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拓夢の最後の話2

相沢さん

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ピコンー

エレベーターがやってきて乗り込んだ。

「相沢さんの記事読んだ?」

「うん」

「相沢さんって、凄いよなー」

「うん」

「どんな人も、相沢さんは一流にしちゃうんだぜ」

ピコンと言って、扉が開いた。

「ついた」

元々は、大きなレーベルの重役だったこの事務所を立ち上げた社長さんは、智天使(ケルビム)の為のレーベルを新たに設立させて欲しいと交渉を繰り返した。その結果、このレーベルは設立された。そして、元々の大きなレーベルの傘下に入る事が立ち上げの条件だったって聞いた。

【熾天使(してんし)エンターテイメント】と書かれている。

「これが、事務所の名前かな?」

「さあ?」

「それが、そうだね」

俺とかねやんは、ビックリして振り返った。

「ああ、ごめんね!驚かしちゃった?」

相沢さんが、立っていた。

「いえ」

「智天使(ケルビム)の為に立ち上げたからには、こっちも天使、使わなきゃって話で!熾天使になったんだ。あー、元々は智天使(ケルビム)しか所属させるつもりが社長がなかったんだけどね!連れてきちゃったんだ」

そう言って、相沢さんはニコニコ笑っている。

「凄いですね!」

かねやんの言葉に相沢さんは、ニコニコ笑いながら笑って首を横に振った。

「凄いのは、バンドマン達だよ!凄く上手なのに、売れないって烙印(らくいん)押されて落とされてばかりだろ?それは、間違ってるって思ったんだ。売れないのは、売り方次第じゃないのかってね」

そう言って、相沢さんはニコニコ笑ってる。

「じゃあ、松田君と瀬戸君は、ついてるから行こうか」

『はい』

俺とかねやんは、相沢さんについていく。暫く歩いて部屋に通される。まっつんとしゅんが、おじさんと待っていた。

「社長、二人も連れてきました」

相沢さんの言葉に背筋が、ピンとする。

「こんにちは!社長の楠です」

『よ、よろしくお願いします』

俺とかねやんは、深々と頭を下げる。

「まぁ、まぁ、そんなに固くならなくていいから!相沢から、聞いているよ!さっき、松田君と瀬戸君にも話したんだけどね…。今回、Artemis(アルテミス)のかわりに突然頼んだ事申し訳ないと思ってます」

「そんな事ないです。こんなチャンスをいただけて本当に光栄です」

俺の言葉に、社長さんはニコニコと笑った。

「この仕事は、タイミングが全てだと私は思っている。Artemisは、今回そのタイミングを逃した。だけど、Artemisの方がSNOWROSEの何万倍もファンがいるんだ」

社長さんは、そう言うと俺達四人を見つめる。
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