131 / 646
凛の話6
またね…
しおりを挟む
「わかった!連絡する」
「うん」
「ごめん、凛さん!僕、急ぐね」
「うん、気をつけてね」
凛君は、走っていなくなってしまった。
私は、とりあえずトボトボと公園を出た。
右に曲がれば、パンケーキの店だから駅がある。左って、何があるんだろう?
昔から、気になると確認しなくちゃいけない性格だった。拓夢には、まだかけられそうもないし…。行ってみようかな?
私は、左に向かって歩いた。ポツポツと雨が降ってくる。
やっぱり、雨!降ってきちゃった。
私は、鞄から折り畳み傘を広げて歩き出す。
何もなさそうな気がしないでもない。私は、それでも歩き出した。
暫く歩いて私は、道路の脇に跪いてるその人に近づいていた。
「濡れるよ」
そう言って、私は折り畳み傘をその人にかけた。
「凛!!!」
お化けでも見たみたいな顔で、拓夢は驚いて私を見ていた。やっぱり、拓夢で安心した。違ったらどうしようと思った。最初見た時は、具合が悪いのか?変な人なのか?関わりたくないから通り過ぎようかなーとも思ったけれど…。見覚えのある鞄に気づくと近づいてしまっていた。
「何してるの?こんな所で…。彼女は?」
「帰った」
「私とご飯食べるんじゃなかったの?」
「凛」
「危ないから」
拓夢に引き寄せられる。傘が危ないから、傾けた。
「助けてって、ずっと呼んでたんだ」
そう言って、強く抱き締められた瞬間…。
ザァー、ザァー。
バケツをひっくり返したような雨が降りだす。
ボトボト、ボトボトって、傘に雨が当たっていく。折り畳み傘が、小さ過ぎて私と拓夢の体は濡れていく。
「風邪引くから、立って」
「まだ、嫌だ」
拓夢は、地面に跪いてる状態だったのに私を強く引き寄せたいから、その場であぐらをかいた。そして、私を足の上に座らせる。
「汚れちゃうよ」
「大丈夫、帰ればスーツあるから」
「でも、こんな場所で」
道路脇にこんな風に座ってる人間は、恐怖でしかない。
「車なんか、一台も通ってない」
「拓夢、でも、人が」
「来たら、傘で隠せばいい」
「そんな…」
「恥ずかしい?」
尋ねられて、私は頷いた。
「だったら、凛は今高校生だ」
そう言って、拓夢は私のおでこにおでこをくっつけてくる。顔から火が出そうなぐらい熱い。恥ずかしさで体が、じんじんと熱くなるのを感じる。
「アオハル?」
私は、拓夢にそう言った。
「そう、アオハル」
拓夢は、そう言って私にキスしてきた。
「雨ー、ヤバい」
人の声がして来る。
「凛、隠して」
「えっ!うん」
私は、どっちからか来るかわからない声をうまく聞き分けながら傘で顔を隠した。
「ねぇ、ねぇ?人じゃない?」
「ヤバい、やってたりして」
「マジで!それヤバくない?」
「ヤバい、ヤバい!超、ヤバいって!」
「あー、濡れるから!早く急ごう」
「うんうん」
「走れー」
少しだけ水溜まりが出来ているのだろうか?声の主達は、パシャパシャと音を出して走っていった。
「うん」
「ごめん、凛さん!僕、急ぐね」
「うん、気をつけてね」
凛君は、走っていなくなってしまった。
私は、とりあえずトボトボと公園を出た。
右に曲がれば、パンケーキの店だから駅がある。左って、何があるんだろう?
昔から、気になると確認しなくちゃいけない性格だった。拓夢には、まだかけられそうもないし…。行ってみようかな?
私は、左に向かって歩いた。ポツポツと雨が降ってくる。
やっぱり、雨!降ってきちゃった。
私は、鞄から折り畳み傘を広げて歩き出す。
何もなさそうな気がしないでもない。私は、それでも歩き出した。
暫く歩いて私は、道路の脇に跪いてるその人に近づいていた。
「濡れるよ」
そう言って、私は折り畳み傘をその人にかけた。
「凛!!!」
お化けでも見たみたいな顔で、拓夢は驚いて私を見ていた。やっぱり、拓夢で安心した。違ったらどうしようと思った。最初見た時は、具合が悪いのか?変な人なのか?関わりたくないから通り過ぎようかなーとも思ったけれど…。見覚えのある鞄に気づくと近づいてしまっていた。
「何してるの?こんな所で…。彼女は?」
「帰った」
「私とご飯食べるんじゃなかったの?」
「凛」
「危ないから」
拓夢に引き寄せられる。傘が危ないから、傾けた。
「助けてって、ずっと呼んでたんだ」
そう言って、強く抱き締められた瞬間…。
ザァー、ザァー。
バケツをひっくり返したような雨が降りだす。
ボトボト、ボトボトって、傘に雨が当たっていく。折り畳み傘が、小さ過ぎて私と拓夢の体は濡れていく。
「風邪引くから、立って」
「まだ、嫌だ」
拓夢は、地面に跪いてる状態だったのに私を強く引き寄せたいから、その場であぐらをかいた。そして、私を足の上に座らせる。
「汚れちゃうよ」
「大丈夫、帰ればスーツあるから」
「でも、こんな場所で」
道路脇にこんな風に座ってる人間は、恐怖でしかない。
「車なんか、一台も通ってない」
「拓夢、でも、人が」
「来たら、傘で隠せばいい」
「そんな…」
「恥ずかしい?」
尋ねられて、私は頷いた。
「だったら、凛は今高校生だ」
そう言って、拓夢は私のおでこにおでこをくっつけてくる。顔から火が出そうなぐらい熱い。恥ずかしさで体が、じんじんと熱くなるのを感じる。
「アオハル?」
私は、拓夢にそう言った。
「そう、アオハル」
拓夢は、そう言って私にキスしてきた。
「雨ー、ヤバい」
人の声がして来る。
「凛、隠して」
「えっ!うん」
私は、どっちからか来るかわからない声をうまく聞き分けながら傘で顔を隠した。
「ねぇ、ねぇ?人じゃない?」
「ヤバい、やってたりして」
「マジで!それヤバくない?」
「ヤバい、ヤバい!超、ヤバいって!」
「あー、濡れるから!早く急ごう」
「うんうん」
「走れー」
少しだけ水溜まりが出来ているのだろうか?声の主達は、パシャパシャと音を出して走っていった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
モラハラ王子の真実を知った時
こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。
父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。
王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。
王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。
いえ……幸せでした。
王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。
「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる