上 下
148 / 646
拓夢の話7

今から、少し

しおりを挟む
『はい、相沢です』

「あ、あのー」

『星村君、どうしたのかな?』

「言ってる事、変わりすぎなんですが…。俺達、四人でメジャー目指したいです」

『本気で言ってる?』

「はい、本気です」

相沢さんの声が明るくなるのを感じる。

『今から、会えないかな?少しだけ飲まない?』

「今からですか!大丈夫ですよ」

『……の、いずみって言う焼き鳥屋さんわかるかな?』

「あー、二駅先です」

『じゃあ、そこに来てくれるかな?少し、話をしよう』

「わかりました」

俺は、相沢さんと電話を切った。お皿は、帰ってから洗うか!凛が作ったハンバーグや味噌汁だけは腐ったらいけないから…。冷蔵庫にしまうか!熱いまましまっちゃ駄目って、よく美沙に怒られたけど…。調味料と卵しかない冷蔵庫なら大丈夫だろう!あの時は、食材たくさんはいってたし。俺は、それをしまってから、玄関に行く。雨振ってなかったから、傘いいか…。俺は、玄関の鍵をかけて出て行く。

駅について、電車に乗って二駅先にあるいずみにやってきた。

「いらっしゃいませー」

カウンターが、メインの焼き鳥屋さんだ。

「星村君、こっちこっち」

相沢さんに呼ばれて、俺はカウンターの端に行く。

「ビールでいいかな?」

「はい」

「お腹は?」

「食べてきました」

「一本ぐらい付き合ってよ!」

「はい」

相沢さんの前に、焼き鳥の盛り合わせとビールがやってくる。

「お疲れさま」

「お疲れさまです」

「乾杯」

「乾杯」

ガチンとグラスを合わせて、お酒を飲む。

「星村君、嬉しかったよ」

「さっきの話ですか?」

「そう!凄く嬉しいよ」

そう言って、焼き鳥の盛り合わせを差し出される。俺は、その中からささみの梅シソを取った。

「すみません。いただきます」

「どうぞ!で、いつなら聴かせにこれそう?」

「あー、メンバーに相談してからになります」

「早めにおいでよ」

相沢さんは、ニコニコ笑ってくれる。

「もしかして…」

「社長に話したんだ。星村君達をプロデュースしたいって」

「本当ですか?」

「ああ、本当だよ!」

「それで?」

「君達の音源をあの日少しだけ撮っていたから、社長に聴かせたんだ!そしたら、もしデビューしたいなら必ずうちでって」

相沢さんの言葉に俺は泣いていた。

「星村君、泣かないでよ!」

「すみません、嬉しくて」

「でも、嬉しいよ」

相沢さんも泣いてくれる。俺と相沢さんは、色んな話をした。

「じゃあ、気をつけてね!まだ、飲むから」

「じゃあ、また連絡します」

「待ってるよ」

俺は、23時半に相沢さんと別れた。駅に向かって歩いてく。そうだ!みんなに話さなきゃ!スマホを取り出そうとした時だった。

ブー、ブー、ブー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...