に、店員さんがやってきた。
「すみません。タオルを…」
「ああー、待って下さい」
そう言って、店員さんはおしぼりをたくさん持ってきてくれた。
「アイスコーヒーを追加できますか?」
「はい」
店員さんは、急いでいなくなった。
「大丈夫か?」
龍ちゃんは、そう言って私の髪や服をおしぼりで拭いてくれる。私は、鞄からハンカチを取り出して顔を拭いた。情けなくて涙が出てくる。透けたシャツからブラジャーが浮かんでる。ダサい。龍ちゃんは、立ち上がってスーツの上着を脱ぐと私に着せてくれた。
「汚れるから」
「大丈夫。気にするな」
そう言われて、私は龍ちゃんのスーツを着る。龍ちゃんの匂いがする。
「コーヒーお待たせしました」
「ありがとう。おしぼりごめんね」
「大丈夫ですよ」
店員さんは、お辞儀をしていなくなった。
「どうぞ」
凛君のお母さんは、苛立ちを隠せずにいるようだった。
「もう、これ以上の話し合いは無理そうですね」
龍ちゃんは、そう言うと立ち上がる。
「凛、帰ろう」
「うん」
私達が立ち上がろうとすると「ちょっと待って下さい」凛君が龍ちゃんにそう言った。
「もう、君の話を聞く必要はないよ。妻が申し訳ない事をしたね。君を傷つけただろう?」
その言葉に、凛君はボロボロ泣いている。
「そんな事してない!僕が、凛さんに抱かれたかったんだよ。凛さんは、何も悪くない」
その言葉に、龍ちゃんは名刺を差し出した。
「慰謝料を請求していただけたら助かります。君の心や体を傷つけたお詫びにはならないと思うけれど」と言った。
「違うって言ってます。僕は、望んで」
「お母さんは、そうは思っていませんよ」
龍ちゃんは、凛君にそう言うと私の腕を掴んだ。
「では、失礼します」
深々と頭を下げて、歩き出す。龍ちゃんの掴んだ手が震えているのがわかった。お会計を払って喫茶店を後にする。
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