上 下
338 / 646
エピローグ【拓夢の話1】

どうするか…

しおりを挟む
メールを作成する画面を開く。やる事を整理しながら、そこに入力する。

まっつんに平田さんに会わせてもらうだろ。それから、平田さんに蓮見の娘に会わせてもらって、蓮見の娘に会ってから、蓮見に会わせてもらう。それが全部終わったら、凛の旦那さんに会いに行く。入力をし終わって画面を見つめる。

「とりあえず、撮影終わってからになるかー」

明日から、会社に出勤のせいで、動けるのが、撮影終了後しかなかった。

ブー、ブー

「はい」

『もしもし、相沢です』

「はい」

『撮影場所と時間、メッセージするから、みんなに送ってくれるかな?』

「はい、わかりました」

『それじゃあ、よろしくね』

「はい」

『じゃあ、また会えるのを楽しみにしてるね』

「俺も、楽しみにしてます」

相沢さんからの電話が切れて、すぐにメッセージがやってきた。俺は、それをコピーしてみんなに転送した。

俺は、チーズを取り出して食べる。凛が、何日も帰らなければ旦那さんは心配するんじゃないだろうか?夫婦関係が終わってしまったら、どうしよう…。もし、離婚になったら、俺のせいだよな。

俺は、ビールをゴクゴクと飲む。凛が欲しいけれど、旦那さんと凛を無理矢理引き裂いてまでは欲しくはないのをハッキリと気づいた。もう、何度も凛を抱いてしまった。その事に、後悔はしていない。今だって、そうなりたいって思う自分もいる。

「あー」

俺は、頭をぐしゃぐしゃと掻いた。

「駄目だ、駄目だ」

ビールを飲んで、缶から残りを注いで、また飲んだ。立ち上がって冷蔵庫から、またビールを取り出す。

「煩悩よ、消えろー」

俺は、自分に暗示をかけながらビールを飲む。今、俺が出来る事は凛と旦那さんに幸せになってもらう事だけだ。もし、凛が旦那さんと別れる事になるなら俺が責任とる。

俺は、ビールをぐっと飲み干した瞬間、視界がグニャリと歪んだ。
どうやら、飲みすぎたみたいだった。動く気もおきなくて、机に頭を置いて目を閉じた。





いい匂いがして、俺は目を開けた。スマホを見つめると、夜の九時半だった。どうやら、二時間はは寝ていたらしい。

「う、うーん」

「起こしちゃった?」

凛は、テーブルの上を片付ける手を止めて、俺の顔を見つめてくる。

「起きてたの?」

「うん。一時間前ぐらいに、ロールキャベツ作ってるんだけど」

「食べる」

俺は、そう言って笑った。

「よかった。じゃあ、もうちょっと待っててね」

「うん」

凛は、そう言ってキッチンに向かった。旦那さんに連絡したのかな?俺は、立ち上がってトイレに行く。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

処理中です...