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凛の話5

龍ちゃんとの朝

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あの後、すぐに眠ってしまった。目覚めて支度をしてキッチンに立った私は、結婚祝いにもらって食器棚の奥に飾りのように置かれていた。高級な珈琲カップを二客取り出した。大事にしまい込むのは、もうやめよう。私は、朝御飯の用意をし始める。

「ふぁー、おはよう」

「龍ちゃん、おはよう」

「それ、懐かしい!使うの?」

「もう、棚の中で腐っちゃいそうだったから」

「ハハハ、そうか」

そう言って、龍ちゃんは洗面所に向かった。私は、その間に卵焼きを焼いた。暫くして、龍ちゃんは、戻ってきた。

「珈琲いれようかな?」

「いれてよ!ドリップで」

「そうだな」

龍ちゃんは、私を抱き締める。

「どうしたの?」

「凛、おはようのキスしていい?」

「何、急に…」

「暫く会えないから、チャージだよ」

「いいよ」

龍ちゃんは、私を自分の方にくるりと向けさせる。私は、コンロの火を消した。

「凛、愛してる」

「私もだよ!龍ちゃん」

龍ちゃんは、私に優しくキスをしてくれる。舌をそっと出してくると唇をゆっくり開けてくる。

「うーんっ」

声が出るのを聞いたら、さらに私を自分の元に引き寄せる。愛が時々わからなくなる時があった。二人で生きてくのが辛くて堪らなかった日々があった。でも、こうやって求められてると龍ちゃんは、まだ私で興奮してくれてるんだと思って嬉しくなる。

「あー、これ以上したくなかったら朝御飯食べれなくなるからやめとく」

「何よ、それ!龍ちゃん、中学生みたい」

「いやー、我慢出来るから大人だろ?」

「最後までしたくなるの?」

「当たり前だろ?俺、凛が100歳でも抱きたいよ」

「それは、心臓とまらないかとか考えちゃう」

「そんな現実的な話?」

龍ちゃんと私は、顔を見合せて吹き出した。

「でも、嬉しいかも!お婆ちゃんになっても、求められたら」

「そう?」

「うん!だって、女って若いか子供産めないと価値無しって世の中に思われてる気がするのよね」

私は、そう言いながらコンロに火をつける。龍ちゃんは、その横で珈琲の準備をする。

「そんな事ないだろ?綺麗なだけで、特してるだろ?」

「綺麗って曖昧じゃない?龍ちゃんは、私を綺麗って言ってくれるけど」

「のろけか?」

「のろけてるに決まってるよ」

「そうか!ハハハ」

「もう、今。真剣な話してたのにー」

「ごめん、ごめん。綺麗って曖昧だろ?」

「そう!私みたいな顔を綺麗だって思わない人もいるの」

「そうだよな」

「じゃあ、その人からしたら私は無価値じゃない」

龍ちゃんは、眉毛を寄せながら電気ケトルでお湯
を沸かすために水をいれている。

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