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エピローグ【凛の話4】
幸せな時間
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「もう、また暗くなるんだから」
私は、カフェインレスコーヒーのドリップを取る。
「本当は、鉄瓶で沸かしたお湯で飲むのはよくないけど。今日は、パンだから許してね」
鉄瓶で沸かすお湯は、まろやかだから美味しい。だから、コーヒーも美味しくなるのを一度やったから知っていた。私は、カップにお湯を注いでいく。
何でも「羨ましいー」と言えれば楽だったかな?
赤ちゃんが欲しいのを鬱々と悩み、お祖母ちゃんに生きて欲しいのを鬱々と悩み…。私は、いつだって鬱々していた。
鉄瓶を置いた。ドリップしたコーヒーは、いい匂いがしてる。
「あまーい、カフェオレにしよう」
私は、牛乳と甜菜糖を取り出した。大きめのカップにカフェオレを作る。
私の鬱々を解放してくれたのは、龍ちゃんなんです。誰に言うわけでもなく心で呟いた。
「メロンパンとソーセージのパン、温めよう」
トースターに2つをいれて、少しだけチンした。昔、お母さんによく怒られた。
「凛!また、パン焦がしてるって」
懐かしくて笑いが出る。私は、パンを焦がす天才だった。
「これぐらいかな」
チンと鳴らして、パンを取り出した。
パンを焦がす天才が、今じゃご飯を作れちゃうなんてね!
私は、トレーにカフェオレとパンを乗っけてダイニングテーブルに持っていく。ダイニングの椅子に座って、テーブルにスマホを置いた。
「いただきます」
そう言ってから、パンを食べ始めようとした時だった。
ブー、ブー
私は、スマホを見つめる。母からだった。
「もしもし」
嫌な予感で、胸がザワザワする。
『凛。めぐちゃんのお母さんが入院したのよ』
「えっ?」
『たいした事ないらしいんだけど…。結婚式出てもらったりしてるでしょ?だから、お見舞いに…』
母は、言いづらそうにしている。
「いつまで、入院してるの?」
『二ヶ月ぐらいみたいなの』
「お見舞いに行ってって事だよね?」
母にたいして、口調がきつくなるのを感じていた。
『うん。やっぱり、そう言うのはちゃんとしなきゃってお母さん思うから』
何がちゃんとだ!叔父の葬式は、わけのわからないぎっくり腰で出席しなかったではないか!喉元までやってきた言葉を飲み込んだ。
「わかった。龍次郎さんと時間を合わせて行くから」
『よかった。いつでもいいのよ!退院するまでにお願いね。じゃあ、またね。凛ちゃん』
「はい」
母が凛ちゃんと呼ぶ時は、嬉しい時なのを私は知っている。今のは、私の顔を立ててくれてありがとうって事なのがわかる。
「もう、会いたくないのに!」
私は、イライラと鬱々を抱えながらメロンパンを噛った。
ほのかに広がる甘味と柔らかい食感に、今の気持ちが消えていくのを感じる。私は、拓夢がくれた写真を見つめる。めぐちゃんに会うときっと心が壊れる。それでも、行かなくちゃならないなんて。
「酷いよ、お母さん。私の気持ちわかってるくせに…」
子供を切望してる娘の気持ちを母はわかってるはずだ。ううん。わかっていると私は信じていたかった。
私は、カフェインレスコーヒーのドリップを取る。
「本当は、鉄瓶で沸かしたお湯で飲むのはよくないけど。今日は、パンだから許してね」
鉄瓶で沸かすお湯は、まろやかだから美味しい。だから、コーヒーも美味しくなるのを一度やったから知っていた。私は、カップにお湯を注いでいく。
何でも「羨ましいー」と言えれば楽だったかな?
赤ちゃんが欲しいのを鬱々と悩み、お祖母ちゃんに生きて欲しいのを鬱々と悩み…。私は、いつだって鬱々していた。
鉄瓶を置いた。ドリップしたコーヒーは、いい匂いがしてる。
「あまーい、カフェオレにしよう」
私は、牛乳と甜菜糖を取り出した。大きめのカップにカフェオレを作る。
私の鬱々を解放してくれたのは、龍ちゃんなんです。誰に言うわけでもなく心で呟いた。
「メロンパンとソーセージのパン、温めよう」
トースターに2つをいれて、少しだけチンした。昔、お母さんによく怒られた。
「凛!また、パン焦がしてるって」
懐かしくて笑いが出る。私は、パンを焦がす天才だった。
「これぐらいかな」
チンと鳴らして、パンを取り出した。
パンを焦がす天才が、今じゃご飯を作れちゃうなんてね!
私は、トレーにカフェオレとパンを乗っけてダイニングテーブルに持っていく。ダイニングの椅子に座って、テーブルにスマホを置いた。
「いただきます」
そう言ってから、パンを食べ始めようとした時だった。
ブー、ブー
私は、スマホを見つめる。母からだった。
「もしもし」
嫌な予感で、胸がザワザワする。
『凛。めぐちゃんのお母さんが入院したのよ』
「えっ?」
『たいした事ないらしいんだけど…。結婚式出てもらったりしてるでしょ?だから、お見舞いに…』
母は、言いづらそうにしている。
「いつまで、入院してるの?」
『二ヶ月ぐらいみたいなの』
「お見舞いに行ってって事だよね?」
母にたいして、口調がきつくなるのを感じていた。
『うん。やっぱり、そう言うのはちゃんとしなきゃってお母さん思うから』
何がちゃんとだ!叔父の葬式は、わけのわからないぎっくり腰で出席しなかったではないか!喉元までやってきた言葉を飲み込んだ。
「わかった。龍次郎さんと時間を合わせて行くから」
『よかった。いつでもいいのよ!退院するまでにお願いね。じゃあ、またね。凛ちゃん』
「はい」
母が凛ちゃんと呼ぶ時は、嬉しい時なのを私は知っている。今のは、私の顔を立ててくれてありがとうって事なのがわかる。
「もう、会いたくないのに!」
私は、イライラと鬱々を抱えながらメロンパンを噛った。
ほのかに広がる甘味と柔らかい食感に、今の気持ちが消えていくのを感じる。私は、拓夢がくれた写真を見つめる。めぐちゃんに会うときっと心が壊れる。それでも、行かなくちゃならないなんて。
「酷いよ、お母さん。私の気持ちわかってるくせに…」
子供を切望してる娘の気持ちを母はわかってるはずだ。ううん。わかっていると私は信じていたかった。
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