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拓夢の最後の話

久しぶりの曲作り

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俺とまっつんは、カラオケBOXに戻った。店員さんは、いつもの部屋のセットを渡してくれる。俺達は、またさっきの部屋に戻る。

「三時間あれば歌詞かけると思うから」

「わかった!サビの歌詞決まってる?」

「うん」

俺は、まっつんにサビに使う予定の歌詞を話した。

「わかった!イメージ出来たわ」

まっつんの才能は、みんな惚れてる。サビの歌詞を伝えると、イメージ道理の曲を作ってくれるのだ。そこに、かねやんとしゅんが加わって最高の曲が出来上がる。最後に智が編曲をする。でも、智はいない。だから、今回からは俺達四人でしなきゃならない。

「よっ」

「飲み物持参か」

「違うよ、店員さんに貰ってきた!」

かねやんとしゅんがやってくる。最後に曲を作ったのは、5ヶ月前だった。あの時の曲は、まだ希望に溢(あふ)れた明るい歌だった。俺は、今、あんな明るい歌を歌えない。

「じゃあ、やりますか!」

「拓夢が、三時間で歌詞書くって」

「オッケー」

どさりとギターを置いたかねやん。

「これ、持ってきたから」

パソコンとパソコンに繋ぐためのミニキーボードを持ってきたしゅん。

「ありがとう」

まっつんは、しゅんとかねやんにイメージを伝えていく。

「これだろ?」

「ありがとう」

俺は、かねやんからイヤホンを借りて耳にはめる。詩を書く時に、俺はピアノの演奏の曲をよく聞くのだ。集中するのに、使える。俺は、スマホを再生して、ノートに向き合った。ノートを広げて、今、凛に想ってる感情をひたすら殴り書きしていく。

愛してる、抱きたい、会いたい、傍にいたい、支えたい、泣かせたくない…。そうやって、自分の感情をノートにぶつける。そこから、パズルのピースみたいに拾い集めてはめこんでくのが俺のやり方だった。

君を想ってる、紛れもないあの愛、さ迷ってる心、いつまでも離れない…。どんどん溢(あふ)れてく気持ちは、気づけば四ページ目にいっていた。
いったん整理するかな…

イヤホンをはずすと、三人の楽しそうな声が聞こえてくる。また、こうやってみんなと曲を作れる。絶望したけれど、こうやって夢を掴みにいける。全部、凛のお陰だ。

「拓夢、どうした?」

「いや、ちょっと休憩しようと思って」

涙が込み上げてくるのをばれないように目頭を押さえる。

「目が疲れちゃったからさ」

「じゃあ、いったん休憩しようか」

「珈琲タイムだな!」

「おう」

アイスコーヒーの氷は、溶けてきていた。俺は、テーブルに置かれた珈琲を取る。

「ガムシロップとミルクいるだろ?ここの苦いよなー」

かねやんは、俺を見つめながらニコニコと笑ってくれる。
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