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エピローグ【凛の話2】

楽しくない時間…

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カレーをお皿によそう。まだ、保温されていて少しだけ温かかった。冷蔵庫から、パプリカサラダを取り出して、トレーにカレーとカトラリーを置いて持っていく。

「いただきます」

椅子に座って、そう言って食べ始める。美味しいのに、美味しくない。喉を引っ掛かっていくように食べ物が流れていく。楽しくないからか、自然と噛む回数は少なくなった。ほとんど、飲むように食事を終える。

「ご馳走さまでした」

キッチンで、お皿をサッと洗って、龍ちゃんの為に二階にあがる。

【食べたから、歯磨きとかどうぞ】

ブブッ

【わかった】

上と下にいながら、会話をこんな風にしているだけ…。私は、部屋の隅に座る。龍ちゃん、明日には解決するから…。だから、今はもう少しだけこのままで…。

ブブッ

【凛は、お風呂入る?】

【いい。明日入るから】

【わかった!じゃあ、歯磨いたから、おやすみ。後、弁当は気にしないでいいから!】

私は、了解とおやすみのスタンプを2つ送った。龍ちゃんが、寝ると言ってから五分後に下に降りる。歯を磨いて、顔を洗って、オールインワン化粧水を塗る。キッチンに行って、耐熱のガラス容器に小分けにカレーをいれていく。やっぱり、三日分は出来た。明日、帰ってきたら、ポテトサラダ作ろう。ご飯は、明日帰ってきたら適当にラップにくるんで冷凍すればいっか…。
黒豆茶も、明日の夜には沸かさないといけないよねー。

私は、カレーの鍋を洗う。スポンジが、カレー色になるのが、昔から嫌いだった。でも、最近はカレー色になっても気にならないオレンジ色のスポンジに変えた。鍋を洗って、手を洗ってから、二階にあがる。

私は、彼女に会えば全てが終わると信じていた。明日になれば、皆月龍次郎といつもの夜を向かえて「美味しいね」と笑いながらご飯を食べる。そう信じていた。

「おやすみ、龍ちゃん」

天井を見つめながら、ポツリと呟いた。

ブブッ

【おはよう】

私は、よく眠っていたらしい。龍ちゃんのメッセージが届いて目を覚ました。

【おはよう】

【出る時、メッセージする】

【わかった】

今日は、水曜日か…。龍ちゃんは、水曜日だけ朝御飯は駅前のパン屋さんのパンを食べる。水曜日限定で、ハムとチーズのクロワッサンサンドウィッチがやっている。一度だけ、食べさせてもらったけれど凄く美味しかった。数量限定で販売されてるらしい。お店は、7時からオープンする。龍ちゃんがつく頃には、30人は並んでいるらしい。

ブブッ

【行ってきます】

【行ってらっしゃい】

龍ちゃんは、クロワッサンサンドウィッチを食べる為に6時35分に家を出ていった。
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