354 / 646
エピローグ【凛の話2】
龍次郎とのやり取り
しおりを挟む
ブブッ
【部屋に行ったから、好きな時にきたらいいから】
龍ちゃんから、メッセージがやってきた。離れている間、どうやらメッセージでやり取りしようと龍ちゃんは思っているようだった。
「そういうとこだよ」
私は、OKというスタンプを返しながら笑っていた。皆月龍次郎は、私に関して不思議な事をする人だった。結婚して、三年目の夏、私達は大喧嘩をした。私は、当時を思い出しながら目を閉じる。
◆
◆
◆
「もういい」
「何が、もういいんだよ」
「龍ちゃんには、わからない」
「わかるように言ってくれよ」
「知らない」
些細な出来事だった。生理痛が酷くて寝込んでる私の為に、龍ちゃんが掃除や洗濯をしてくれた。だけど、お気に入りのジーパンが何故か斑模様に色が抜けていた。私は、それがどうしても許せなかった。
「ごめんな。でも、何で怒ってるか教えてくれよ」
「自分で考えてよ」
「凛」
「うるさい、あっちに行って」
私は、龍ちゃんに怒って布団を被った。三日も経てば意外におしゃれかもなんて笑って履いているのだけれど…。この時は、許せなかった。そんな私に龍ちゃんは、思いがけない事をやるのだ。
暫く、布団をかぶっていたけれど暑くなってきて私は出た。少しだけ怒りのボルテージが下がり、言いすぎたかな?と思い始めた頃だった。
何故か龍ちゃんは、寝室にやってきた。
「凛」
そう言って、何故かトレーに飲み物を持ってやってくる。
「何」
冷たく言った私に何故かアイスコーヒーを見せる。
「何よ」
「見てみて、二層にうまくわかれたんだよ!ほら、飲んでみてよ」
何故、寝室でアイスコーヒーを飲まなければいけないのか?生理痛が酷いのに、何故かコーヒーを持ってきたのか?不思議な気持ちと同じぐらい。笑いが沸き上がってきたのを覚えている。
「二層になったから、何よ」
「凄いだろ?ほら、このコントラストとかさ」
「龍ちゃんって、馬鹿なの?怒ってるのわかってる?」
私は、龍ちゃんにそう言った。
「凛を失うぐらいなら、馬鹿なぐらいが丁度いい」
そう言って、アイスコーヒーを渡された。飲んだアイスコーヒーは、ビックリするぐらい甘くて笑ってしまった。
「甘過ぎ、ハハハ」
「やっと笑ったー」
そう言って、龍ちゃんもアイスコーヒーを飲んだ。
「あまっ!これは、砂糖だな」
「だねー」
二人して、大笑いしたのを覚えてる。
私は、ゆっくり目を開けた。涙を拭った。龍ちゃんに会わせてくれた片平さんが言ってた。
「龍君はね、ちょっと変わってるけど…。本当に優しい子なの。だから、よろしくね」
そう言われて、私は頷いた。ちょっと変わってるから、私といれるんだと思った。
【部屋に行ったから、好きな時にきたらいいから】
龍ちゃんから、メッセージがやってきた。離れている間、どうやらメッセージでやり取りしようと龍ちゃんは思っているようだった。
「そういうとこだよ」
私は、OKというスタンプを返しながら笑っていた。皆月龍次郎は、私に関して不思議な事をする人だった。結婚して、三年目の夏、私達は大喧嘩をした。私は、当時を思い出しながら目を閉じる。
◆
◆
◆
「もういい」
「何が、もういいんだよ」
「龍ちゃんには、わからない」
「わかるように言ってくれよ」
「知らない」
些細な出来事だった。生理痛が酷くて寝込んでる私の為に、龍ちゃんが掃除や洗濯をしてくれた。だけど、お気に入りのジーパンが何故か斑模様に色が抜けていた。私は、それがどうしても許せなかった。
「ごめんな。でも、何で怒ってるか教えてくれよ」
「自分で考えてよ」
「凛」
「うるさい、あっちに行って」
私は、龍ちゃんに怒って布団を被った。三日も経てば意外におしゃれかもなんて笑って履いているのだけれど…。この時は、許せなかった。そんな私に龍ちゃんは、思いがけない事をやるのだ。
暫く、布団をかぶっていたけれど暑くなってきて私は出た。少しだけ怒りのボルテージが下がり、言いすぎたかな?と思い始めた頃だった。
何故か龍ちゃんは、寝室にやってきた。
「凛」
そう言って、何故かトレーに飲み物を持ってやってくる。
「何」
冷たく言った私に何故かアイスコーヒーを見せる。
「何よ」
「見てみて、二層にうまくわかれたんだよ!ほら、飲んでみてよ」
何故、寝室でアイスコーヒーを飲まなければいけないのか?生理痛が酷いのに、何故かコーヒーを持ってきたのか?不思議な気持ちと同じぐらい。笑いが沸き上がってきたのを覚えている。
「二層になったから、何よ」
「凄いだろ?ほら、このコントラストとかさ」
「龍ちゃんって、馬鹿なの?怒ってるのわかってる?」
私は、龍ちゃんにそう言った。
「凛を失うぐらいなら、馬鹿なぐらいが丁度いい」
そう言って、アイスコーヒーを渡された。飲んだアイスコーヒーは、ビックリするぐらい甘くて笑ってしまった。
「甘過ぎ、ハハハ」
「やっと笑ったー」
そう言って、龍ちゃんもアイスコーヒーを飲んだ。
「あまっ!これは、砂糖だな」
「だねー」
二人して、大笑いしたのを覚えてる。
私は、ゆっくり目を開けた。涙を拭った。龍ちゃんに会わせてくれた片平さんが言ってた。
「龍君はね、ちょっと変わってるけど…。本当に優しい子なの。だから、よろしくね」
そう言われて、私は頷いた。ちょっと変わってるから、私といれるんだと思った。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。


妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる