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拓夢の話3

凛に会いたい…

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俺は、凛に渡した方じゃないバスタオルを置いた。どうか、美沙に凛がバレませんように…。祈りに似た気持ちでいっぱいだった。ダイニングの椅子に座りながら、凛からメッセージが来ないか何度も何度も確認した。

「たっちゃん、あがったよ」

「俺も、シャワー入ってくるわ」

「いいよ!別に」

「いや、やっぱりさ」

俺は、美沙を見ないようにしてシャワーに入った。マジで、どうしよう。何も悪い事はしてない。だけど、凛は…。そう考えたら、明日会えるのかな…。よりによって、何で、今、美沙が現れるんだよ。頭をぐしゃぐしゃ掻いた。どうすればいい?どうする…。凛に会いたい気持ちが沸き上がっては、消えていく。何で、美沙が現れた。美沙が妊娠してたのって、何でだ…。ちゃんと避妊してた!生でなんか一度もやってない。破れてたって事か?

俺は、バンドのリーダーだから…。絶対にみんなとの約束を破ってない。だから、避妊は絶対にしてた。どうなってんだろうか…。破れてたんだよな!欠陥品だったか!何で破れた?いつ、そうなった…。

妊娠を切望してる凛に、彼女を妊娠させてたなんて言えない。そんな事言えない。シャワーからあがった。明日、凛にどんな顔をして会えばいいのだろうか?体や頭を拭いて、パンツだけははいて行った。キッチンに来ると、美沙はダイニングテーブルの椅子に座っていた。

「水飲む?」

「飲む」

俺は、コップに水を二ついれて机の上に置いた。

「ありがとう」

「うん」

水を飲み干して、俺は美沙に聞く。

「あのさ」

「何?」

「赤ちゃんの写真あるの?」

「エコーって事?」

「うん、それ」

「閉まってるから、探してくる」

「疑ってるとかじゃないんだ」

疑ってるんだ。凄く…。

「わかってる。たっちゃん」

頑張れ、俺。

俺は、そう言って心の中で何度も何度も、自分を鼓舞していた。

「行こうか、美沙」

「うん」

新しく買ったベッドは、凛としかしてなかった。それを、上書きされる。

「たっちゃん、愛してる」

「うん」

「美沙の事、まだ好き?」

「うん」

俺は、嘘つきだ。美沙をとことんせめてからにしよう。そのうちに、どうにかなってるよな…。じゃなきゃ、困るんだよ。俺は、ゆっくり美沙の唇にキスをする。

「たっちゃんと美沙ずっと一緒にいたい」

「うん」

首筋にゆっくりと舌を這わせたり唇をなぞるように動かしていく。

「たっちゃん」

兎に角、焦らして焦らしてゆっくりゆっくり…。

【拓夢……】頭の中に凛の声が響いていく。俺は、その声に集中しながらゆっくりと下がってく…
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