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凛の話6

大好きな家

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私は、家について玄関の鍵を開ける。玄関に入るとすぐに龍ちゃんが好きな森の香りがする。

「はぁー!我が家」

息を吸う度に、大好きな家の香りで安心感が広がる。

「ホッとする」

私は、玄関に座り込んだ。

私は、治療していた時にしていた想像をする。龍ちゃんと赤ちゃんを抱いた私が、公園から帰ってくる。

「もう、大変だったねー。そう、急な雨に濡れちゃたの!龍ちゃんは、バタバタ忙しくしながらベビーカーを畳んでる。ママ、体冷えちゃうよとか言って!タオル持ってくるからって言って、龍ちゃんが洗面所に急いで行ってね!」

話し出したら、涙が止まらなくなってきた。

「ほらー、ママ。赤ちゃん。風邪ひいちゃうからねーとか話してタオル差し出してくれるの」

涙で視界が、どんどん滲んでいく。

「ほらー、早く上がらないととか言って…」

私は、膝を抱えて泣く。

「龍ちゃん、赤ちゃん、赤ちゃん、欲しいよー」

ブー、ブー、ブー

何?

「はい」

鞄から手探りで、スマホを探して画面を見ずに通話した。

『凛、起きてた?』

「うん」

電話を掛けてきたのは、龍ちゃんだった!

『あのさー、悪いんだけど!俺の机にさー、紙忘れてないかな?』

「ちょっと待って」

私は、玄関からリビングに入った。それで、リビングの角にある龍ちゃんの机を見に行く。

『凛、泣いてた?』

「えっ、何で?」

『あっ、嫌。鼻声だから…。風邪ではないよなーって思って』

「泣いてないよ!ちょっと昨日寒かったのかも」

『エアコン調節しなよ』

「うん!あっ、あった!これかな?」

『悪い、写真送って欲しい』

「うん」

『文章わかればいいからさ!ショートメールでお願い』

「わかった」

『凛、浮気してもいいけど!バレないようにな!』

って笑って言ってきた。

「誰に、バレないように…」

『俺や近所や母さん!バレないなら、してたらいいよ!』

「それって、私を試してる?」


『さぁー?どうかな?でも、凛が辛くて悲しくて逃げたいって思う気持ちがあって!そうしなくちゃ、俺と今は向き合えないって言うなら!仕方ないって思うから』

「龍ちゃん……」

『夫婦なんて、他人から見たらわかんない事だらけだろ?どれが、正解なんて決まってないんだから!俺達は、俺達の答えを見つけるしかないだろ?それが、他人から見たら間違ってたってさ』

【センパーイ、お待たせしました】

『悪い、じゃあ!写真よろしく!気をつけろよ!戸締まりちゃんとして』

「わかった、ありがとう。龍ちゃんも気をつけて」

『ありがとう』

そう言って電話は、切れた。

カシャッ…。私は、写真を撮って龍ちゃんに送信した。
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