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凛の最初の話【1】

義務か?愛か?

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シンクにお皿を下げにいく。

「行く?」

「食べてすぐに動ける?」

「どうせ、時間かかるだろ?」

龍ちゃんは、手を引いて行ってくれる。

「凛、よく頑張ったね」

私は、泣き続けていた。

「泣かないで、凛」

龍ちゃんは、涙を拭ってくれる。

ポンコツの体が大嫌いだ。

性別なんてなくなればいい。女じゃなかったら苦しまなかったのに…。

龍ちゃんは、タンクトップを脱がせる。

「あっ、お風呂入ってくる」

「えっ?今」

「うん」

私は、ベッドから降りて逃げるようにシャワーに行った。
多分、ちょっと怖くなったんだと思う。

シャワーは、入ってなかったから…。体だけ、丁寧に洗った。バスタオルを巻いて、お水を飲んでベッドに戻ると龍ちゃんはスマホゲームをしていた。

「いいよ」

ムードも何もない。

「凛、愛してるよ」

「私も愛してるよ」

バスタオルを外した。

キスはしないのになれた。

「省略するのは、やめようか」

「龍ちゃん」

タイミングとっていた時は、キスはしなかった。お互いの体を全身愛撫するような事もやめた。
生理になると子供が欲しくなって、情緒不安定で泣いた。この世界は、望んでいなかった。

「そうだね」

義務だったね、ずっと。

私達…。

「凛」

「龍ちゃん」

セックスの時、キスするのどれぐらいぶりだっけ?

重ねた唇、ゆっくり絡み合わせる舌、もうこんなキスはしないと思っていた。

「凛、泣かないで」

龍ちゃんは、涙を拭ってくれる。赤ちゃんが欲しくて欲しくて堪らない。

龍ちゃんと肌を重ねると赤ちゃんが欲しくなって泣けてくる。

首筋にゆっくり舌が這っていく、優しくゆっくり下におりていく。

目を閉じて、集中したいのに頭の中にある執着心がこびりついて離れてくれない。
お腹に優しくキスをされる。

【赤ちゃんが欲しい】神様どうして、私はこんな体なの?

どうして、皆みたいにスタートラインにすら立てないの?

その場所に居続ける事すら叶わないの?

龍ちゃんは、私の敏感な場所に辿り着いた。

気持ちがいいのに、涙が止まらなくて…。

腰がゆっくりと浮かんで、体がビクッとする。

「凛、いれていい?」

「うん」

龍ちゃんが、ゆっくり私の中に入ってきた。

「痛くない?」

「うん」

「ゆっくり動くから」

「うん」

いつもは、痛みがあるけれど…。今日は、なかった。

私は、ずっと泣いていた。

同時に果てた。

「凛、よかった」

「うん」

セックスに集中出来なくなったのはいつからかな?

一緒に、添い寝したり抱き合ったりするのは幸せなのに…。セックスをすると空っぽになる。愛されてないわけじゃないのに…。

体の奥から沸き上がるような幸せを感じられない。
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