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エピローグ【凛の話3】

大丈夫、次は…

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拓夢は、私の両手を包み込むように握りしめてくれる。

「大丈夫。次は、ちゃんとこの手に残るから」

私の考えを見透かしているみたいに言われた。

「拓夢」

「凛は、もう寂しくないよ」

「うん」

知ってる…。あの日、治療を断られて絶望を感じた。そして、拓夢に出会って…。絶望を重ねるように肌を重ねてから、不思議と埋まったのを感じた。

「今度は、俺が一緒にいてあげるから」

そう言って、拓夢は私の手と一緒に消えかけた泡をすくった。この指をすり抜けずに小さな泡は掌に残っていた。

「どう言う意味?」

「これから先、凛にどんな事があっても…。俺が、話を聞くって事。こんな風に出来なくても…」

拓夢は、私の左肩に優しく唇を当ててる。

「拓夢ッッ」

掌の泡とお湯が落ちていく。

「俺、凛に出会えて本当によかったよ」

「私も…」

拓夢は、私の指に指を絡ませる。

「出会わなければよかったとか、出会わなければ幸せだったとか、そんな事思わないから…。俺は、凛と出会って本当に幸せだよ!」

「ありがとう。私も幸せだよ」

「凛、今日だけは俺だけを考えて」

「うん」

「じゃあ、体洗おうか」

「うん」

そう言って、二人で湯船から上がった。

「ボディーソープ、これだな」

「石鹸じゃない?」

「あっ!これか」

「それの方がいいかも」

「袋に入ってるしな」

「うん」

拓夢は、石鹸をあけて取り出した。手を使って泡立てると私の手にのせてくれる。

「洗って」

「うん」

私は、拓夢の体に泡をつける。拓夢は、また泡を作った。次は、私の体につけてくる。

「洗って」

「どうやって?」

「さあー」

拓夢は、シャワーの栓を捻った。私は、拓夢の手を握りしめる。

「洗う」

体につけられた泡を拓夢の手につける。

「洗ってくれる?」

「うん」

拓夢は、私に向き合う。私は、拓夢の体を撫でるように泡を広げていく。

「明日の撮影は、一緒に行く?」

「二人は、駄目でしょ?」

「そうだなー。まっつんと待ち合わせして行こうか」

「それならいい」

優しく丁寧に洗う。

「ここも…」

「恥ずかしい」

拓夢の顔を覗き込むように見つめて笑う。

「可愛い。本当に、凛は可愛い」

「恥ずかしいよ」

「俺、結婚するなら凛みたいな人見つけたいな」

「私みたいな人なんて、沢山いるよ」

「いないよ!凛みたいな、こんな可愛い人はいない」

「大袈裟だよ」

「大袈裟じゃない。色んな事、知ってるのに…。顔赤くしちゃってさ…。俺、めちゃくちゃ興奮してる。ギャップってやつかな?凛のその感じが堪らなく好き」

「拓夢」

「こっちもそうだって言ってる」

拓夢は、そう言って私の唇にゆっくりと唇を重ねる。

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