403 / 646
エピローグ【凛の話3】
大丈夫、次は…
しおりを挟む
拓夢は、私の両手を包み込むように握りしめてくれる。
「大丈夫。次は、ちゃんとこの手に残るから」
私の考えを見透かしているみたいに言われた。
「拓夢」
「凛は、もう寂しくないよ」
「うん」
知ってる…。あの日、治療を断られて絶望を感じた。そして、拓夢に出会って…。絶望を重ねるように肌を重ねてから、不思議と埋まったのを感じた。
「今度は、俺が一緒にいてあげるから」
そう言って、拓夢は私の手と一緒に消えかけた泡をすくった。この指をすり抜けずに小さな泡は掌に残っていた。
「どう言う意味?」
「これから先、凛にどんな事があっても…。俺が、話を聞くって事。こんな風に出来なくても…」
拓夢は、私の左肩に優しく唇を当ててる。
「拓夢ッッ」
掌の泡とお湯が落ちていく。
「俺、凛に出会えて本当によかったよ」
「私も…」
拓夢は、私の指に指を絡ませる。
「出会わなければよかったとか、出会わなければ幸せだったとか、そんな事思わないから…。俺は、凛と出会って本当に幸せだよ!」
「ありがとう。私も幸せだよ」
「凛、今日だけは俺だけを考えて」
「うん」
「じゃあ、体洗おうか」
「うん」
そう言って、二人で湯船から上がった。
「ボディーソープ、これだな」
「石鹸じゃない?」
「あっ!これか」
「それの方がいいかも」
「袋に入ってるしな」
「うん」
拓夢は、石鹸をあけて取り出した。手を使って泡立てると私の手にのせてくれる。
「洗って」
「うん」
私は、拓夢の体に泡をつける。拓夢は、また泡を作った。次は、私の体につけてくる。
「洗って」
「どうやって?」
「さあー」
拓夢は、シャワーの栓を捻った。私は、拓夢の手を握りしめる。
「洗う」
体につけられた泡を拓夢の手につける。
「洗ってくれる?」
「うん」
拓夢は、私に向き合う。私は、拓夢の体を撫でるように泡を広げていく。
「明日の撮影は、一緒に行く?」
「二人は、駄目でしょ?」
「そうだなー。まっつんと待ち合わせして行こうか」
「それならいい」
優しく丁寧に洗う。
「ここも…」
「恥ずかしい」
拓夢の顔を覗き込むように見つめて笑う。
「可愛い。本当に、凛は可愛い」
「恥ずかしいよ」
「俺、結婚するなら凛みたいな人見つけたいな」
「私みたいな人なんて、沢山いるよ」
「いないよ!凛みたいな、こんな可愛い人はいない」
「大袈裟だよ」
「大袈裟じゃない。色んな事、知ってるのに…。顔赤くしちゃってさ…。俺、めちゃくちゃ興奮してる。ギャップってやつかな?凛のその感じが堪らなく好き」
「拓夢」
「こっちもそうだって言ってる」
拓夢は、そう言って私の唇にゆっくりと唇を重ねる。
「大丈夫。次は、ちゃんとこの手に残るから」
私の考えを見透かしているみたいに言われた。
「拓夢」
「凛は、もう寂しくないよ」
「うん」
知ってる…。あの日、治療を断られて絶望を感じた。そして、拓夢に出会って…。絶望を重ねるように肌を重ねてから、不思議と埋まったのを感じた。
「今度は、俺が一緒にいてあげるから」
そう言って、拓夢は私の手と一緒に消えかけた泡をすくった。この指をすり抜けずに小さな泡は掌に残っていた。
「どう言う意味?」
「これから先、凛にどんな事があっても…。俺が、話を聞くって事。こんな風に出来なくても…」
拓夢は、私の左肩に優しく唇を当ててる。
「拓夢ッッ」
掌の泡とお湯が落ちていく。
「俺、凛に出会えて本当によかったよ」
「私も…」
拓夢は、私の指に指を絡ませる。
「出会わなければよかったとか、出会わなければ幸せだったとか、そんな事思わないから…。俺は、凛と出会って本当に幸せだよ!」
「ありがとう。私も幸せだよ」
「凛、今日だけは俺だけを考えて」
「うん」
「じゃあ、体洗おうか」
「うん」
そう言って、二人で湯船から上がった。
「ボディーソープ、これだな」
「石鹸じゃない?」
「あっ!これか」
「それの方がいいかも」
「袋に入ってるしな」
「うん」
拓夢は、石鹸をあけて取り出した。手を使って泡立てると私の手にのせてくれる。
「洗って」
「うん」
私は、拓夢の体に泡をつける。拓夢は、また泡を作った。次は、私の体につけてくる。
「洗って」
「どうやって?」
「さあー」
拓夢は、シャワーの栓を捻った。私は、拓夢の手を握りしめる。
「洗う」
体につけられた泡を拓夢の手につける。
「洗ってくれる?」
「うん」
拓夢は、私に向き合う。私は、拓夢の体を撫でるように泡を広げていく。
「明日の撮影は、一緒に行く?」
「二人は、駄目でしょ?」
「そうだなー。まっつんと待ち合わせして行こうか」
「それならいい」
優しく丁寧に洗う。
「ここも…」
「恥ずかしい」
拓夢の顔を覗き込むように見つめて笑う。
「可愛い。本当に、凛は可愛い」
「恥ずかしいよ」
「俺、結婚するなら凛みたいな人見つけたいな」
「私みたいな人なんて、沢山いるよ」
「いないよ!凛みたいな、こんな可愛い人はいない」
「大袈裟だよ」
「大袈裟じゃない。色んな事、知ってるのに…。顔赤くしちゃってさ…。俺、めちゃくちゃ興奮してる。ギャップってやつかな?凛のその感じが堪らなく好き」
「拓夢」
「こっちもそうだって言ってる」
拓夢は、そう言って私の唇にゆっくりと唇を重ねる。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる