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拓夢の話11

話し合い

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「母さん、凛さんに酷いこと言わないでよ」

「あんたは、黙ってなさい!この女が、あんたをたぶらかしてんのはわかってんのよ!こんな場所まで、未成年連れてきて」

「母さん、もうやめてよ」

平田さんは、そう言って母親を止めている。

「お願いします。今日だけ、二人で居させてあげてもらえないでしょうか?」

俺は、平田さんの母親に頭を下げる。

「星村さんが、何でお願いしてんのよ」

「お願いします」

平田さんの母親は、俺の前にやってきた。

「あんたも、この女にたぶらかされたんでしょ?」

「違います」

「母さん、お願いだから凛さんと居させてよ」

「何なの!母さんよりこの女がいいの?」

「1日ぐらい、僕だって!好きな人と居たいんだよ」

「この女とは、居たでしょうが?」

「二人きりで過ごしたいんだよ」

平田さんの母親は、涙目で平田さんを見つめる。

「あんたも、父さんと同じで私を捨てんのね」

そう言って、体を引きずるように部屋を出て行く。

「拓夢」

追いかけようとする俺の腕を凛が掴んだ。

「大丈夫だから!凛は、平田さんと過ごしていて!俺が、何とかするから」

「行かないで……」

「約束したなら、守らなきゃ!凛」

「拓夢」

「また、今度な」

俺は、部屋を出て平田さんを追いかける。

「待って」

「離してよ」

エレベーターの前で、ちょうど掴まえれた。

「部屋戻りましょう」

「あの女としたんでしょ?」

鋭い言葉に、何も言えなかった。

「別の場所に行きますか?」

「いいよ、別に」

俺は、平田さんの母親と部屋に戻った。部屋に入ると平田さんの母親は、煙草に火をつける。

「気持ちよかった?」

「すみません」

「別に、あんたを咎めてるわけじゃない」

「すみません」

それでも、俺は謝るしかないと思った。

「あの人、子供出来ないんだってね」

俺は、何も言えずにいる。

「凛を子供みたいに思ってんのかなー。プハー」

煙草の煙を吐き出しながら泣いてる。

「私は、凛に優しく出来ない」

「はい」

「だから、あの女が凛に優しくしてると思うと腹がたってさ」

「そうですか」

「星村さん、座りなよ」

平田さんの母親は、そう言って俺を自分の隣に俺を呼んだ。俺は、隣に座った。

「お酒飲んでいい?」

「俺が、取ってきます」

俺は、すぐに立ち上がって冷蔵庫に冷やしたお酒を持ってきた。

「ありがとう」

プシュっとビールのプルトップを開ける。

「星村さんも飲みなよ!」

「はい」

そう言われて、俺は冷蔵庫にまた行ってビールを持ってきた。

「乾杯」

「乾杯」

ゴクゴクと並んで、ビールを飲む。

「凛がさ」

「はい」

「ずっーと、あの人は悪くない!悪いのは、僕だからって言うのよ」

そう言うと、平田さんの母親の目から涙が流れてくる。

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