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エピローグ【拓夢の話1】

ずっとこうしていたい

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「うまい」

「よかった」

凛は、そう言ってニコニコ笑ってる。

「凛は、天才だな」

「大げさだから…」

「大げさでいいんだよ!本当に、凛は何でもうまいよ」

「ありがとう」

凛は、そう言いながら笑ってる。俺は、スプーンに変えてシチューを飲む。

「うまっ」

「よかった、嬉しい」

「これ、どうやって作ったの?市販のルー、なかったよな?」

「これは、小麦粉とバターと牛乳で作ったんだよ!」

「凄いな!うまいよ、本当にうまい」

「大げさだって」

「大げさじゃない。本当だから…。全部、本当だから…。俺の気持ちも、全部」

「ありがとう」

本当は、ずっと一緒にいたいって言いたい気持ちがあった。でも、言えなかった。凛がいたいのは、俺じゃなくて…。龍ちゃんなのだから…。ビールを開けて、俺はグラスに注いだ。

「飲む?」

「うん」

俺は、凛のグラスにも注いであげる。

「明日は、何する?」

「明日、卵買ってくるね」

「うん」

「それと、理沙ちゃんとここで会ったら怒るよね?」

「別に構わないよ!人が入るのとか嫌じゃないから…」

「ありがとう」

凛は、そう言って笑ってビールを飲む。

「理沙ちゃんと会うって約束したの?」

「うん。昨日、あんな感じで帰ったから…。お礼も言いたいし、話しもしたいって送ったら…。明日、会おうって事になって…。それで、場所どこにしようかなーって悩んでたの」

「いいよ!家(うち)で会いなよ!ゆっくり、話せばいいよ」

「ありがとう。本当に、拓夢のお陰で私、救われてる」

「まだまだだよ。まだまだ、俺は凛を助けられていない」

凛は、その言葉に首を横に振った。

「もっと、ちゃんと助けられるようにしたい」

「充分だよ」

凛は、そう言って笑った。

「旦那さん、心配してない?」

「メッセージは、ちゃんと送られてきてるよ」

「返信は、してる?」

「スタンプだけだけど」

「家庭内別居の時も、メッセージで?」

「うん。今から帰るからとか、家の鍵開けるからとか、メッセージが来るから、会わないように二階に上がったりしてた。何か、引きこもりみたいだよね」

そう言って、凛はシチューを食べる。

「やっぱり、優しい人だよな。龍ちゃんは…」

「そうだね。龍ちゃんは、本当に優しい人だと思うよ。今日だって、服持って行ってないけど風邪ひいてないかーってはいってきたから」

「凄いな…。俺なら、落ち込んで連絡出来ないな」

「私もそうだよ。だけど、龍ちゃんは昔からそうなの。空気読めないってのもあるのかな?付き合ってる時にね、次の日映画の約束してたんだけど…。前の日、電話で大喧嘩したの!なのに、朝10時に迎えにくるんだよー。インターホン鳴らして、母親に、凛さん、いますか?とかって言っちゃって」

そう言って、凛はニコニコと楽しそうに話している。

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