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拓夢の最初の話【1】

凛が好きだ

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「ハァ、ハァ、ハァ」

息が上がった。俺は、凛を抱き締める。ビクッって体が波打つ。

「拓夢、頭の中真っ白だった」

その言葉にホッとして凛から離れた。避妊具を縛ってゴミ箱に捨てる。

「綺麗にしてあげようか?」

「いいよ!これで」

俺は、凛にティッシュを差し出した。凛は、笑ってティシュで拭いてくれる。

「昔、親にさ」

「うん」

「自慰行為し続けたら馬鹿になるって言われた事あったんだけどさ」

「うん」

「本当に、セックスしすぎたら馬鹿になるわ」

俺の言葉に、凛は笑ってる。

「思考が快楽に乗っ取られておかしくなりそうだった!だけど、今はそれが必要だった」

「わかる」

「絶望を快楽にかえるしか出来ない」

俺は、凛の髪を優しく撫でる。

「私もおかしくなりそうだった。それに、自慰行為し続けたら馬鹿になるって意味わかる気がする。頭の中、セックスしか考えられない行為。だから、好き」

「凛も一人でやるの?」

「駄目かな?」

「駄目じゃないけど…。それは、何で?」

「夫とすると妊娠ばっかり考えて、ちゃんといけない。満足できない」

「今もだった」

「違ったよ!今は、頭の中真っ白だった。泥々した沼の中に溺れてもいいから…。拓夢としたい」

「沼みたいなセックスがしたいって事?」

「うん」

凛は、そう言って頷いた。

「ティシュ捨てるよ」

「うん」

俺のを丁寧に拭いてくれたティシュを手にとって、ゴミに捨てる。

「拓夢を好きになっていいのかな?」

「いいよ、凛」

「もう、苦しみたくない」

「苦しまなくていいよ。俺が、苦しみを取り除いてあげるから…」

優しく凛の頬を撫でる。凛は、俺の手を握りしめて頬擦りする。

「頭の中、快楽だけで埋め付くそう」

「変態だね」

「一人でしてる人に言われたくないよ!どうやって、してるの?今度、見せてよ」

「嫌だよ」

「嫌じゃないよ!凛」

「今度ね」

「うん!見せて!」

「わかった」

照れくさそうに目を伏せてる。凛のうつむいた顔の綺麗さにドキドキする。

「凛、好きだよ」

「そんな急に好きになるの?」

「なるよ!人間なんてそんなもんだよ」

「拓夢…ありがとう」

「何、それ?」

「こんな綺麗な男の人に、好きとか言われたら嬉しくてドキドキする」

そう言って、凛は俺の頬を優しく撫でる。

「じゃあ、凛も俺を好きになってくれる?」

「なりたいよ、拓夢」

「なって!忘れさせてあげるから…。赤ちゃん出来ない事なんか忘れさせてあげるから…。凛、大丈夫だよ」

俺は、凛のおでこにキスをした。俺は、凛を幸せにしたい。子供に縛られない道へ連れて行ってあげるから…。

俺は、凛を引き寄せて、抱き締める。

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