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エピローグ【拓夢の話3】

売れる為には…

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相沢さんは、その言葉を聞いて、こう続けた。

「売れる為には、多少の我慢も必要なんだ!君達が、求めるものとこっちが求めるものはきっと違うだろう。でも、それがプロとして生きていく事だって理解して欲しい」

『はい』

「今までは、四人だけの責任だった事が、これからは会社や関わってくれるすべての人間の責任に変わる。だからこそ、私はSNOWROSEを売らなくちゃいけないんだ。君達に、これからかける費用をすべて回収しなくちゃならない。それをわかって欲しい」

相沢さんの言葉に、俺達はまた小さく「はい」と返事をした。わかってる。俺達は、商品なんだって事。売る為に関わった人間(ひと)の人生も預かってる事も…。もう、歌いたいとか楽しいとかそんな気持ちだけでは駄目だって事も…。

「飲み干せない毒でも飲むしかない時もある。例え、死ぬとわかっていても…」

相沢さんは、誰に言うでもなくポツリと呟いていた。その言葉に、俺とまっつんは顔を見合せる。相沢さんの為に、頑張ろう!きっと、そう思ったんだと思う。

「ついたよ」

相沢さんは、さっきとは違って明るくそう言った。

「じゃあ、行こうか」

俺達は、車を降りる。スタジオと呼ばれる場所に案内される。

「おはようございます。アイちゃん」

「おはよう、スーさん」

スーさんと呼ばれた人は、白髪の髪を一つに結び、白髪の髭を首まで伸ばしていた。

「サンタクロースみたいだろ?」

相沢さんは、そう言って俺達に笑った。

「初めまして、菅野(すがの)です。今日1日、君達を撮影します」

『よろしくお願いします』

俺達は、深々と頭を下げる。

「固い、固い」

そう言って、菅野さんは笑ってくれる。

「あっ!電話で話した。女の子がこの二人で」

相沢さんは、凛と理沙ちゃんの事を説明する。

「白、白かー」

菅野さんは、凛の服を見つめて大きな声をあげる。

「おい!森田。ちょっと来てくれ」

「はい」

森田と呼ばれる男の人が、菅野さんに呼ばれる。菅野さんが、森田さんに何かを話していた。

「わっかりました!あの、すみません。お二人は、こちらに」

そう言われて、凛と理沙ちゃんは連れて行かれた。

「イメージが湧いたようだな」

「バッチリだ!楽しみにしとけ」

「わかった」

相沢さんは、菅野さんに笑いかける。

「みんな、私は南藤と別の子の現場に行ってくるから!撮影頑張って」

『はい』

相沢さんは、バイバイと手を振っていなくなってしまった。

「えっと、そうだな!浅野。来てくれ」

「はい」

浅野と呼ばれた男の人がやってくる。

「彼等は、うーん。そうだなー」

「わかりました」

菅野さんの言葉に、浅野さんは、俺達を連れていく。

「こっちです」

そう言われて、やってきた部屋はかなりの衣装がおかれている。
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