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拓夢の話8
重なる想い
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俺は、明日花ちゃんの頬のアイスノンをのけて手を当てる。
「拓夢君」
「明日花ちゃん」
明日花ちゃんは、頬の手を握りしめてくれる。
「拓夢君、いいよ」
その言葉に、俺は頷いた。
「こっちに来て」
俺は、明日花ちゃんの手を引いてベッドに連れて行く。雅俊に悪いのは、わかってる。だけど、今この瞬間に俺も明日花ちゃんも悲しみや痛みを拭わなければいけない気がしていた。俺は、明日花ちゃんをベッドに座らせる。
「拓夢君」
「大丈夫」
俺は、明日花ちゃんのワンピースのボタンをゆっくりはずしていく。
「いいのかな?」
「わからない、やめていい」
「やめたくない。拓夢君」
俺は、ボタンをはずすのをやめようとする、その手を明日花ちゃんは、握り締める。俺は、その手に答えるようにボタンをはずしていく。久しぶりに見る、明日花ちゃんの下着姿だった。俺は、明日花ちゃんのブラジャーのホックに手を伸ばしてゆっくり外す。
もう、言葉はいらない。俺も、明日花ちゃんも、そう感じた。
優しくキスをすると、それを返してくれる。美紗とは違う。凛とも違う。そのキスは、あの日のように戸惑っているようなキスで…。
明日花ちゃんは、俺のベルトに手をかける。
カチャカチャと音を立ててはずされ、ジッーとチャックをおろされる。
ゆっくりと俺のそれに、触れた瞬間だった。
「拓夢君、好きな人いるんだね」
そう言って、動きが止まった。
「あー、何で!ちょっと待って、最悪だ」
俺は、自分が役に立たないのを知った。
「仕方ないよ!私に興味ないんだから…」
「そんな事ない!俺は、今、明日花ちゃんとそうなりたいって!そうなれたらって!だから、おかしいんだよ!何でかな?」
明日花ちゃんもは、俺の手を握りしめてくれる。
「理由は、自分でわかってるんでしょ?本気で、愛してる人を見つけたんでしょ?違う」
「そんな人いない」
「嘘だよ!いるから、駄目なんだよ」
「違う、違う、違う」
俺は、首を左右に振った。
「違わないよ」
「傷つけるつもりじゃなかったんだ。明日花ちゃんの事」
「大丈夫だよ!拓夢君が、好きな人にしかそうならない人だってわかってるから…。だから、私は傷ついてないよ!大丈夫だから…」
「それでも、雅俊のもとには暫く戻らない方がいいよ」
明日花ちゃんは、服を直し始める。
「拓夢君」
「何?」
「好きな人に会いに行った方がいいんじゃない?」
「それは、出来ない」
「どうして?」
「彼女は、結婚してるから…」
「結婚していたら、会いに行っちゃいけないの?」
「そうだよ」
俺は、ベッドから立ち上がろうとする。明日花ちゃんは、俺の腕を掴んだ。
「拓夢君、拓夢君はもっと自分の気持ちに素直になるべきだよ!」
明日花ちゃんは、そう言って俺の頭を優しく撫でてくれる。
「拓夢君」
「明日花ちゃん」
明日花ちゃんは、頬の手を握りしめてくれる。
「拓夢君、いいよ」
その言葉に、俺は頷いた。
「こっちに来て」
俺は、明日花ちゃんの手を引いてベッドに連れて行く。雅俊に悪いのは、わかってる。だけど、今この瞬間に俺も明日花ちゃんも悲しみや痛みを拭わなければいけない気がしていた。俺は、明日花ちゃんをベッドに座らせる。
「拓夢君」
「大丈夫」
俺は、明日花ちゃんのワンピースのボタンをゆっくりはずしていく。
「いいのかな?」
「わからない、やめていい」
「やめたくない。拓夢君」
俺は、ボタンをはずすのをやめようとする、その手を明日花ちゃんは、握り締める。俺は、その手に答えるようにボタンをはずしていく。久しぶりに見る、明日花ちゃんの下着姿だった。俺は、明日花ちゃんのブラジャーのホックに手を伸ばしてゆっくり外す。
もう、言葉はいらない。俺も、明日花ちゃんも、そう感じた。
優しくキスをすると、それを返してくれる。美紗とは違う。凛とも違う。そのキスは、あの日のように戸惑っているようなキスで…。
明日花ちゃんは、俺のベルトに手をかける。
カチャカチャと音を立ててはずされ、ジッーとチャックをおろされる。
ゆっくりと俺のそれに、触れた瞬間だった。
「拓夢君、好きな人いるんだね」
そう言って、動きが止まった。
「あー、何で!ちょっと待って、最悪だ」
俺は、自分が役に立たないのを知った。
「仕方ないよ!私に興味ないんだから…」
「そんな事ない!俺は、今、明日花ちゃんとそうなりたいって!そうなれたらって!だから、おかしいんだよ!何でかな?」
明日花ちゃんもは、俺の手を握りしめてくれる。
「理由は、自分でわかってるんでしょ?本気で、愛してる人を見つけたんでしょ?違う」
「そんな人いない」
「嘘だよ!いるから、駄目なんだよ」
「違う、違う、違う」
俺は、首を左右に振った。
「違わないよ」
「傷つけるつもりじゃなかったんだ。明日花ちゃんの事」
「大丈夫だよ!拓夢君が、好きな人にしかそうならない人だってわかってるから…。だから、私は傷ついてないよ!大丈夫だから…」
「それでも、雅俊のもとには暫く戻らない方がいいよ」
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「何?」
「好きな人に会いに行った方がいいんじゃない?」
「それは、出来ない」
「どうして?」
「彼女は、結婚してるから…」
「結婚していたら、会いに行っちゃいけないの?」
「そうだよ」
俺は、ベッドから立ち上がろうとする。明日花ちゃんは、俺の腕を掴んだ。
「拓夢君、拓夢君はもっと自分の気持ちに素直になるべきだよ!」
明日花ちゃんは、そう言って俺の頭を優しく撫でてくれる。
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