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凛の話8

凛君との時間

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電車がついて、最寄りの駅のホームに降りた。
雨は、すっかり上がってしまったから、虹色の傘は邪魔ものになってしまっていた。
地面につかないように、腕にひっかけて歩く。改札を抜けて、スーパーの駐輪場に行く。

【駐輪場にいます】と凛君にメッセージを送る。五分後、凛君が現れた。

「凛さん、ごめんね!待たせちゃって」

「ううん、行こう」

「うん」

誰かに見つからないか、ヒヤヒヤしながら歩く。

「どうしたの?何か、ソワソワしてる?」

「ううん。まだ、地面濡れてるから野宿なんか出来ないよ」

「確かに…」

「でも、どこに行こうかな?一駅先の漫画喫茶は無理だし…」

「僕が、学校の友達とよく行くファミレスはどうかな?」

「そこにしよう!そういえば、凛君の学校ってどこにあるの?」

「七駅先だよ!」

「結構、遠いんだねー」

「公立に行くって言ったんだけど、母さんが絶対に父さんが行ってた私立の高校じゃなきゃ嫌だって言い出して…」

凛君は、あのお母さんの言いなりなんだと思った。

「そっか…」

「あっ、ごめん。重たい話するつもりじゃなかったんだよ」

「重たくなんかないよ!凛君は、複雑何だねって思っただけ」

「まあ、特殊かもね!母さんは、父さんに不倫されて捨てられた事をずっとずっと恨んでるから!それは、消えないでしょ?一生、心の傷になってるでしょ?」

「まだ、未成年のくせにわかったような言い方しない」

私は、凛君の背中を軽く叩いた。

「凛さん」

「子供らしくいなさい!そんな時期なんて、まばたきするぐらい一瞬でなくなっちゃうんだから」

私は、ニコニコと凛君に笑った。

「ありがとう、凛さん」

「うん」

いかにも、おばさんって感じの言い方をしていた。母に言われた言葉を言っただけに過ぎない。そして、私の母はいまだに私に子供らしくいなさいと言って吹き出しそうになる。母の中で、いくつになっても私は一生子供で…。母が、子供が出来ない事を責めていたら私は死んでいたに違いない。

「切符買ったよ」

「あ、ありがとう」

いつの間にか駅についていて、ボッーとする私の代わりに凛君が、切符を買ってくれていたようだった。

「いくらだっけ?」

「いいよ!切符代ぐらいあるから」

「そんなわけには、いかないよ」

「いいって」

凛君に、そう言われて私と凛君は改札を抜ける。凛君の言っていたファミレスは、どうやら6駅先にあるらしかった。

電車がやってきて、乗る。車内には、疎らに人が座っている。私達は、親子に見えるだろうか?そうじゃなきゃ、未成年者と一緒にいるのは、不自然。

気づいたら、電車は最寄りの駅についていた。
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