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拓夢の話8

最低だな!!

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お尻のポケットから、スマホを取り出した。

「ごめん、まっつんだわ」

「出ていいよ」

「ごめん」

俺は、立ち上がってダイニングテーブルの椅子に座って電話に出る。

「もしもし」

『お前、何してんだよ』

まっつんは、凄く怒っていた。

「何って?」

『凛さん、壊れそうなぐらい泣いてるんだぞ』

その言葉に、胸が締め付けられて苦しくなる。

「そう」

『もういいのかよ!』

まっつんは、泣いてるみたいな声でそう言った。

「仕方ないよ」

『結婚してるからか?不倫だからか?』

「それもある」

その言葉にまっつんが怒った。

『だったら、最初から凛さんの人生を振り回してんじゃねーぞ』

まっつんは、めちゃくちゃ怒っている時は、喋り方に感情が乗っていない。

「まっつんに関係ないだろ?」

『お前、最低だな!お前が、関わらなかったら凛さんは苦しまなかったんだぞ!』

「何だよ!まっつんは、そっちの味方かよ」

まっつんは、俺の言葉にさらに怒って話した。

『味方も敵もねーよ。凛さんが、どれだけ子供を切望してたかわかってんだろ?』

「だから、何だよ」

『お前への切望も絶望に変わったんだよ』

その言葉に、俺は固まっていた。

『意味理解出来てないなら言ってやるよ!旦那さんがいなかったら、明日花ちゃんみたいになってたぞ!』

その言葉に俺の手が震える。まっつんは、俺に止めをさすように最後にこう言った。

『それと、もう一つ言うけど…。俺は、平田君を応援するから』

「はぁ?何だよ!それ」

やっと出た言葉は、これだった。

『悪いけど、今の凛さんには平田君の優しさが必要だと思った!信じないなら、最後に聞かせてやるよ』

まっつんは、凛達と離れた場所に居たようだった。さっきまでの静けさと変わった。

『凛さん、僕が支えるよ』

『凛ちゃん、そんなに苦しまないでいいの』

『あー、あー、私、私ね』

凛が、子供みたいに泣いてる。

『大丈夫だよ、凛さん』

『大丈夫、大丈夫』

『私、私、いつかは、こうなるってわかってた。だけどね、だけどね。こんな終わり方は嫌だったのー』

泣き崩れてる凛が、浮かんできて…。俺の目から涙がポトリと流れてくる。

『聞こえたか?』

また、静かになった

「だから…」

『拓夢、二度と凛さんに会うな!』

「何で、まっつんに…」

『もう、凛さんに絶望を与えてやるなよ!』

まっつんは、怒りを通り越していた気がする。

『これ以上、絶望したら凛さん。本当にいなくなっちゃうから』

まっつんは、そう言って鼻をすすってる。

『もう、凛さんの人生にかかわるな!』

「ふざけ」

ふざけんなって言おうとした俺にまっつんがこう言った。

『運命を変えたのは、お前だから…』

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