197 / 646
拓夢の話10
秘密と苦しみ…
しおりを挟む
俺は、まっつんのお母さんに嫌な思いをさせないように、首を横に振った。
「今日の事は、忘れましょう!事故だと思って」
「は、はい」
忘れられるはずなかった。
「いい子ね!」
そう言って、頭を優しく撫でられる。
「どうも」
「じゃあ、私。帰るね」
そう言って、まっつんの母親は帰って行った。俺は、身体中に刻まれたまっつんの母親の痕跡を抱えたままだった。
拭いされないまま、夜、練習でまっつんに会った。
「拓夢、昨日ごめんな」
肩を叩かれて、ビクッとした。
「どうした?」
「あー、ごめん」
「あいつ何かほっといたらよかったんだよ」
「女の人だから」
「関係ねーよ!あいつは、誰かれ構わず寝るような女だから!心配なんかしなくていいよ」
「お母さん、苦しんでたよ」
「あー、あんなパフォーマンスほっときゃいいって」
「そうは、見えなかったけど」
俺の言葉にまっつんは、俺を見つめる。
「あの女とセックスしたか?」
「はっ?はぁ?」
「なわけねーよな!あいつと拓夢がやってたら俺は友達やめてるわ!気持ち悪いからさー」
気持ち悪い、友達やめてる。その言葉が、グサグサと胸を刺した。
「ごめん、トイレ」
俺は、走ってトイレに行った。
ヤバい!バレちゃ駄目だ!絶対に、バレちゃ駄目だ。足が、ガタガタ震えてくる。吐き気が込み上げてくる。何で、しちゃったんだよ!馬鹿か俺…。
まっつんの母親の拒絶しないで欲しいって目に、吸い込まれるようにそうなってた。思い出すな!思い出すな!
コンコンー
「はい」
「拓夢、大丈夫か?腹痛いの?」
声をかけてきたのは、智だった。
「ちょっと調子悪い」
「そっか、無理すんなよ」
誰にも言えなかった。ずっと、言えなくて…。苦しくて、死にそうで。あの事を上書き出来る人はいなかった。明日花ちゃんも、無理だった。
なのに…。
「拓夢」
凛が初めて忘れさせてくれた。
気づくと頭を抱えていた。俺は、スマホを取って凛のメッセージを指でなぞる。
「だから、俺。凛に執着してる」
俺の話聞いたら、軽蔑するよな!楽になりたい。秘密を抱えて歩いて行くのは、しんどくて…。辛くて…。でも、俺が荷物を下ろせば凛に背負わすんだ。凛は、誰にも言えないまま、俺の荷物を背負って一生歩く。そう考えたら、言えない。
気づいたら、後、三十分で晩御飯が終わる時間だった。
「あの」
平田さんの母親に声をかける。
「イッター。ごめん、時間?」
「はい」
「行こうか」
そう言って、平田さんの母親は立ち上がった。さっきのキスも墓場まで…。俺は、どれだけ抱えなきゃならないんだ。
「今日の事は、忘れましょう!事故だと思って」
「は、はい」
忘れられるはずなかった。
「いい子ね!」
そう言って、頭を優しく撫でられる。
「どうも」
「じゃあ、私。帰るね」
そう言って、まっつんの母親は帰って行った。俺は、身体中に刻まれたまっつんの母親の痕跡を抱えたままだった。
拭いされないまま、夜、練習でまっつんに会った。
「拓夢、昨日ごめんな」
肩を叩かれて、ビクッとした。
「どうした?」
「あー、ごめん」
「あいつ何かほっといたらよかったんだよ」
「女の人だから」
「関係ねーよ!あいつは、誰かれ構わず寝るような女だから!心配なんかしなくていいよ」
「お母さん、苦しんでたよ」
「あー、あんなパフォーマンスほっときゃいいって」
「そうは、見えなかったけど」
俺の言葉にまっつんは、俺を見つめる。
「あの女とセックスしたか?」
「はっ?はぁ?」
「なわけねーよな!あいつと拓夢がやってたら俺は友達やめてるわ!気持ち悪いからさー」
気持ち悪い、友達やめてる。その言葉が、グサグサと胸を刺した。
「ごめん、トイレ」
俺は、走ってトイレに行った。
ヤバい!バレちゃ駄目だ!絶対に、バレちゃ駄目だ。足が、ガタガタ震えてくる。吐き気が込み上げてくる。何で、しちゃったんだよ!馬鹿か俺…。
まっつんの母親の拒絶しないで欲しいって目に、吸い込まれるようにそうなってた。思い出すな!思い出すな!
コンコンー
「はい」
「拓夢、大丈夫か?腹痛いの?」
声をかけてきたのは、智だった。
「ちょっと調子悪い」
「そっか、無理すんなよ」
誰にも言えなかった。ずっと、言えなくて…。苦しくて、死にそうで。あの事を上書き出来る人はいなかった。明日花ちゃんも、無理だった。
なのに…。
「拓夢」
凛が初めて忘れさせてくれた。
気づくと頭を抱えていた。俺は、スマホを取って凛のメッセージを指でなぞる。
「だから、俺。凛に執着してる」
俺の話聞いたら、軽蔑するよな!楽になりたい。秘密を抱えて歩いて行くのは、しんどくて…。辛くて…。でも、俺が荷物を下ろせば凛に背負わすんだ。凛は、誰にも言えないまま、俺の荷物を背負って一生歩く。そう考えたら、言えない。
気づいたら、後、三十分で晩御飯が終わる時間だった。
「あの」
平田さんの母親に声をかける。
「イッター。ごめん、時間?」
「はい」
「行こうか」
そう言って、平田さんの母親は立ち上がった。さっきのキスも墓場まで…。俺は、どれだけ抱えなきゃならないんだ。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる