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エピローグ【凛の話4】

拓夢の家の駅…

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乗っていた電車は、新快速だったから…。行きよりも早くつく。

「パン楽しみ!次だよ」

「うん」

理沙ちゃんは、明らかにウキウキしている。私も何だかそれが嬉しかった。

「ついた!」

拓夢の家がある駅で、理沙ちゃんと降りる。

「行こう、凛ちゃん」

「うん」

私と理沙ちゃんは、二人で一緒にホームに降りた。階段を上がって、改札を抜けて【アンジェロ】に入った。

「うわー。美味しそう」

理沙ちゃんは、パンを見ながら言っていた。カフェ側で、食事をとったのを思い出す。あの席で、食べた。

「凛ちゃんは、何にするの?」

「食パン」

「この白いの?」

「うん」

「理沙もそれ買おう」

理沙ちゃんは、パンのトレーとトングを私に渡して来る。パン屋さんとカフェなんて、初めて来た時から素敵だと思った。

食パンの袋を置いて、他のパンを見る。メロンパンとあんぱんとクリームパンとソーセージのはいったパンとカレーパンにしようかなー。

「凛ちゃん、二人だよね?」

「そうだよ」

「買いすぎじゃない?食べれる?」

理沙ちゃんに、そう言われて私はパンを見つめていた。

「大丈夫だよ!明日も食べれるから」

私は、そう言ってレジに向かった。レジでお会計をしてると理沙ちゃんがやって来た。

「理沙もいっぱいになっちゃった。塩パンとメロンパンとソーセージのはいったパンとカレーパンと食パン買っちゃった」

私と理沙ちゃんは、顔を見合わせて笑いあった。私は、自分のお会計をして、理沙ちゃんのお会計が終わるのを待った。

「買いすぎちゃった」

「大丈夫、食べれるよ」

私と理沙ちゃんは、そう言って店を出る。

「ありがとうございました」店員さんは、お辞儀をしてくれていた。

「凛ちゃんとは、反対ホームになっちゃうね」

「そうだね」

駅に戻ってくると、それぞれの駅の切符を買った。

「久しぶりに、帰るんでしょ?」

「そうなの」

「緊張してる?」

理沙ちゃんの言葉に私は、頷いた。

「大丈夫だよ!旦那さん、喜んでくれるよ」

理沙ちゃんは、そう言って手を握りしめてくれた。

「ありがとう!じゃあ、私はこっちだから」

「着いたら、メッセージするね」

「うん」

改札を抜ける。私と理沙ちゃんは、別々の階段を降りてホームに行く。ホームについて、時計を見つめる。

七時過ぎ…。

龍ちゃんは、きっと帰ってる。どうしよう。

「凛ちゃーん。頑張れー」

反対側のホームで、理沙ちゃんが私に手を振って叫んでいた。

「ありがとうー」

恥ずかしげもなく叫んでしまった。理沙ちゃんの方の電車がやってくる。理沙ちゃんは、中から手を振ってくれる。私も手を振った。勇気をもらった!
頑張るよ!理沙ちゃん。

理沙ちゃんの乗った電車が発車していく。私は、理沙ちゃんが見えなくなるまで手を振っていた。

ガタンゴトンー

私の方も、電車がやってきた。
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