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凛の話4

もう、会わない

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私は、従姉妹にもう二度と会わないと誓った。

「凛、お風呂沸いたみたいだから」

龍ちゃんの言葉に、私は現実に引き戻された。

「叔父さんの法事は、二度と行かないから」

「ごめん!嫌な事思い出した?」

龍ちゃんは、私の顔を覗き込む。あの日みたいに私の握りしめた拳が震えてる。龍ちゃんは、その手をそっと両手で包み込んだ。

「ごめんね。あんな言われ方」

「凛のせいじゃないだろ?」

「だけど、従姉妹だから」

「従姉妹だけど、凛とは違うだろ?」

「うん」

「あの日みたいに、怒りを抱えなくていいんだよ」

「うん」

「もしかしたら、凛の両親も傷ついたのかもしれないね」

「うん」

「子供がいないだけで、人間としての価値を下げられる。よくある話の一つだね」

「私達は、価値がないの?」

「動物としてなら、そうなんじゃないかな?子孫繁栄は、本能だろ?だったら、価値がないと思われても仕方ない事なのかもな」

私は、龍ちゃんの涙を拭うけど、拭っても、拭っても、溢れてくる。自分自身を価値がない生き物だ何て認めたくないよね。

「動物としての本能より、私と居てくれてありがとう」

私の言葉に、龍ちゃんはハッとした顔をした。

「どうしたの?」

「俺達は、人間に進化したから赤ちゃんいないんだよ!」

「何それ?」

「動物的な本能が消えて人間に進化したんだよ!だから、子供がいない!そう思わないと…。生きれないだろ?凛」

「私と龍ちゃんは、動物をやめちゃったって事?」

「そう!動物をやめて、人間に進化したって事!だから、もう俺達はおしまい」

「おしまい?」

「そう!もう、今回で終わり!次は、生まれ変わらない」

「龍ちゃん、それ何?急にオカルト?」

龍ちゃんは、私の頬を濡らす涙を拭ってくれる。

「もう、動物として学ぶ事はなくなったって事!未練を残さず死になさいって事だよ」

「オカルトでしょ?」

私が泣きながら笑ったら、龍ちゃんはニコッて笑ってくれた。

「オカルト」

「何で、そんな話、急にするの?」

「そう思わなきゃ!価値ないって思っちゃうから!今、そうやって言っただけで…。何か、ここが凄い楽になって笑えた」

その言葉通り、龍ちゃんの涙は不思議と止まっていた。

「じゃあ、私と龍ちゃんは、進化したんだね!」

「そうそう!」

「龍ちゃん、ありがとう」

「こっちこそ、ありがとう」

「お風呂、入ってきなよ」

「あっ、本当だ!入ってくるよ」

そう言って、龍ちゃんは頭を撫でてくれる。私は、龍ちゃんがお風呂に向かったのを見てから…。充電してるスマホを取り出した。人間に進化したって思うのは、自由だよね。そう思わなくちゃ、龍ちゃんはずっと息が出来なかったんだ。
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