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エピローグ【凛の話1】

会いたくなかった人

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『ごちそうさまでした』

食べ終わるのは、いつも同じぐらいだった。

「着替えてくる」

「うん」

私は、ダイニングテーブルを片付ける。その間に龍ちゃんは、服を着替えてきた。

「今日は、スーツじゃないね」

「当たり前だろ?何で?スーツの方がよかった?」

「そんな事ないよ!仕事着も似合ってる」

「ありがとう」

龍ちゃんは、玄関に行く。私も、後ろからついていく。

「じゃあ、行ってくる!ゆっくり過ごして」

「うん!バイク?」

「バイクだよ!じゃあ、行ってくる」

龍ちゃんは、私を引き寄せて抱き締めてくれる。

「行ってらっしゃい!気をつけてね」

「行ってきます」

チュッと龍ちゃんと音が出るキスをした。

「行ってらっしゃい」

私は、手を振って見送った。龍ちゃんは、鍵を閉めてくれた。龍ちゃんは、バイクで仕事に行っていた。

「さてと」

お皿を洗って、掃除機と洗濯したら、理沙ちゃんにメッセージ送ろう。私は、いつもの繰り返しをしてから理沙ちゃんにメッセージを送った。

ブブッ

【11時半に駅前で行けるかな?】

【大丈夫】

【じゃあ、凛ちゃん家の所の駅に行くね】

【わかった】

やりとりが終わった。

「残りをいっきにやっちゃおう」

私は、残りをいっきにやる。

「用意しようかな!」

全部が終わった頃には、10時前だった。寝室のクローゼットから洋服を取り出す。理沙ちゃんとだから、これでいいよね!ジーパンとまだ残暑が厳しいから薄手の七分袖にしとこ!薄化粧をして、鞄は同じでいいよね。久しぶりに龍ちゃんとお揃いのペアウォッチをはめた。11年目の結婚記念日に、時計を買いたいと何故か思って口に出した。龍ちゃんは、いいねと言ってくれて二人で買いに行ったのだ。

「行かなきゃ!」

時計を見ると、11時になる所だった。急いでる気でいたけど、女性の用意は一時間はかかるとしみじみ思ってしまった。

私は、ガスの元栓を切ってコンロにロックをかける。ショルダーバックにスマホをいれて、玄関で新しいハンカチと古いハンカチを交換した。

「拓夢に返してなかった」

取り出したハンカチが、拓夢のものだと気づいた。次、会う時に渡す。私は、別のハンカチを取って家を出る。
鍵をかける。

「皆月さん」

あちゃー。急いでる時に一番会いたくない方に出会ってしまった。

「こんにちは」

「こんにちは!お出掛け?」

「はい、友人と…」

「皆月さん、昨日、旦那さんが女の人といたじゃない!浮気されてるのかと思って心配したのよ!私」

「昨日ですか…」

「ほら、何か若い子だったでしょ?親戚の子だって言ってたから、心配して損しちゃったのよ!だって、どう見ても未成年で援交かと思ったのよ」

坂東さんは、そう言って嬉しそうに話してくる。
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