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拓夢の話7

今から、少し

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『はい、相沢です』

「あ、あのー」

『星村君、どうしたのかな?』

「言ってる事、変わりすぎなんですが…。俺達、四人でメジャー目指したいです」

『本気で言ってる?』

「はい、本気です」

相沢さんの声が明るくなるのを感じる。

『今から、会えないかな?少しだけ飲まない?』

「今からですか!大丈夫ですよ」

『……の、いずみって言う焼き鳥屋さんわかるかな?』

「あー、二駅先です」

『じゃあ、そこに来てくれるかな?少し、話をしよう』

「わかりました」

俺は、相沢さんと電話を切った。お皿は、帰ってから洗うか!凛が作ったハンバーグや味噌汁だけは腐ったらいけないから…。冷蔵庫にしまうか!熱いまましまっちゃ駄目って、よく美沙に怒られたけど…。調味料と卵しかない冷蔵庫なら大丈夫だろう!あの時は、食材たくさんはいってたし。俺は、それをしまってから、玄関に行く。雨振ってなかったから、傘いいか…。俺は、玄関の鍵をかけて出て行く。

駅について、電車に乗って二駅先にあるいずみにやってきた。

「いらっしゃいませー」

カウンターが、メインの焼き鳥屋さんだ。

「星村君、こっちこっち」

相沢さんに呼ばれて、俺はカウンターの端に行く。

「ビールでいいかな?」

「はい」

「お腹は?」

「食べてきました」

「一本ぐらい付き合ってよ!」

「はい」

相沢さんの前に、焼き鳥の盛り合わせとビールがやってくる。

「お疲れさま」

「お疲れさまです」

「乾杯」

「乾杯」

ガチンとグラスを合わせて、お酒を飲む。

「星村君、嬉しかったよ」

「さっきの話ですか?」

「そう!凄く嬉しいよ」

そう言って、焼き鳥の盛り合わせを差し出される。俺は、その中からささみの梅シソを取った。

「すみません。いただきます」

「どうぞ!で、いつなら聴かせにこれそう?」

「あー、メンバーに相談してからになります」

「早めにおいでよ」

相沢さんは、ニコニコ笑ってくれる。

「もしかして…」

「社長に話したんだ。星村君達をプロデュースしたいって」

「本当ですか?」

「ああ、本当だよ!」

「それで?」

「君達の音源をあの日少しだけ撮っていたから、社長に聴かせたんだ!そしたら、もしデビューしたいなら必ずうちでって」

相沢さんの言葉に俺は泣いていた。

「星村君、泣かないでよ!」

「すみません、嬉しくて」

「でも、嬉しいよ」

相沢さんも泣いてくれる。俺と相沢さんは、色んな話をした。

「じゃあ、気をつけてね!まだ、飲むから」

「じゃあ、また連絡します」

「待ってるよ」

俺は、23時半に相沢さんと別れた。駅に向かって歩いてく。そうだ!みんなに話さなきゃ!スマホを取り出そうとした時だった。

ブー、ブー、ブー
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