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拓夢の話4

行きたい場所…

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俺は、ボストンバックに着替えを入れる。スーツを綺麗に持って、スマホを持つ。

「行こう」

「うん」

凛にそう言ってから、手を繋いで鍵を閉めて家を出た。

「その靴、もう履かない方がいいかもしれない」

「あっ!うん」

「凛、巻き込んでごめん」

「ううん、いいの」

そう言って、凛は笑ってくれる。

「連れて行きたい場所がある」

「うん」

「赤ちゃんを考えないでよくなる場所」

「うん」

そう言って、俺はエレベーターを降りる。暫く歩いて、タクシーを拾った。凛と二人、その場所につくまで話さなかった。暫くして、タクシーはとまった。俺と凛は、無言で降りて歩く。

「ここ」

「うん」

そう言って、俺は扉を開ける。

「いらっしゃい」

「待ってたよ」

「どうぞ」

その姿に、俺は泣いていた。

「何だよ!拓夢、泣くなよ」

「不倫だって知ってたって、好きなら応援してやるから」

凛は、驚いた顔をしながらもくしゃって笑った。

「めちゃくちゃ綺麗ですね!初めまして、しゅんです」

「初めまして」

「バァーカ!どさくさに紛れて手握ろうとすんなよ!」

「だって、まじで綺麗だよ」

「わかってるわ!初めまして、かねやんです」

「かねやんも、どさくさに紛れて手握ろうとしてんじゃん」

「まっつん」

三人は、凛を見ながら笑ってくれてる。凛も、ニコニコ笑ってくれてる。

「初めましてー!まっつんです。拓夢が好きになる理由わかります」

そう言って、まっつんは笑った。

「あー、理沙がいるのに浮気だー」

「理沙ちゃん」

「HELLO、たくむん!マジで、綺麗だー」

そう言って、理沙ちゃんは凛に抱きついた。

「お、お前、何してんだよ」

「女同士だから、いいよねぇー。凛ちゃん」

「は、はい」

「固いなー!凛ちゃん!綺麗だから、笑って笑って」

理沙の言葉に、凛はニコニコ笑ってる。

「たくむんが、不倫とか言ってるから!理沙、叱ってやろうと思ってたんだよーー。でも、こんな綺麗なお姉さん来ちゃったら反対できないじゃん!凛ちゃん、めちゃくちゃいい匂いする」

「そ、そんな事ないよ」

「待って、俺も匂わせて」

「やめろよ、童貞」

「童貞じゃねーわ」

「近づくな!理沙が許さない」

「理沙のじゃねーじゃん」

「しっ、しっ」

しゅんは、そう言われてむくれた顔をする。よかった!皆、凛を気に入ってくれてる。気づけば、俺もニコニコ笑っていた。

「あのさー、いつまで手繋いでんすか?」

「うっさい、童貞」

「だから、童貞じゃねーわ」

まっつんは、俺の顔を覗き込んで頭を撫でてきた。

「拓夢、俺等は拓夢と凛さんの味方だからな!だから、いっぱい愛し合え」

「なんか!まっつんエロい」

「変態、理沙がいるのに最低」

「痛い、痛いって」

俺は、四人を見つめていた。そして、隣にいる凛を見つめる。よかった!凛が、幸せそうで!さっきの恐怖が薄らいでいく。俺、やっぱり…。
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