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拓夢の話4

モデル?

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「ありがとう」

凛は、そう言って理沙ちゃんを見つめていた。

「理沙のお母さんとは、違うかもだけど!ずっと、自分を価値がないみたいに責めてたって言ってたの!だから、理沙。凛ちゃんには、そうなって欲しくない。こんなに綺麗な凛ちゃんが、価値がないわけないじゃん」

凛は、その言葉に涙を流してる。凛は、ずっと苦しみと悲しみを泳いできたんだと思う。

「理沙ちゃん、ありがとう」

「凛ちゃん、これからいっぱい楽しもうよ!アオハルだよ!アオハル」

「青春ってやつ?」

「それ、それ!アオハルって言うんだよ」

理沙ちゃんは、そう言いながら凛に笑いかける。

「でも、それは若い時ので」

「年なんか関係ないじゃん!凛ちゃんが、アオハルだーって思ったらアオハルなの」

そう言って、理沙ちゃんは凛に何かを渡す。

「それ、理沙の番号」

「ありがとう」

「凛ちゃん、理沙と働くの考えてよ」

「働く?」

凛は、不思議な顔をしてる。

「理沙、凛さん誘っちゃダメだって」

まっつんが、そう言った。

「いいじゃん!」

「何の仕事?」

「モデルだよ!って、言っても雑誌とかじゃないよ」

「雑誌とかじゃないの?」

「そうそう」

「だから、ダメだって」

「凛ちゃんなら、絶対いけるもん」

凛は、不思議そうに首を傾げる。

「どんなモデル?」

「インディーズバンドのプロモーションビデオ出たり、ジャケ写とらせたり、制服着たり、そんなんを理沙の友達がやってんだよ!そういうのいらないだろ!だから、駄目だ」

凛は、その言葉に何かを考えているようだった。

「凛ちゃん、やりたくなったら連絡してね!ってか、そうじゃなくても理沙と遊んでよ」

「うん」

「本当に?」

「いいよ」

「ヤッター!お姉ちゃんが、出来たー」

そう言って、理沙ちゃんはニコニコ笑ってまっつんの背中を叩いてる。

「痛い、痛いから」

「いいじゃん!いいじゃん!」

凛は、俺を見つめる。

「拓夢」

「何?」

「震えおさまってよかったね」

そう言って、凛は俺の手を握りしめてくれる。

「ありがとう」

「ううん」

「ヒューヒュー」

「何だよ!しゅん」

「めちゃくちゃ、いい感じじゃんかー」

「俺も、彼女欲しいわ」

かねやんとしゅんが、俺と凛の前にやってきた。理沙ちゃんとまっつんは、向こうで二人で話していた。

「冷やかすなよ」

「拓夢のそんな顔みんの久々だわー」

「トイレ行ってくる」

「うん」

凛が、立ち上がってトイレに行った。出ていったのを見届けてから、俺はかねやんに話しかけた。

「そうだっけ?」

「そうだよ」

「確かに、拓夢!めっちゃいい顔してる」

そう言って、しゅんとかねやんは俺を見つめている。
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