121 / 646
凛の話6
別れの朝
しおりを挟む
私は、拓夢と駅前で別れた。寂しい気持ちは、あったけれど…。私にとって、龍ちゃんと過ごすあの家は特別だから…。
切符を買って、改札を抜ける。駅のホームで、電車を待っていた。
ブー、ブー、ブー
「はい」
『もしもし、凛ちゃん!元気にしてる?』
「はい」
『龍が、なかなか来ないからねー。凛ちゃんとも会えないから…。それでね、掛けちゃった。忙しかった?』
「大丈夫です」
『なら、よかったわ』
電話を掛けてきたのは、龍ちゃんのお義母さんだった。お義母さんは、楽しそうに話してる。
『それでね、龍とまたきてよ』
一通りお義母さんは、自分の言いたい事を話せたらしい。
「はい」
『あれ、龍はいなかったりするの?』
どうやら、私の「はい」に元気がないのを気づいたようだった。
「はい!今、龍次郎さんは出張です」
『そうなの、寂しいわね!帰ってきたら、来れる?』
「はい!お義母さんの所には、龍次郎さんが帰ってきたら伺います。」
『嬉しいわ!凛ちゃん。私は、凛ちゃんの笑顔を見るのが好きなのよ!龍とは、うまくやってる?二人で生きていくのは大変でしょ?』
「そうですね!はい!仲良くやっています。」
『それなら、よかったわ!心配だったのよ!何かあったら、すぐ連絡してね!後、龍が帰ってきたら会いましょうね』
「はい、また連絡します」
プー、プー。龍ちゃんのお義母さんは、あれから「孫はまだ?」と口に出さなくなった。
ガタン、ガタン…
電車がやってきて、私は乗り込んだ。
化学流産ってよくわからない事を言われた数日後、龍ちゃんはお義母さんに孫の話をされた。
「もう、いい加減!ほっといてくれよ!俺には、俺の人生があるんだ!俺の生き方に口出しすんなよ」
そう言って、お茶の湯のみをガンっと怒ってテーブルに置いた。
孫を見せられない事に苦しめられてるのを知っていた。私は、駅を降りる。改札を抜けて、歩き出す。
例えば、私達夫婦がドラマや映画や小説やアニメの主人公なら…。ハッピーエンドは、だいたい約束されていて!40歳を目前に悲願の妊娠なんて話しになるのだろう。
でも、現実は違う。どう頑張っても私は自力で排卵を起こせる体ではない。お医者さんも、そう言った「皆月さんの場合、自然に妊娠出来る可能性は難しいと思って下さい」この【難しい】って言葉が、重要なんだよ!【難しい】と言われたら、もしかしたら出来るかもしれないって淡い期待をさせるじゃない。それに、【自然に】とつけられたら治療すればいいのねって安易に思わせてくれるじゃない。
切符を買って、改札を抜ける。駅のホームで、電車を待っていた。
ブー、ブー、ブー
「はい」
『もしもし、凛ちゃん!元気にしてる?』
「はい」
『龍が、なかなか来ないからねー。凛ちゃんとも会えないから…。それでね、掛けちゃった。忙しかった?』
「大丈夫です」
『なら、よかったわ』
電話を掛けてきたのは、龍ちゃんのお義母さんだった。お義母さんは、楽しそうに話してる。
『それでね、龍とまたきてよ』
一通りお義母さんは、自分の言いたい事を話せたらしい。
「はい」
『あれ、龍はいなかったりするの?』
どうやら、私の「はい」に元気がないのを気づいたようだった。
「はい!今、龍次郎さんは出張です」
『そうなの、寂しいわね!帰ってきたら、来れる?』
「はい!お義母さんの所には、龍次郎さんが帰ってきたら伺います。」
『嬉しいわ!凛ちゃん。私は、凛ちゃんの笑顔を見るのが好きなのよ!龍とは、うまくやってる?二人で生きていくのは大変でしょ?』
「そうですね!はい!仲良くやっています。」
『それなら、よかったわ!心配だったのよ!何かあったら、すぐ連絡してね!後、龍が帰ってきたら会いましょうね』
「はい、また連絡します」
プー、プー。龍ちゃんのお義母さんは、あれから「孫はまだ?」と口に出さなくなった。
ガタン、ガタン…
電車がやってきて、私は乗り込んだ。
化学流産ってよくわからない事を言われた数日後、龍ちゃんはお義母さんに孫の話をされた。
「もう、いい加減!ほっといてくれよ!俺には、俺の人生があるんだ!俺の生き方に口出しすんなよ」
そう言って、お茶の湯のみをガンっと怒ってテーブルに置いた。
孫を見せられない事に苦しめられてるのを知っていた。私は、駅を降りる。改札を抜けて、歩き出す。
例えば、私達夫婦がドラマや映画や小説やアニメの主人公なら…。ハッピーエンドは、だいたい約束されていて!40歳を目前に悲願の妊娠なんて話しになるのだろう。
でも、現実は違う。どう頑張っても私は自力で排卵を起こせる体ではない。お医者さんも、そう言った「皆月さんの場合、自然に妊娠出来る可能性は難しいと思って下さい」この【難しい】って言葉が、重要なんだよ!【難しい】と言われたら、もしかしたら出来るかもしれないって淡い期待をさせるじゃない。それに、【自然に】とつけられたら治療すればいいのねって安易に思わせてくれるじゃない。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
しつこい公爵が、わたしを逃がしてくれない
千堂みくま
恋愛
細々と仕事をして生きてきた薬師のノアは、経済的に追い詰められて仕方なく危険な仕事に手を出してしまう。それは因縁の幼なじみ、若き公爵ジオルドに惚れ薬を盛る仕事だった。
失敗して捕らえられたノアに、公爵は「俺の人生を狂わせた女」などと言い、変身魔術がかけられたチョーカーを付けて妙に可愛がる。
ジオルドの指示で王子の友人になったノアは、薬師として成長しようと決意。
公爵から逃げたいノアと、自覚のない思いに悩む公爵の話。
※毎午前中に数話更新します。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
もう惚れたりしないから
夢川渡
恋愛
恋をしたリーナは仲の良かった幼馴染に嫌がらせをしたり、想い人へ罪を犯してしまう。
恋は盲目
気づいたときにはもう遅かった____
監獄の中で眠りにつき、この世を去ったリーナが次に目覚めた場所は
リーナが恋に落ちたその場面だった。
「もう貴方に惚れたりしない」から
本編完結済
番外編更新中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今度は絶対死なないように
溯蓮
恋愛
「ごめんなぁ、お嬢。でもよ、やっぱ一国の王子の方が金払いが良いんだよ。わかってくれよな。」
嫉妬に狂ったせいで誰からも見放された末、昔自分が拾った従者によって殺されたアリアは気が付くと、件の発端である、平民の少女リリー・マグガーデンとで婚約者であるヴィルヘルム・オズワルドが出会う15歳の秋に時を遡っていた。
しかし、一回目の人生ですでに絶望しきっていたアリアは今度こそは死なない事だけを理念に自分の人生を改める。すると、一回目では利害関係でしかなかった従者の様子が変わってきて…?
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
ベイロンドの魔女
路地裏の喫茶店
ファンタジー
ベイロンドの森に人知れず暮らす『ベイロンドの魔女』
その魔女の塔に若くして塔主コリネロスと姉役リィディと暮らす魔女ランは、啓示を受け魔女としての仕事を果たしに初めての街へと向かう。
異世界ファンタジーの冒険物、主人公の成長記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる