228 / 646
凛の話12
最後までしないから…
しおりを挟む
私は、凛君から離れようとする。
「離してくれなきゃ!お酒飲めない」
「嫌だよ」
凛君は、そう言って私の腰に手を回してくる。
「でも、お酒」
「このまま、取って」
そう言われて、手を伸ばしてテーブルの上のレモンチューハイの缶を何とか取った。動いたから、よけい凛君のそれが当たる。
「あんまり動いたら、僕果てちゃうから」
耳元に顔を近づけて、凛君がそっと囁いてくる。二年後、凛君は私じゃない人とするだろう。でも、老婆心から、私は凛君に言ってしまう。
「初めてをする時は、凛君が本当にこの人って思う人として」
「それは、凛さんだよ」
「それは、今の話でしょ?もし、私とそうなれなかったとしても投げやりに誰かと肌を重ねないで」
「どういう意味?」
「私はね、凛君には幸せになって欲しいの」
私や拓夢のように、初体験を忘れたくなるような出来事にして欲しくなかった…。まだ、経験がないのなら大切にして欲しかった。
「流されたり、妥協して、いたずらに肌を重ねないで」
「凛さん」
「お願い、約束して」
凛君は、私を見つめる。私の頬を涙が濡らしていく。
「わかった。大切にする」
「うん」
凛君は、私の涙を拭ってくれる。私は、それを見つめながらお酒を飲んだ。
「凛君、初めてが遅いのは恥ずかしい事じゃないよ」
「凛さん」
「経験が少ない事も、恥ずかしい事じゃない」
「でも、馬鹿にされる」
「そんな人は、放っておけばいいの」
私の頬にある凛君の右手を左手で握りしめる。
「大切なのは、愛する人と愛し合えたかどうかだけ…」
「本当に?」
「本当だよ」
私は、チューハイをいっきに飲み干した。
「凛君」
「はい」
「初めてをやり直す事は、二度と出来ないの。凛君は流されないで…」
「凛さんは、初めてを後悔してるの?」
凛君の素直な目にしていないとは言えなかった。
「してる」
そう言った私は、抱き抱えて凛君は立ち上がった。
「怖いよ」
「しっかり掴まって」
私は、凛君にしっかり掴まった。まるで、赤ちゃんみたいだ。抱っこされてる。
ドサッ……
私は、ベッドにおろされる。
「電気消してあげる」
そう言って、凛君はパチパチと電気を消した。
「消し方わかんなかった」
玄関付近の電気だけが、消えずについていた。暗闇だけど、真っ暗じゃない。
「顔は見たい」
そう言って、ベッド近くの電気はつけられる。
「最後までは、しないから」
ほら、またあの呪文を凛君は口に出した。
「わかった」
「凛さん、触っていい?」
「いいよ」
私と凛君は、向き合って寝転がっていた。凛君は、お腹からゆっくりと手を入れていく。上野を思い出し、拓夢の初めてを聞かされなければ、凛君とこんな風にはならなかった。だけど、思い出してしまった今…。私は、凛君を受け入れようと決めていた。
「離してくれなきゃ!お酒飲めない」
「嫌だよ」
凛君は、そう言って私の腰に手を回してくる。
「でも、お酒」
「このまま、取って」
そう言われて、手を伸ばしてテーブルの上のレモンチューハイの缶を何とか取った。動いたから、よけい凛君のそれが当たる。
「あんまり動いたら、僕果てちゃうから」
耳元に顔を近づけて、凛君がそっと囁いてくる。二年後、凛君は私じゃない人とするだろう。でも、老婆心から、私は凛君に言ってしまう。
「初めてをする時は、凛君が本当にこの人って思う人として」
「それは、凛さんだよ」
「それは、今の話でしょ?もし、私とそうなれなかったとしても投げやりに誰かと肌を重ねないで」
「どういう意味?」
「私はね、凛君には幸せになって欲しいの」
私や拓夢のように、初体験を忘れたくなるような出来事にして欲しくなかった…。まだ、経験がないのなら大切にして欲しかった。
「流されたり、妥協して、いたずらに肌を重ねないで」
「凛さん」
「お願い、約束して」
凛君は、私を見つめる。私の頬を涙が濡らしていく。
「わかった。大切にする」
「うん」
凛君は、私の涙を拭ってくれる。私は、それを見つめながらお酒を飲んだ。
「凛君、初めてが遅いのは恥ずかしい事じゃないよ」
「凛さん」
「経験が少ない事も、恥ずかしい事じゃない」
「でも、馬鹿にされる」
「そんな人は、放っておけばいいの」
私の頬にある凛君の右手を左手で握りしめる。
「大切なのは、愛する人と愛し合えたかどうかだけ…」
「本当に?」
「本当だよ」
私は、チューハイをいっきに飲み干した。
「凛君」
「はい」
「初めてをやり直す事は、二度と出来ないの。凛君は流されないで…」
「凛さんは、初めてを後悔してるの?」
凛君の素直な目にしていないとは言えなかった。
「してる」
そう言った私は、抱き抱えて凛君は立ち上がった。
「怖いよ」
「しっかり掴まって」
私は、凛君にしっかり掴まった。まるで、赤ちゃんみたいだ。抱っこされてる。
ドサッ……
私は、ベッドにおろされる。
「電気消してあげる」
そう言って、凛君はパチパチと電気を消した。
「消し方わかんなかった」
玄関付近の電気だけが、消えずについていた。暗闇だけど、真っ暗じゃない。
「顔は見たい」
そう言って、ベッド近くの電気はつけられる。
「最後までは、しないから」
ほら、またあの呪文を凛君は口に出した。
「わかった」
「凛さん、触っていい?」
「いいよ」
私と凛君は、向き合って寝転がっていた。凛君は、お腹からゆっくりと手を入れていく。上野を思い出し、拓夢の初めてを聞かされなければ、凛君とこんな風にはならなかった。だけど、思い出してしまった今…。私は、凛君を受け入れようと決めていた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー

果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる