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エピローグ【拓夢の話1】
凛を守る
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「凛、凛、いないのか?」
俺は、叫んでいた。玄関にスーパーの袋が落ちていて、何かあったのだろうか…。鞄や靴が廊下に散乱している。俺は、急いで洗面所を見るが誰もいない。キッチンを開けると、ダイニングの椅子がこけていたり、テーブルが歪んでいた。
凛に何かあったのがわかって、心臓が鼓動を強める。残る場所は、寝室しかなかった。
寝室に近づくと、声が聞こえる。
「ううー」
口を抑えられているような小さな声が聞こえてきている。俺は、扉をゆっくりと開ける。
みると、凛がベッドに押し倒されている。男が凛の足の間に体をくっつけて、口を抑えられている。凛は、俺を見つめてる。しっーと、俺は中指を口元にやった。凛は、目を伏せる。俺は、ゆっくりと男の背後に近づいて行く。男は、凛を襲いたいからか、全く俺になど気づく気配はない。
俺は、後ろから男の服を引っ張った。
ドサッ……。
男は、ベッドの下に落ちた。どうやら、下半身を出そうとしていた所だったらしい。
「何だ、お前」
「何してんだ!」
「はあ?」
そんなに若くない気がする。男は、立ち上がってズボンを整え出した。逃げられる。とっさにそう思った。男は、「凛、また来るから」と言ってドアを開ける。
「待て」
追いかけようとした俺の手を凛が掴んだ。ブラウスのボタンが弾けとんで、胸が見えてる。ブラジャーが少しだけずれている。俺は、スーツの上着を脱いで凛にかける。
「もう、大丈夫だから」
追いかけるのをやめて、凛を抱き締める。
「何かされなかったか?」
「キスをされて、胸を舐められたぐらいだから大丈夫」
そう言いながらも、凛の体は震えている。
「ごめん。あんな奴が来るなんて気づけなかった」
「違う」
凛は、首を横に振る。
「違うって?」
「あれは、蓮見君だった」
その言葉に、俺は驚いた顔をした。
「何で?」
「雇われたとか何とかって言ってた」
「雇われた?」
「うん」
凛は、そう言って泣いている。蓮見は、また凛の人生を壊しにきたのだと思うと苛立ちが募る。
「警察に行こう」
「龍ちゃんに、バレたくない」
凛は、そう言って首を横に振って泣いてる。
「じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
「わかった」
俺は、寝室を出て外に行く。
「星村さん、今さっき男が走って行きましたけど…。空き巣でしたか?」
「未遂ですみました」
「警察に連絡しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。何もとられていません」
そう言うと管理人さんは、困ったように眉毛を寄せながら「そうですか」と呟いた。
「すみませんが、今日は…」
「わかりました。業者には、断っておきます。後、チェーンは夕方には直させてもらっても?」
「はい、構いません」
「卵は、片付けておきますよ」
「すみません」
俺は、管理人さんに頭を下げる。
「あの、人がいたんですか?」
「彼女が…」
そう言うと管理人さんは、驚いた顔をする。
俺は、叫んでいた。玄関にスーパーの袋が落ちていて、何かあったのだろうか…。鞄や靴が廊下に散乱している。俺は、急いで洗面所を見るが誰もいない。キッチンを開けると、ダイニングの椅子がこけていたり、テーブルが歪んでいた。
凛に何かあったのがわかって、心臓が鼓動を強める。残る場所は、寝室しかなかった。
寝室に近づくと、声が聞こえる。
「ううー」
口を抑えられているような小さな声が聞こえてきている。俺は、扉をゆっくりと開ける。
みると、凛がベッドに押し倒されている。男が凛の足の間に体をくっつけて、口を抑えられている。凛は、俺を見つめてる。しっーと、俺は中指を口元にやった。凛は、目を伏せる。俺は、ゆっくりと男の背後に近づいて行く。男は、凛を襲いたいからか、全く俺になど気づく気配はない。
俺は、後ろから男の服を引っ張った。
ドサッ……。
男は、ベッドの下に落ちた。どうやら、下半身を出そうとしていた所だったらしい。
「何だ、お前」
「何してんだ!」
「はあ?」
そんなに若くない気がする。男は、立ち上がってズボンを整え出した。逃げられる。とっさにそう思った。男は、「凛、また来るから」と言ってドアを開ける。
「待て」
追いかけようとした俺の手を凛が掴んだ。ブラウスのボタンが弾けとんで、胸が見えてる。ブラジャーが少しだけずれている。俺は、スーツの上着を脱いで凛にかける。
「もう、大丈夫だから」
追いかけるのをやめて、凛を抱き締める。
「何かされなかったか?」
「キスをされて、胸を舐められたぐらいだから大丈夫」
そう言いながらも、凛の体は震えている。
「ごめん。あんな奴が来るなんて気づけなかった」
「違う」
凛は、首を横に振る。
「違うって?」
「あれは、蓮見君だった」
その言葉に、俺は驚いた顔をした。
「何で?」
「雇われたとか何とかって言ってた」
「雇われた?」
「うん」
凛は、そう言って泣いている。蓮見は、また凛の人生を壊しにきたのだと思うと苛立ちが募る。
「警察に行こう」
「龍ちゃんに、バレたくない」
凛は、そう言って首を横に振って泣いてる。
「じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
「わかった」
俺は、寝室を出て外に行く。
「星村さん、今さっき男が走って行きましたけど…。空き巣でしたか?」
「未遂ですみました」
「警察に連絡しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。何もとられていません」
そう言うと管理人さんは、困ったように眉毛を寄せながら「そうですか」と呟いた。
「すみませんが、今日は…」
「わかりました。業者には、断っておきます。後、チェーンは夕方には直させてもらっても?」
「はい、構いません」
「卵は、片付けておきますよ」
「すみません」
俺は、管理人さんに頭を下げる。
「あの、人がいたんですか?」
「彼女が…」
そう言うと管理人さんは、驚いた顔をする。
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