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凛の話10

引き離される…

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「何でいるの?」

「あんたが、馬鹿な事しないようによ!ちょっと来なさい」

「嫌だよ!離して」

凛君は、手首を掴まれて引っ張られる。

「凛」

「何で?」

私の前には、拓夢が現れた。

「凛さん」

「凛君」

私と凛君は、まるで、蛇に睨まれた蛙のようだった。凛君は、母親に連れて行かれる。私は、拓夢に手を掴まれる。私と凛君の手がゆっくりと離れていく。

「凛、こっちに来な!」

そう言って、凛君は連れて行かれた。

「待って」

「凛、行くよ」

私も拓夢に連れて行かれる。まるで、不倫がバレた瞬間をシュミレーションしてるようだった。

拓夢は、私をどんどん連れて行くと部屋の前で止まった。鍵を開けて、中に入る。

「何?」

「何じゃないだろ?まさか、平田さんとセックスしてないよな?」

久しぶりに話すと思ったら、私と凛君がセックスしていないかと聞かれて私は驚いた顔をした。

「何だよ」

「私と凛君が、セックスしてようがしてなかろうが、拓夢に何の関係もない」

私は、拓夢を睨み付けて言った。

「関係ある」

「はぁー?」

拓夢は、私の言葉を無視するように私を強引に引き寄せて抱き締めてくる。

「離して」

「離さない」

暴れる腕をしっかりと押さえ込まれて、さらにギュッと抱き締められる。

「誰でもいいのに…やめてよ」

「誰でもよくない!俺は、凛以外と出来ないんだ」

「嘘だよ!嘘!あの女の人の声は?美紗さんじゃなかったよね?」

「あれは、明日花ちゃんだった。美紗や明日花ちゃんとしようとしたのは認める。だけど、出来なかった。うまく、機能しなかったんだ」

「そんな言葉信じれるわけない」

「じゃあ、二人に電話して聞いていいから!」

「そこまで、する必要ない」

「してよ」

「何で?」

「愛してるんだよ、凛」

その言葉に、体の奥からボコッと何かが沸き上がったのを感じる。拓夢は、大人しくなったのを感じたのか私を離してくれる。

「電話!管理人さんが来てたから、出れなかった。何かあったんだろ?」

拓夢に顔を覗き込まれる。涙が込み上げてくる。

「何もない」

「嘘つかなくていいから」

頭をポンポンと優しく撫でられる。涙がどんどん奥から沸き上がってくるのを感じる。ポタリと頬を濡らす涙を拓夢は、長い指先で拭ってくれる。

「凛、泣かないで」

頬に手を当てられて、拓夢の顔に引き寄せられる。

「今日は、約束なの!凛君と…」

「まっつんの話、聞いたんだろ?」

その言葉に、私は何も答えられずに目をそらそうとした瞬間。唇が重なった。凛君と違って、どうすればいいかわかってるキス……。
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