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凛の話8

ミゼリア

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ホームに降りて歩きだす。拓夢となら、手を繋いでるであろうその距離を私と凛君は並んで歩く。

「何か、お腹すいちゃった」

「何か、食べていいよ!晩御飯は?」

「いつもは、お母さんが500円くれたりお弁当作ってくれるんだけど…。ほら、いつ帰ってきていいって言ってくれるかわからないから…。少しでも、お金を置いとこうと思ったらパン一つしか食べれなかった」

凛君は、小さな溜め息を吐いた。

「お腹すいてるでしょ?食べたらいいよ!」

「ありがとう」

凛君は、お腹に手を当てている。

改札を抜けると、【ミゼリア】と書かれた看板が目につく。

「ここ、結構美味しいんだよ!来たことある?」

「こっちじゃなくて、家の近くのなら」

「そうだよね!チェーン店だからね」

「そうだね」

そう言って、凛君はニコニコ笑う。【ミゼリア】の店の前について、私と凛君は、【ミゼリア】に入る。

「いらっしゃいませー」

店員の女の人が現れた。

「何名様ですか?」

「ふたりです」

「二名様ですね!こちらにどうぞ」

「あっ、あの、奥がいいです」

案内されようとした席を凛君は、断った。

「かしこまりました」

凛君が、奥と言った場所にやってきた。

「ご注文お決まりになりましたら、お呼び下さい」

そう言って、店員さんはお冷やとおしぼりを置いていなくなった。

「ここね、他の席と違って周りから見えないから」

確かに、高さがある造りのソファー席は、周囲からは、見えなさそうだった。

「凛さん、さっきから周りを気にしてるでしょ?」

「あっ、ごめんね」

「いいの、いいの!気にしないでよ」

凛君は、そう言いながらメニューを見つめている。

すぐに、凛君はピンポーンと呼び出しボタンを押した。店員さんが、やってきて凛君は注文している。

「はい」

「チーズケーキとアイスミルクティーで」

「セットにしますか?」

「はい、それで」

「かしこまりました」

そう言って、店員さんはいなくなった。

「凛さん、甘いの好きなの?」

「そう言うわけじゃないかな?」

「何か、デートみたいで楽しいな!」

凛君の無邪気な言葉に、胸がチクリと痛みだした。

「お手洗い行ってくる」

「うん!いってらっしゃい」

凛君は、そう言って笑って手を振ってくれる。

私は、トイレにやってきた。拓夢と何度も何度も約束を交わしたのに、今になって不安で仕方がなかった。どうしよう…。

でも、拓夢の家から二駅も離れているし。拓夢が、来るわけないよね。大丈夫、大丈夫!私は、何度か深呼吸をしてトイレから出る。

「あー、凛ちゃん」

私は、その声に固まってしまった。
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