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エピローグ【凛の話4】

理沙ちゃんと一緒に…

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理沙ちゃんは、電車がやってきて私を引っ張っていく。拓夢と離れてしまった。昨夜は、向き合うために外した指輪を今朝はつけた。

もう二度と拓夢の元に戻らない決意の為に…。ううん。まだ、ちゃんと龍ちゃんを愛してる私の為に…。

プシュー

電車が動き出すと理沙ちゃんは、私に聞いてくる。

「凛ちゃん、終わったの?」

「うん」

私は、理沙ちゃんを見ずに言った。

「悲しいね」

「そうだね…。でも、仕方ない事だから」

理沙ちゃんは、私の手を握りしめてくれる。

「理沙もね。優太と暫く会わないの」

「どうして?」

私は、その言葉に理沙ちゃんを見つめた。

「やっぱり、売れるまでは、そうした方がいいって話し合ったんだよね」

不倫でもない理沙ちゃんとまっつんさんも会えないなんて…。やっぱり、その世界は厳しいんだね。

「でも、これは、優太の為だから!だから、理沙も我慢する事にしたの…。やっぱり、優太には夢を叶えて欲しいから」

理沙ちゃんは、そう言って前だけを見つめて話した。私も、拓夢には、夢を叶えて欲しい。

「凛ちゃん、たまには理沙と遊んでくれる?」

「いいよ!毎日でもいい」

私の言葉に理沙ちゃんは、ニコニコ笑う。

「理沙、バイトあるから毎日は無理だよ」

「そうだよね」

私は、そう言って笑った。駅について人が乗ってはくるけど、こないだ拓夢と帰宅した時みたいじゃなかった。

「ついたね」

「うん」

理沙ちゃんとホームに降りる。理沙ちゃんは、まっつんさんを見つけて近づいていく。私は、拓夢と話した。遅刻をするって、まっつんさんが言うから急いで歩く。近くにいるのに、拓夢が遠い。
事務所について、みんなと合流をして、撮影場所に行く。

私と理沙ちゃんは、森田さんに連れて行かれた。

「初めまして、お二人を担当します。織部です」

「おりちゃん、後はよろしく」

「はい」

森田さんは、いなくなってしまった。

「ここからは、私、織部と中森の担当になりますので」

「よろしく」

女の人、二人に変わる。

「メイクを先に済ませてから、こちらに着替えます」

そう言われて見せられたものに、理沙ちゃんと二人、驚いて顔を見合わせる。

中森さんが持っているのは、Aラインのシンプルなウェディングドレスだった。

「指輪は、これを…。あっ!はまってますね」

織部さんは、私と理沙ちゃんの左の薬指を見つめてそう言った。

「理沙もつけてきたの!今日は…」

理沙ちゃんは、そう言って私に笑いかける。

「でしたら、大丈夫です」

織部さんは、私達にそう言った。メイクをされてドレスに着替え終わると…。ノックの音がして、私達は、森田さんに連れて行かれた。

色んな指示を受けながら、撮影が順調に進んでいき、終わったのは夕方だった。

私と理沙ちゃんは、服を着替えて戻ってくると拓夢とまっつんさんが送ってくれた。私は、拓夢と並んで歩く。さっきの熱が体を渦巻いていて、今すぐに手を繋いで欲しい。抱き締めて欲しい。そう思う気持ちだけが、降り積もっていく。

どうか駅にだけは、つかないで欲しいと祈って歩いたけれど、あっという間についてしまった。私達は、見送られた。
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