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エピローグ【凛の話4】
久しぶりの我が家…
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電車がやってきて、乗り込む。付き合っていた時のドキドキした気持ちがやってくるのを感じた。私、龍ちゃんに会いたいんだと思った。最寄りの駅には、すぐについた。食パンを買ったから、シチューを食べたい。改札を抜けて、私は、凛君の働いてるスーパーに寄ってしまった。
よかった。凛君は、今日はいなかった。私は、シチューの材料を素早くかごに入れてレジに向かった。
「ありがとうございました」
店員さんの声に、お会計をして袋をつめてスーパーを出た。もしかしたら、龍ちゃんは何か食べてるかも知れない。そう思いながらも、家路を急ぐ。
見慣れた道、当たり前に通り続けた場所、大好きなあの家への道のりに罪悪感が花を添えるようについてきてるのを感じる。
家の近くに来たけれど、誰にも会う事はなかった。私は、鍵を開けて入る。龍ちゃんの靴は、ないようだった。
「ただいま」
荷物をいったん玄関に置き、鍵を閉めた。鞄から、スマホを取り出した。メッセージを送るのは、何か違う気がしてやめた。スマホをしまってから、家に上がる。変わらない匂い、変わらない景色。
私は、キッチンに食材とパンの紙袋を置く。いつものように、ダイニングの椅子に鞄を引っ掻けて、当たり前みたいに洗面所で手を洗ってルームウェアに着替える。今、着ていた服を脱いだ。拓夢が買ってくれた紙袋には冬物の服が入っている。
「明日、洗おう」
紙袋の中に、スーツも畳んで入れる。とりあえず、いったん置いとく。私は、洗面所から出て…。私は、庭を見る。洗濯取り込まなきゃ!龍ちゃんの洗濯物を取り込んで、畳んだ。案外、私、嘘つきなのかも知れない。
そう思いながら、キッチンに向かった。また、バター忘れてる。私は、冷蔵庫を開ける。
「寿司?」
お寿司の入れ物が入っている。蓋を開けると中には、まだお寿司が残っていた。昨夜の晩御飯かな?私は、蓋を閉めてからバターを取り出す。まだある!大丈夫。
手際よく、玉ねぎやじゃがいもや人参の皮をむいた。それら食材を一口大に切って、鍋に入れる。シーフードミックスのあさりのはいったやつを使う。この食パンには、それが合うと思ったからだった。どうしよう。何て話そう。おかえり!何て、軽く言うのも違う気がする。私は、じゃがいも、人参、玉ねぎが煮えるまで待つ事にした。
5分ほどした頃だった。
ガン、ゴン、ドンドン。凄い音が響いてくる。何!泥棒?
私は、怖くなって包丁を握りしめる。どうしよう。泥棒だったら、キッチンの扉が開いた。龍ちゃんだった事に、ホッとした。私が、包丁を置こうとした時だった。
「俺を殺そうとしてる?」
皆月龍次郎の優しい笑顔に、私の緊張はいっきにほぐれた。涙がスッーと目尻から流れるのを感じた。
よかった。凛君は、今日はいなかった。私は、シチューの材料を素早くかごに入れてレジに向かった。
「ありがとうございました」
店員さんの声に、お会計をして袋をつめてスーパーを出た。もしかしたら、龍ちゃんは何か食べてるかも知れない。そう思いながらも、家路を急ぐ。
見慣れた道、当たり前に通り続けた場所、大好きなあの家への道のりに罪悪感が花を添えるようについてきてるのを感じる。
家の近くに来たけれど、誰にも会う事はなかった。私は、鍵を開けて入る。龍ちゃんの靴は、ないようだった。
「ただいま」
荷物をいったん玄関に置き、鍵を閉めた。鞄から、スマホを取り出した。メッセージを送るのは、何か違う気がしてやめた。スマホをしまってから、家に上がる。変わらない匂い、変わらない景色。
私は、キッチンに食材とパンの紙袋を置く。いつものように、ダイニングの椅子に鞄を引っ掻けて、当たり前みたいに洗面所で手を洗ってルームウェアに着替える。今、着ていた服を脱いだ。拓夢が買ってくれた紙袋には冬物の服が入っている。
「明日、洗おう」
紙袋の中に、スーツも畳んで入れる。とりあえず、いったん置いとく。私は、洗面所から出て…。私は、庭を見る。洗濯取り込まなきゃ!龍ちゃんの洗濯物を取り込んで、畳んだ。案外、私、嘘つきなのかも知れない。
そう思いながら、キッチンに向かった。また、バター忘れてる。私は、冷蔵庫を開ける。
「寿司?」
お寿司の入れ物が入っている。蓋を開けると中には、まだお寿司が残っていた。昨夜の晩御飯かな?私は、蓋を閉めてからバターを取り出す。まだある!大丈夫。
手際よく、玉ねぎやじゃがいもや人参の皮をむいた。それら食材を一口大に切って、鍋に入れる。シーフードミックスのあさりのはいったやつを使う。この食パンには、それが合うと思ったからだった。どうしよう。何て話そう。おかえり!何て、軽く言うのも違う気がする。私は、じゃがいも、人参、玉ねぎが煮えるまで待つ事にした。
5分ほどした頃だった。
ガン、ゴン、ドンドン。凄い音が響いてくる。何!泥棒?
私は、怖くなって包丁を握りしめる。どうしよう。泥棒だったら、キッチンの扉が開いた。龍ちゃんだった事に、ホッとした。私が、包丁を置こうとした時だった。
「俺を殺そうとしてる?」
皆月龍次郎の優しい笑顔に、私の緊張はいっきにほぐれた。涙がスッーと目尻から流れるのを感じた。
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