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エピローグ【拓夢の話3】
映画みたいに過ぎていく
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「出来たね!」
「うん」
「レシピは、後で書いとくね」
「うん」
ハンバーグを並べて、凛と俺は手を洗った。
「ぬるぬるするな!」
「ハンバーグ作るとそうなるよね」
凛と俺は、何度も手を洗った。凛は、フライパンに火をつける。
早送りみたいに、時間が過ぎていく。
「いい感じだよ!ひっくり返して」
「出来た」
「凄いね」
一時停止して、止めておきたいのに…。
どんどん時間が過ぎていく。
「お米炊いとくね」
「うん」
時間って何で、前にしか進まないのかな…。
「もうちょっと火を緩めて」
「味噌汁は、作る?」
「うん!作ろう」
出会った日に戻って、また日々をやり直す事が出来ない。
「ハンバーグ出来たよ!ソースはね」
「うんうん」
俺は、ハンバーグにかけるソースを聞く。
「ご飯炊けた!」
「味噌汁も出来たな」
「目玉焼きも、ちゃんと焼けたよ」
「じゃあ、食べようか」
どんどん、どんどん、時間が進んでく。
凛は、買ったトレーに料理を並べて持って行く。俺は、冷蔵庫からビールを取り出して持って行く。
「今日は、一回でいけたな」
「うん」
俺と凛は、向かい合わせで「いただきます」をして食べ始める。あの日、食べた味だ。美味しくて、幸せで…。でも、悲しくもあった味だ。
「美味しいな」
「よかった」
何で、幸せな時間ってすぐに終わっちゃうんだろうな…。
俺は、ビールをグラスに注いで凛に差し出した。
「乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせてビールを飲んだ。流れる時間が憎かった。
他愛ない話を沢山交わした。「ごちそうさまでした」食べ終わって凛が食器を下げに行く。
後ろから、凛を抱き締める。
「これ好きだよ」
一緒に、お皿を洗う。
「ちゃんと持ってくれなきゃ洗えないだろ?」
「ごめんね」
「凛、愛してる」
後、何回愛してると言い続けたら時間は止まってくれますか?
「私もだよ!拓夢」
ザァーと水を流して、皿を洗っていく。過ぎていく時間の流れを止められなくて、泣きそうになる。
気づけば、お皿は洗い終わっていた。
「お風呂、入ろうか?」
「うん」
「沸かしてくるよ」
「うん」
俺は、洗面所に向かって歩く。涙がポタポタと流れては落ちていく。「酷い顔だな」
鏡を見つめてポツリと呟いてからお風呂場に行く。お風呂を洗って、スイッチを押した。凛に泣いてるのがバレないように涙を拭って戻る。
「沸かしたよ」
「ありがとう」
お風呂が沸くまでの時間、キスをしたり凛を抱き締めたりする。
「愛してるよ、凛」
「愛してる、拓夢」
どれだけ言えば、この日々を送り続ける事が叶いますか?
お風呂が沸いて、凛と一緒に入る。いつものようにイチャイチャする。そして、あがって水を飲む。裸のまま、ベッドに行った。
「凛が眠たくなるまで、しよう」
そう言って、俺はキスをした。身体(ここ)に心(そこ)に頭(あそこ)に、刻みつけるように夢中で抱き合った。
愛してるを繰り返しながら、俺は凛の中に何度も何度も入った。
重なり合う呼吸、重なり合う体温、波打つ身体、繋いだ指先、重ねる唇。
全部を覚えていたくて俺は何度も何度も凛を求め続けた。
「うん」
「レシピは、後で書いとくね」
「うん」
ハンバーグを並べて、凛と俺は手を洗った。
「ぬるぬるするな!」
「ハンバーグ作るとそうなるよね」
凛と俺は、何度も手を洗った。凛は、フライパンに火をつける。
早送りみたいに、時間が過ぎていく。
「いい感じだよ!ひっくり返して」
「出来た」
「凄いね」
一時停止して、止めておきたいのに…。
どんどん時間が過ぎていく。
「お米炊いとくね」
「うん」
時間って何で、前にしか進まないのかな…。
「もうちょっと火を緩めて」
「味噌汁は、作る?」
「うん!作ろう」
出会った日に戻って、また日々をやり直す事が出来ない。
「ハンバーグ出来たよ!ソースはね」
「うんうん」
俺は、ハンバーグにかけるソースを聞く。
「ご飯炊けた!」
「味噌汁も出来たな」
「目玉焼きも、ちゃんと焼けたよ」
「じゃあ、食べようか」
どんどん、どんどん、時間が進んでく。
凛は、買ったトレーに料理を並べて持って行く。俺は、冷蔵庫からビールを取り出して持って行く。
「今日は、一回でいけたな」
「うん」
俺と凛は、向かい合わせで「いただきます」をして食べ始める。あの日、食べた味だ。美味しくて、幸せで…。でも、悲しくもあった味だ。
「美味しいな」
「よかった」
何で、幸せな時間ってすぐに終わっちゃうんだろうな…。
俺は、ビールをグラスに注いで凛に差し出した。
「乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせてビールを飲んだ。流れる時間が憎かった。
他愛ない話を沢山交わした。「ごちそうさまでした」食べ終わって凛が食器を下げに行く。
後ろから、凛を抱き締める。
「これ好きだよ」
一緒に、お皿を洗う。
「ちゃんと持ってくれなきゃ洗えないだろ?」
「ごめんね」
「凛、愛してる」
後、何回愛してると言い続けたら時間は止まってくれますか?
「私もだよ!拓夢」
ザァーと水を流して、皿を洗っていく。過ぎていく時間の流れを止められなくて、泣きそうになる。
気づけば、お皿は洗い終わっていた。
「お風呂、入ろうか?」
「うん」
「沸かしてくるよ」
「うん」
俺は、洗面所に向かって歩く。涙がポタポタと流れては落ちていく。「酷い顔だな」
鏡を見つめてポツリと呟いてからお風呂場に行く。お風呂を洗って、スイッチを押した。凛に泣いてるのがバレないように涙を拭って戻る。
「沸かしたよ」
「ありがとう」
お風呂が沸くまでの時間、キスをしたり凛を抱き締めたりする。
「愛してるよ、凛」
「愛してる、拓夢」
どれだけ言えば、この日々を送り続ける事が叶いますか?
お風呂が沸いて、凛と一緒に入る。いつものようにイチャイチャする。そして、あがって水を飲む。裸のまま、ベッドに行った。
「凛が眠たくなるまで、しよう」
そう言って、俺はキスをした。身体(ここ)に心(そこ)に頭(あそこ)に、刻みつけるように夢中で抱き合った。
愛してるを繰り返しながら、俺は凛の中に何度も何度も入った。
重なり合う呼吸、重なり合う体温、波打つ身体、繋いだ指先、重ねる唇。
全部を覚えていたくて俺は何度も何度も凛を求め続けた。
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