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エピローグ【拓夢の話3】

凛との時間…

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あっという間に、流れていった凛との時間。俺達は、ホテルへとやってきた。
泡風呂を作って、凛と湯船に入る。

凛は、旦那さんとの妊活で孤独を抱えていたのがわかった。凛のやりたいように…。旦那さんが、凄く優しい人間(ひと)なのが俺にはわかる。だけど、優しいだけじゃ埋まらない寂しさがあったんだと思った。

湯舟から上がって、体を洗う。凛が、それをしてくれようとしたけど断った。体を洗い合って、バスタオルで拭いてから部屋に戻る。水を飲んで、凛は俺をベッドに座らせた。

怖くて堪らない。でも、それは凛も同じだ。俺は、凛にゴミ箱を渡される。

凛が始めるけど、怖い。でも、俺と同じように凛が震えてるのを感じる。

頭を優しく撫でる。後頭部に指を滑らせると凛の震えがさらに強くなるのを感じた。見上げる目から、涙が流れていく。凛が、怖いのがわかる。蓮見に無理矢理されたのがわかる。でも、急に優しい眼差しに変わった。

俺は、そこで理解した。凛の恐怖をもう取り除いた人がいる。それは、龍ちゃんと呼ばれたその人だ。

やっぱり、凛の中には龍ちゃんの存在が大きい。俺は、それを消す事は出来ない。嫌、誰もそれを消せやしない。

「大丈夫?」

俺は、凛の涙を拭ってあげる。凛は、頷くように目を伏せる。ずっと、怖いだけだと思っていた。あの日の先輩の目が浮かんできて吐き気がこみ上げる。でも、すぐにそれが目の前の凛にかわる。吐き気が静まっていく。

かわりに、快感が体の中にくすぶり始める。

「俺、気持ちいいかも…」

俺は、凛の髪を優しく撫でる。凛は、俺を見つめながら必死で頑張ってくれてる。今は、龍ちゃんにしてるわけじゃない。凛は、今、俺にしてくれてるんだ。

「ハァー、拓夢、大丈夫?」

「大丈夫になってきた」

「もう少し続けるね」

「うん」

凛は、そう言うと手を離して口だけでそれをし始める。髪に触れると、次はさらに怯えているのがわかる。凛の恐怖が身体中に伝わってくる。

「凛、気持ちいい」

だけど、俺は気持ちよくなってきていた。快感が、身体を駆け巡るのを感じる。さっきより、卑猥な音が響き始めるのがわかる。俺の快感を耳や目やそこで刺激し始めるのを感じる。

「凛」

俺は、凛の背中に触れる。ビクッと凛の体がしたのがわかる。伝わってくる。全部に集中すると、下半身が熱くなってくのがわかる。

「凛ッッ」

凛が、早く動かしたせいで俺は果ててしまった。

「ごめん」

慌てて、ティッシュを取って凛に渡した。凛は、首を横に振った。唇の端から、それが流れてくる。

「エロい」

俺は、ティッシュを取って凛の唇の端を拭った。

「吐き出して」

凛は、涙目を向けながら必死で頑張ってる。

「いいから、出して」

凛は、口からゆっくりと吐き出した。

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