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エピローグ【凛の話3】

その言葉に頷くしか…

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最後のデートと、拓夢の生きていけないの言葉に、私は頷くしか出来なかった。

全てを失っても、私を選ぼうとする拓夢の気持ちを無下には出来なかった。

「拓夢……。私を選ばなくていいの」

腰に抱きついてる拓夢の髪を撫でる。

「拓夢の絶望が希望に変わってくんだから…。切望し続けた願いが叶うんだから…。大切にしなきゃ」

「凛より大切なものは、今の俺にはないよ」

涙目で、拓夢は私を見上げる。

「それは、今でしょ?この先、私との関係が終わったら…。後悔するよ」

一生続くなんて事は、あり得ない。いずれ、龍ちゃんにバレる。そしたら、この関係は終わりを迎える。

「後悔するのは、わかってるから…。だから、凛との最後の時間を大切にしたい」

拓夢は、そう言って私にしゃがんでと引っ張ってくる。私もひざまづいた。

「拓夢」

「どんな未来が待っていたとしても、俺は凛と過ごした日々を後悔なんてしないから」

「うん」

拓夢は、私の唇にそっと唇を重ねる。理沙ちゃんに話した借りてるもの…。私は、拓夢のこういう言葉や優しさを借りていたんだ。
ちゃんと返さないといけないよね。終わりになるなら、借金は返済しなくちゃ!

「凛、可愛いね」

拓夢は、おでこをくっつけて笑ってくる。

「拓夢、私…」

「うん」

蓮見君に言われた言葉がちらつく。もしかすると見られるかも知れない。写真を撮られるかもしれない。

「何でもない」

それでも、拓夢が望んでいるなら…。
そうして、あげよう。
この先、拓夢といれないのだから…。

「明日、朝から動きたいから…。もう、寝よう」

「お皿、片付けてから」

「そっか!俺がやるよ」

そう言って、拓夢は割れてないお皿をシンクから取り出してる。

「怪我しないでね。撮影、明後日だから」

「わかってる」

私は、それを見つめていた。

拓夢は、ビニール袋を取り出して、割れたグラスの破片を丁寧にいれた。

「終わった」

「お皿、洗うね」

「俺がやるよ」

拓夢は、私の事を止めた。私は、拓夢がカチャカチャとお皿を洗うのを見つめていた。

「撮影終わったら、すぐ帰るだろ?」

「うん」

「俺と話したりは、しない?」

「その日は、真っ直ぐ帰る」

「そうだよな」

「うん」

その日は、私達の関係が、もうバレてはいけないから…。

「帰ったら、連絡だけしてくれよ」

「わかってる」

拓夢は、お皿を洗い終わった。

「じゃあ、歯磨きして寝ようか」

「うん」

私と拓夢は、洗面所に向かった。並んで歯を磨いてベッドに行く。

「明日は、朝から動こう」

「うん」

「おやすみ」

「おやすみ」

拓夢は、私の事を抱き締めてくれる。その温もりを感じて、いっきに眠りについた。
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