上 下
365 / 646
エピローグ【凛の話2】

不倫してたよね?

しおりを挟む
「あんたさー、お父さんとずっと不倫してたよね?」

彼女は、そう言って私を睨み付ける。

「何の話?」

「とぼけないでよ!龍ちゃんを騙して、結婚した。このペテン師が…」

そう言って、彼女は私の胸ぐらを掴んできた。

「やめなよ!普通に話せばいいでしょ?」

理沙ちゃんは、彼女の腕を掴んだ。

「あんたには、関係ないんだけど!」

「関係なくても、暴力は駄目でしょ」

「いい子ちゃんだねー。だから、松田優太が仕方ないから付き合うしかないよねー。ファンの中でかわいい部類だったし。いい子だから、無下に出来なかったし」

「何を言ってるの?」

彼女は、理沙ちゃんを見つめて高らかに笑った。

「アハハハハ、何でも知ってるの!だって、私は…」

そう言うと彼女は、口を押さえる。

「そんなのどうでもいいわ!とりあえず、今はお前じゃなくてこっちだから」

そう言って私と理沙ちゃんを交互に睨み付ける。

「あんたさー、昔から不倫が好きだよね」

彼女は、そう言って私から手を離して隣に座る。

「お父さんとする時は、一度も避妊しなかったんでしょ?だけど、妊娠なんか一度もしなかった。一度ぐらいしたかったでしょ?お父さんの子供産みたかったんでしょ?」

バチン……。

私は、その言葉に彼女の頬を叩いてしまっていた。

「何すんだよ、おばさん」

彼女は、私の胸ぐらを掴んだ。

「殴っていいから…」

私は、泣きながら彼女を見つめていた。

「あんたには、不幸になってもらわなきゃ困るわけ!わかるよね?」

彼女は、私の胸ぐらから手を離した。

「もう、気づいてると思うけど!私の名前は、蓮見怜奈(はすみれいな)って言うの。名前に、覚えあるよね?」

私は、彼女の言葉に頷いていた。

「よかった。忘れたのかと思った」

そう言って、蓮見君の娘はニヤリと笑った。忘れるはずない。あの日々を…。

「私だって、あんたが凛に関わっていなかったら、こんな真似しなかったんだよ」

そう言って、彼女は鞄から何かを取り出して見せてくる。

「それは…」

「私ね、最初は、知らなかったの。だから、凛とあんたがいる所を見つけて写真を撮った。その日、私はコンビニでこの写真を現像して机の上に置いたまま部屋に行ったの。帰宅したお父さんの声で慌てて写真を取りに行こうとしたら…。お父さんは、これを取った。お父さんは、写真(これ)を見て泣いてた」

彼女は、そう言って私を睨み付ける。

「家族をバラバラにした復讐したかった女がこいつだってわかった。こいつだけが幸せなってるなんて許せなかった。お父さんの涙を見て、私は決めたの」

彼女は、そう言って涙を拭うと、私の屈辱的な画像をまた見せてくる

「それから、私は、お父さんの部屋に隠しカメラを置いた。そしたら毎晩、お父さんはパソコンに向かっていたの。それで、いない間にパソコンからこれを盗んだ」

そう言いながら、泣いている。彼女にとって、蓮見君は大切な父親なんだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

先生、生徒に手を出した上にそんな淫らな姿を晒すなんて失格ですよ

ヘロディア
恋愛
早朝の教室に、艶やかな喘ぎ声がかすかに響く。 それは男子学生である主人公、光と若手美人女性教師のあってはならない関係が起こすものだった。 しかしある日、主人公の数少ない友達である一野はその真実に気づくことになる…

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

50歳前の離婚

家紋武範
恋愛
 子なしの夫婦。夫は妻から離婚を切り出された。  子供が出来なかったのは妻に原因があった。彼女はそれを悔いていた。夫の遺伝子を残したいと常に思っていたのだ。  だから別れる。自分以外と結婚して欲しいと願って。

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

王妃の私には妾妃の貴女の考えなどお見通し

麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
王太子妃となったミリアリアは不妊症であると医者に告げられ嘆き悲しむ。 そんなミリアリアに従妹のクローディアは自分が代わりに王の子供を産むと宣言した。 世継ぎを産み育てる役割だけはクローディアに。 それ以外の役割はミリアリアに。 そして宣言通り、クローディアは王子を出産した。 月日が経ち、ミリアリアは王太子妃から王妃になったが、そんな中で夫である王が急死してしまった。 ミリアリアはまだ年若い王子に王位を継がせずに自分が即位することにし、今まで表に出せなかった真実を露わにしていく。 全4話。

処理中です...