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ただいま、月
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何とか、美咲さんの店に辿り着けた。
扉を開けた。
「おかえり、星(ひかる)君」
美咲さんが、俺を出迎えてくれた。
「こっち」
そう言って、二階に連れていってくれる。
「どうぞ」
そう言って、扉を開けてくれた。
「ありがとうございます。」
「また、後でくるから。ゆっくりして」
そう言って、扉を閉めてくれた。
ソファーに、月(るい)が横たわってる。
ちゃんと、帰れた。
僕は、月(キミ)の元に、ちゃんと帰ってきたよ。
寝ている顔を見たら、涙がポタポタ流れてきた。
月が、起きた。
僕は、やっぱり月の傍にいたい。
手を繋いで、帰る。
「指輪、欲しい?」
「美咲さんが、つけてたみたいなのって事?」
「うん。」
「高いよ。いらない」
そう言って、笑う。
「星は、普通が欲しかった?」
「欲しかった時もあるよ。だって、ママに捨てられて一人だよ。」
「結婚式するなら、お父さん探すか?」
「男と結婚とか反対するでしょ」
「そうだよね」
月は、僕の手を自分のコートのポケットにいれてくれる。
「月は、子供も結婚もしたかったでしょ?」
「そうだね」
「叶えられなくて、ごめんね。」
「何で、星が謝るの?俺自身の問題だから。」
「何で、みんな苦しまなくちゃいけないんだろうね。」
「そうだな。子供を持っても、父さんは俺に苦しんでいたし。母さんは、流星の愛が欲しくて苦しんでいたし。親が居ても、宇宙(そら)兄さんは愛されない事に苦しんでいた。」
「そうだよね。結婚していても、僕のママも、パパに愛されたくてずっと苦しんでいた。」
そう言って、ポケットの月の手を握った。
「流星も、妻と子供を持って自分の愛がなくて苦しんでる。」
「氷雨もだったよ。愛してない人といるの苦しんでる。」
月がさらに僕の手をギュッてしてくれた。
「結局は、どれを選ぶかじゃないんだよな。自分が自分らしく生きれる人と歩く人生を選ぶって事が大切なのかもな。」
「そうだよね。誰かの選んだ人生を同じようになぞって歩く事が幸せなわけじゃないよね。」
「俺達は、この日本で二人も愛してるんだよ。それって、すごいよな。二つも愛があるなんて。」
「そうだよね。僕と月は、初めから普通じゃないよね。」
月が、笑ってる。
「そうだな。俺達は普通じゃない。この手の先には、化け物を繋いでいて。そいつは、別の愛を持ってる。星と居る穏やかな愛じゃなくて、メラメラと焼き尽くすような愛を持ってる。でも、どっちも俺と星だろ?そして、二つと二人がいないと生きていけないのも事実だろ?」
「うん、わかってる。世の中の人には、おかしいって言われるよね。でも、ないと生きれないんだよね。」
「誰が何と言おうと、わかってくれる人がいればそれでいいんだよ。」
「僕は、氷雨を愛してるよ。でもね、月じゃなきゃ駄目なんだ。一緒にいるのは、月じゃなきゃ駄目なんだよ。」
涙が溢(あふ)れてくる。
月は、気づいて立ち止まった。
僕を優しく抱き締めてくれた。
ほら、月がくれる愛と同じだ。
傷つけないように、壊れないように、丁度いい強さでいつも抱き締めてくれる。
「泣かないでよ。笑っていてほしい。」
髪を優しく撫でてくれる。
「月が好きだよ。僕は、月と生きていきたい。月が、いないと生きれない。もう、月は僕の一部なんだよ。」
「まるで、プロポーズされてるみたい」
月が、笑って僕を見てる。
「してる。だから、ちゃんと帰ってきて。お兄さんに会ってもいい、キスしてもいい、抱き締めてもいい。だけど、僕にただいまって笑って。」
「同じ事、思ってるよ。俺も…」
月は、僕の頬に冷たい手をあてる。
僕も月の頬に冷たい手をあてる。
「ただいまとおかえりだけは、僕に(俺に)下さい」
「ハハハ、ハモった。」
「双子だな。俺達」
別の人と居たっていいんだよ。
ただいまとおかえりだけをくれるだけでいい。
きっと、誰にも理解されない。
それは、二人だけの言葉(あんごう)。
僕と月は、マンションに帰って、疲れていたから、すぐに休んだ。
扉を開けた。
「おかえり、星(ひかる)君」
美咲さんが、俺を出迎えてくれた。
「こっち」
そう言って、二階に連れていってくれる。
「どうぞ」
そう言って、扉を開けてくれた。
「ありがとうございます。」
「また、後でくるから。ゆっくりして」
そう言って、扉を閉めてくれた。
ソファーに、月(るい)が横たわってる。
ちゃんと、帰れた。
僕は、月(キミ)の元に、ちゃんと帰ってきたよ。
寝ている顔を見たら、涙がポタポタ流れてきた。
月が、起きた。
僕は、やっぱり月の傍にいたい。
手を繋いで、帰る。
「指輪、欲しい?」
「美咲さんが、つけてたみたいなのって事?」
「うん。」
「高いよ。いらない」
そう言って、笑う。
「星は、普通が欲しかった?」
「欲しかった時もあるよ。だって、ママに捨てられて一人だよ。」
「結婚式するなら、お父さん探すか?」
「男と結婚とか反対するでしょ」
「そうだよね」
月は、僕の手を自分のコートのポケットにいれてくれる。
「月は、子供も結婚もしたかったでしょ?」
「そうだね」
「叶えられなくて、ごめんね。」
「何で、星が謝るの?俺自身の問題だから。」
「何で、みんな苦しまなくちゃいけないんだろうね。」
「そうだな。子供を持っても、父さんは俺に苦しんでいたし。母さんは、流星の愛が欲しくて苦しんでいたし。親が居ても、宇宙(そら)兄さんは愛されない事に苦しんでいた。」
「そうだよね。結婚していても、僕のママも、パパに愛されたくてずっと苦しんでいた。」
そう言って、ポケットの月の手を握った。
「流星も、妻と子供を持って自分の愛がなくて苦しんでる。」
「氷雨もだったよ。愛してない人といるの苦しんでる。」
月がさらに僕の手をギュッてしてくれた。
「結局は、どれを選ぶかじゃないんだよな。自分が自分らしく生きれる人と歩く人生を選ぶって事が大切なのかもな。」
「そうだよね。誰かの選んだ人生を同じようになぞって歩く事が幸せなわけじゃないよね。」
「俺達は、この日本で二人も愛してるんだよ。それって、すごいよな。二つも愛があるなんて。」
「そうだよね。僕と月は、初めから普通じゃないよね。」
月が、笑ってる。
「そうだな。俺達は普通じゃない。この手の先には、化け物を繋いでいて。そいつは、別の愛を持ってる。星と居る穏やかな愛じゃなくて、メラメラと焼き尽くすような愛を持ってる。でも、どっちも俺と星だろ?そして、二つと二人がいないと生きていけないのも事実だろ?」
「うん、わかってる。世の中の人には、おかしいって言われるよね。でも、ないと生きれないんだよね。」
「誰が何と言おうと、わかってくれる人がいればそれでいいんだよ。」
「僕は、氷雨を愛してるよ。でもね、月じゃなきゃ駄目なんだ。一緒にいるのは、月じゃなきゃ駄目なんだよ。」
涙が溢(あふ)れてくる。
月は、気づいて立ち止まった。
僕を優しく抱き締めてくれた。
ほら、月がくれる愛と同じだ。
傷つけないように、壊れないように、丁度いい強さでいつも抱き締めてくれる。
「泣かないでよ。笑っていてほしい。」
髪を優しく撫でてくれる。
「月が好きだよ。僕は、月と生きていきたい。月が、いないと生きれない。もう、月は僕の一部なんだよ。」
「まるで、プロポーズされてるみたい」
月が、笑って僕を見てる。
「してる。だから、ちゃんと帰ってきて。お兄さんに会ってもいい、キスしてもいい、抱き締めてもいい。だけど、僕にただいまって笑って。」
「同じ事、思ってるよ。俺も…」
月は、僕の頬に冷たい手をあてる。
僕も月の頬に冷たい手をあてる。
「ただいまとおかえりだけは、僕に(俺に)下さい」
「ハハハ、ハモった。」
「双子だな。俺達」
別の人と居たっていいんだよ。
ただいまとおかえりだけをくれるだけでいい。
きっと、誰にも理解されない。
それは、二人だけの言葉(あんごう)。
僕と月は、マンションに帰って、疲れていたから、すぐに休んだ。
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