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凛の話12

帰り道…

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拓夢は、黙って私の手を引いてる。

「忘れ物はなかった?」

「うん、大丈夫」

「なら、いい」

そう言って、また黙って手を引いてく。ホテルのロビーにやってきて、料金を清算している。

「帰ろう」

「うん」

また、黙って手を引かれてく。

「平田さんと寝たのか?」

ホテルから出た瞬間に、拓夢にそう言われた。

「してない」

「嘘つかないでいい」

「本当にしてない」

「俺には、嘘つかないで」

その言葉に、私は「最後まではしてない」と言ってしまった。

「よかったー」

拓夢は、ホッとしたような笑顔を私に向ける。

「よかったって、何?」

「最後までしたかった?」

「話そらさないでよ」

「ずっと、ヤバイんじゃない?」

「だから、拓夢」

「凛が知らなくていい事だよ」

そう言って、拓夢はタクシーを停める。一緒に乗り込んで、流れる景色を見ながら、拓夢の家にやってきた。

「拓夢」

「まだ、大丈夫?」

「うん」

スマホを見るけど、龍ちゃんが帰宅するって連絡はなかった。

ガチャと鍵を開ける。

「凛」

拓夢は、我慢の限界がきたのか私を抱き締めてくる。

「さっきの話何?」

「凛が、やってる声が流れただけ」

「どこから?」

「平田さんの母親のスマホから…」

拓夢は、そう言うと私の手を引っ張っていく。ベッドに座らされる。

「したかったんじゃない?最後まで」

「待って、私、動画撮った」

「平田さんと」

「だけど、凛君、友達に送るって」

「友達?何の為に」

「脅されてたの…。だから、キスの動画とやってる声を送ってこいって」

「協力したのか?」

「うん、でも、何で凛君の母親が?」

「平田さんが、母親に送ったのか?送った所は見た?見せてもらった?」

私は、首を横に振った。

「どうしよう?」

龍ちゃんに知られたくない、バレたくない。体が震えてくる。

「リベンジポルノって言われてるやつか?俺が、平田さんに話聞いて消させるから心配しなくていい。最後までしてないんだろ?」

「だけど、手でしたし。胸だって見られたし。触られたし。キスもしたし。どうしよう、どうしよう。拓夢、私、私…」

「旦那さんにバレたくないんだろ」

涙を流して震える私を拓夢は抱き締めてくれる。
今になって、何て馬鹿な事をしてしまったのだろうと思っている。

「大丈夫、俺がちゃんと話してくるから…」

「ごめんね、巻き込んで!ごめんね」

「いいんだよ!凛は、何も悪くない」

そう言って、抱き締めてくれる。

「しようか?嫌じゃないなら」

「うん」

「旦那さんに会う前に、ここ真っ白にしなくちゃ!」

そう言って、頭を優しく撫でられる。

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