260 / 646
凛の最後の話
鳴ってるよ
しおりを挟む
私は、ビールを持って、龍ちゃんの所に戻ってきた。
「何か、今、凛のスマホ鳴ってたよ」
「えっ、誰かな?」
私は、龍ちゃんにビールを差し出した。
「ありがとう」
龍ちゃんは、手酌でビールを注いでいた。
「ごめん」
「いいって、電話してきな」
私は、スマホを見つめる。着信は、理沙ちゃんからだった。
「ちょっと、向こうでかけてくるね」
「うん」
龍ちゃんは、私に手を振って、ビールを飲んで餃子を食べている。私は、寝室に行って電話を鳴らす。
プルルー
『もしもし、凛ちゃん』
「うん」
『あのさ、今から会える?』
「えっ?今から?どうして?」
『たくむんが、心配してて!見てきてって、優太に頼まれたんだよねー。だけど、その感じなら難しいよね』
「夫がいるから…。でも、心配してるなら、会うよ!理沙ちゃんに…」
『ごめんね、すぐすむから!駅で待ってるね』
「わかった」
私は、電話を切った。リビングに向かう。龍ちゃんは、まだ餃子を食べていた。
「あのね」
「うん」
「理沙ちゃんって、友達が出来て」
「うん」
「ちょっと彼氏と喧嘩しちゃったから、話聞いて欲しいって」
「電話じゃ駄目な感じ?」
「うん」
「行っておいで!俺、ご飯食べて、ドラマ見とくから」
「ごめんね。ご飯の途中に!もし、疑ってるなら電話したまま行く?」
龍ちゃんは、私を見てハハハって笑ってくれる。
「別に疑ってなんかないよ!だから、行っておいでよ。餃子は、冷めるだろうけどね」
「ごめんね。せっかく帰ってきたばっかりなのに…」
「凛は、謝ってばっかりだな!気にしてないから、行きな!ほら、ちょっと夜は寒いから!その子、風邪引いちゃうよ」
「ありがとう。行ってくるね」
私は、龍ちゃんに頭を下げて寝室に向かった。クローゼットから、服を取り出して着替える。龍ちゃんは、一人残されて何をするのかな?何を思うのかな?私は、薄手の長袖を羽織る。小さなバックを手にとって、またリビングに戻る。お財布とスマホを鞄に入れる。
「何かいる?駅まで、行くから」
「別にいらないかな」
「じゃあ、何か必要なものが見つかったら電話してね」
「わかった!行ってらっしゃい」
「行ってきます」
「気をつけてな」
龍ちゃんは、ニコニコと笑って手を振ってくれていた。私は、玄関で靴を履いて外に出る。雨は、上がってるけど…。寒い。理沙ちゃん、風邪引いちゃう。鍵を閉めて、早歩きで駅に向かう。
歩きながら考えていた。坂東さんが、渡したチラシじゃない方…。あの番号にかけたら、誰に繋がるのだろうか?
「何か、今、凛のスマホ鳴ってたよ」
「えっ、誰かな?」
私は、龍ちゃんにビールを差し出した。
「ありがとう」
龍ちゃんは、手酌でビールを注いでいた。
「ごめん」
「いいって、電話してきな」
私は、スマホを見つめる。着信は、理沙ちゃんからだった。
「ちょっと、向こうでかけてくるね」
「うん」
龍ちゃんは、私に手を振って、ビールを飲んで餃子を食べている。私は、寝室に行って電話を鳴らす。
プルルー
『もしもし、凛ちゃん』
「うん」
『あのさ、今から会える?』
「えっ?今から?どうして?」
『たくむんが、心配してて!見てきてって、優太に頼まれたんだよねー。だけど、その感じなら難しいよね』
「夫がいるから…。でも、心配してるなら、会うよ!理沙ちゃんに…」
『ごめんね、すぐすむから!駅で待ってるね』
「わかった」
私は、電話を切った。リビングに向かう。龍ちゃんは、まだ餃子を食べていた。
「あのね」
「うん」
「理沙ちゃんって、友達が出来て」
「うん」
「ちょっと彼氏と喧嘩しちゃったから、話聞いて欲しいって」
「電話じゃ駄目な感じ?」
「うん」
「行っておいで!俺、ご飯食べて、ドラマ見とくから」
「ごめんね。ご飯の途中に!もし、疑ってるなら電話したまま行く?」
龍ちゃんは、私を見てハハハって笑ってくれる。
「別に疑ってなんかないよ!だから、行っておいでよ。餃子は、冷めるだろうけどね」
「ごめんね。せっかく帰ってきたばっかりなのに…」
「凛は、謝ってばっかりだな!気にしてないから、行きな!ほら、ちょっと夜は寒いから!その子、風邪引いちゃうよ」
「ありがとう。行ってくるね」
私は、龍ちゃんに頭を下げて寝室に向かった。クローゼットから、服を取り出して着替える。龍ちゃんは、一人残されて何をするのかな?何を思うのかな?私は、薄手の長袖を羽織る。小さなバックを手にとって、またリビングに戻る。お財布とスマホを鞄に入れる。
「何かいる?駅まで、行くから」
「別にいらないかな」
「じゃあ、何か必要なものが見つかったら電話してね」
「わかった!行ってらっしゃい」
「行ってきます」
「気をつけてな」
龍ちゃんは、ニコニコと笑って手を振ってくれていた。私は、玄関で靴を履いて外に出る。雨は、上がってるけど…。寒い。理沙ちゃん、風邪引いちゃう。鍵を閉めて、早歩きで駅に向かう。
歩きながら考えていた。坂東さんが、渡したチラシじゃない方…。あの番号にかけたら、誰に繋がるのだろうか?
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
結婚しましたが、愛されていません
うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。
彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。
為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる