185 / 646
凛の話10
見覚えのある人…
しおりを挟む
「凛さんは、駄目だよ」
「わかってる」
暖簾で見えないけれど…。
「うどん屋さんもあるんだ!」
「食べたいですか?」
「いや、これが一番行きたい」
聞いた事のある声が通りすぎる。
「財布しまって」
「ごめん、また持ってた」
「外にいていいよ」
「わかった」
凛君に怒られて、私は外に出る。見覚えのある後ろ姿が目についた。
拓夢がいる…。誰かと…。何で?
【拓夢君】そう呼んだ女の人といるんだ。あの可愛らしい声の人と…。ご飯を食べに来たのだろうか?それとも、旅行?その人を抱くの?あんな風に…。私なんか上書きして消去するぐらいに…。
「お待たせ」
ギュッとうどん屋さんの前で、抱き締められた。
「迷惑だから」
「泣いてるから、悪い」
「離して」
凛君は、私から離れて手を引っ張る。
「凛さん、泣かないで」
その指先で、涙を拭ってくれる。
「ごめんね」
「ううん」
「お酒飲みたくなっちゃったなー」
「じゃあ、コンビニで買ってからもどろうか?」
「うん」
凛君は、手を繋いで握りしめてくれる。
「うどん屋さんのドア、固定されて開いてるって気づかなくて閉めようとしちゃった」
「ハハハ、恥ずかしかった?」
「凄く」
凛君は、そう言って笑ってる。
「この洋食屋さん!いつか、これたらいいなー」
洋食屋さんを通りすぎる時に、拓夢が見えた。向かいに座ってる人は、見えなかったけど…。胸がズキズキと痛む。
「いつか、ついてきて!凛さん」
「あっ、えっ、うん」
「聞いてた?」
「うん、聞いてた」
「嘘つかないでよ」
凛君は、そう言って私の手をさらに強く握りしめる。
「お酒飲んで忘れなよ!嫌な事!全部聞くよ」
そう言ってくれる。凛君は、母親の話をたくさんたくさん聞いてきたのがわかる。コンビニに寄って、飲み物やお菓子をカゴやおつまみをカゴがいっぱいになるほど私達はいれた。
「ケーキ食べよう」
「いいよ」
そう言って、凛君はチーズケーキをいれてくる。
「苦手なんでしょ?」
「いいから、いいから」
チョコレートケーキと取り替えようとした私の手を凛君は握りしめて笑った。
「そうなの?」
「うん、買って帰ろう」
そう言って、レジにカゴを持っていく。私が、財布を取り出すといらないとしまわされた。
「ありがとうございました」
男の店員さんに、頭を下げられる。
「お金、おろしてくる」
凛君は、そう言って袋を持ってATMに向かっていた。私は、コンビニの外に出て待っていた。
「ごめんね」
「おろさなくてもよかったのに…」
「貯金あるんだよ!それなりに!だから、大丈夫」
凛君は、そう言って私の手を握りしめてくれる。凛君の優しさが、手を通して伝わってくる。
「わかってる」
暖簾で見えないけれど…。
「うどん屋さんもあるんだ!」
「食べたいですか?」
「いや、これが一番行きたい」
聞いた事のある声が通りすぎる。
「財布しまって」
「ごめん、また持ってた」
「外にいていいよ」
「わかった」
凛君に怒られて、私は外に出る。見覚えのある後ろ姿が目についた。
拓夢がいる…。誰かと…。何で?
【拓夢君】そう呼んだ女の人といるんだ。あの可愛らしい声の人と…。ご飯を食べに来たのだろうか?それとも、旅行?その人を抱くの?あんな風に…。私なんか上書きして消去するぐらいに…。
「お待たせ」
ギュッとうどん屋さんの前で、抱き締められた。
「迷惑だから」
「泣いてるから、悪い」
「離して」
凛君は、私から離れて手を引っ張る。
「凛さん、泣かないで」
その指先で、涙を拭ってくれる。
「ごめんね」
「ううん」
「お酒飲みたくなっちゃったなー」
「じゃあ、コンビニで買ってからもどろうか?」
「うん」
凛君は、手を繋いで握りしめてくれる。
「うどん屋さんのドア、固定されて開いてるって気づかなくて閉めようとしちゃった」
「ハハハ、恥ずかしかった?」
「凄く」
凛君は、そう言って笑ってる。
「この洋食屋さん!いつか、これたらいいなー」
洋食屋さんを通りすぎる時に、拓夢が見えた。向かいに座ってる人は、見えなかったけど…。胸がズキズキと痛む。
「いつか、ついてきて!凛さん」
「あっ、えっ、うん」
「聞いてた?」
「うん、聞いてた」
「嘘つかないでよ」
凛君は、そう言って私の手をさらに強く握りしめる。
「お酒飲んで忘れなよ!嫌な事!全部聞くよ」
そう言ってくれる。凛君は、母親の話をたくさんたくさん聞いてきたのがわかる。コンビニに寄って、飲み物やお菓子をカゴやおつまみをカゴがいっぱいになるほど私達はいれた。
「ケーキ食べよう」
「いいよ」
そう言って、凛君はチーズケーキをいれてくる。
「苦手なんでしょ?」
「いいから、いいから」
チョコレートケーキと取り替えようとした私の手を凛君は握りしめて笑った。
「そうなの?」
「うん、買って帰ろう」
そう言って、レジにカゴを持っていく。私が、財布を取り出すといらないとしまわされた。
「ありがとうございました」
男の店員さんに、頭を下げられる。
「お金、おろしてくる」
凛君は、そう言って袋を持ってATMに向かっていた。私は、コンビニの外に出て待っていた。
「ごめんね」
「おろさなくてもよかったのに…」
「貯金あるんだよ!それなりに!だから、大丈夫」
凛君は、そう言って私の手を握りしめてくれる。凛君の優しさが、手を通して伝わってくる。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
Untangl~秘密の場所で逢いましょう~
猫田けだま
恋愛
17歳の夏の終わり。
家庭に居場所がなく、クラスでも浮いていた美緒と透吾は、偶然に使われていない弓道場を〝避難場所〟として共有することになる。
かたくなだった互いの心は、肩を寄せ合うことで少しずつやわらかに形を変えていくが……。
高校生編と社会人編の2部作です。
画像は、にじジャーニーさんで作成しています。
警察官は今日も宴会ではっちゃける
饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。
そんな彼に告白されて――。
居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。
★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。
★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる