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エピローグ【凛の話3】

頑張ってみたい…

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私は、拓夢から離れてシャワーを手に取った。

「流していい?」

「うん」

優しく流していく。

「拓夢、頑張ってみたい」

「わかった」

私は、しゃがみこむ。

「いくよ」

「うん」

うまく出来ない…。

「凛、やっぱり怖い」

拓夢は、私を止める。

「凛、洗ってあげる」

私の二の腕を掴んで、拓夢は引き上げる。

「まだ、頑張ってみたいよ」

「大丈夫…今は…」

拓夢は、そう言って石鹸を取って泡立てると私の胸に乗せる。ゆっくりと撫でるように体を洗ってくれる。

「拓夢」

「凛…。柔らかいね」

「恥ずかしい」

「可愛いよ、凛」

このまま、時間が過ぎていくのが悲しい。

「ここも洗ってあげる」

「拓夢、ダメッ」

このまま、時間が止まればいいのに…。私は、酷い人間だと思う。今、龍ちゃんがどんな気持ちでいるかも考えていない。

「おしまい!上がろっか?」

「うん」

拓夢の事で、頭の中をいっぱいにしてる。

「はい!バスタオル」

「ありがとう」

「違う!拭いてあげる」

「うん」

拓夢は、私の体を丁寧に拭いてくれる。

「私も拭いてあげる」

「うん」

私も拓夢の体を丁寧に拭いてあげた。

「行こう」

裸のままの姿で、手を引っ張られる。

「お水飲む?」

「うん」

テーブルに置いてあるお水を拓夢は、開けて渡してくれる。

「ゴクッ、ゴクッ」

「俺もちょうだい」

「うん」

拓夢は、水を飲んでる。

「じゃあ、何しようか?映画……凛?」

私は、拓夢をベッドに連れていく。

「座って」

「凛」

「私、頑張るから…。だから、お願い」

「苦手なんだ。吐くかも」

私は、ゴミ箱を拓夢に渡した。

「それでも、私。やってみたい。拓夢なら、頑張りたい」

「旦那さんとは、してるんだもんな…」

「それは、本当に最初だよ。彼も嫌がってしてないから」

「でも、何回かはしたんだろ?」

「それは、前に話したでしょ?」

拓夢は、私の頬に手を当てる。

「凛なら、俺も頑張ってみるよ!して…」

「うん」

私は、拓夢の前にしゃがむ。

「触りながら、ゆっくりして……怖いんだ」

「わかってる」

私は、それを手で触れる。

「拓夢」

私は、拓夢を見つめる。

「凛、怖い」

「大丈夫だよ」

私は、それを触りながら拓夢を見上げてる。拓夢は、私の顔が見えるように髪をかきあげてくれる。

「凛、無理しないで!震えてる」

「無理したいの…。拓夢の為に…」

私は、そう言って唇をゆっくりと当てていく。

「凛……怖い」

拓夢は、私の頬を撫でるように触る。

「でも、何か…。違ってきた」

そう言って、私を見つめてる。手が震える。この角度が、怖い。拓夢が髪に触れる手が怖い。無理矢理、頭を押さえつけられると思ってビクビクと私の手が震える。

「大丈夫?」

拓夢の手は、優しく私の髪を撫でるだけだった。

龍ちゃん……。

私は、龍ちゃんを思い出していた。涙が流れ落ちてくる。龍ちゃんに始めて、これをした日を思い出していた。
私は、この行為をして気づいた。

私の中の龍ちゃんは消えない。誰が現れても、消えやしないって…。

「凛、無理しないでいいよ」

私は、拓夢にそう言われるけどそれを続けていた。
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