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序章
罪過
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「……レイモンフリート?」
疑問がそのまま、言葉となった。要領を得ないラルに、グルジオは痛ましげに顔をゆがめた。
「ああ、姫様。あなた様は、何も知らされずいたのですな」
「知らす……? 何を?」
ラルは重ねる。知らされる、とは。脳内で反芻した言葉に、ふと記憶の中のシルヴァスの姿がよみがえり重なった。赤いものに染まっていない、リュウテを弾くシルヴァスのいつもどおりの姿。――いつもどおりの、平穏。
「レイモンフリートとは、あなた様を連れ去った緑髪の男のことでございます」
「……シルヴァスのこと?」
「ええ、きっとその男にございます」
「……連れ去った……?」
「ええ、その男こそ、王国の継承者たるあなた様をさらい、十六年間も王国を欺き逃げ続けた、大罪人でございます」
「ざいにん……?」
グルジオの説明する言葉は、短い。それなのに、ラルにとってわからない事が多すぎた。その最たるものを、誰にいうでもなく、ラルは反復した。
ざいにん、罪人とは一体、なんだ。ただ、シルヴァスが自分を連れて、どこかから逃げていたこと、そして、それがとても悪いことらしいは理解した。
(シルヴァス、これってどういうことなの?)
いつもの癖で、心の中でシルヴァスに尋ねた。すると、シルヴァスのいつものあきれた顔が、脳裏によみがえった。
『お前には、まだ早いよ』
シルヴァスのいた世界のことを尋ねても、いつもシルヴァスははぐらかして、ラルに本当の事を教えなかった。ラルはいつもそれが不満だった。
けれど、
――シルヴァスが、悪いことをしていた。そう思うには、今起こっている事の方が、ラルにとって余りに非現実的すぎた。だって、シルヴァスは、いつだってラルに優しかった。シルヴァスの事は教えてくれなくても、森の中の事はたくさん教えてくれた。いつだって、慈しむように、ラルの髪を撫でてくれた。あちこち興味の移るラルに、あきれ、困ったようにたしなめながらも、それでもいつだって、笑ってくれていたのだ。
『いずれお前にもわかる時が来る。……お前の時がいつ来るかなんて、考えたけれど、わからなかった。けれど、きっと来る、それだけは僕もわかっているんだよ』
夜がくる前の、シルヴァスの言葉を思い出す。いつものように知りたがって、シルヴァスを困らせた時に、そう言った。それからの、シルヴァスの様子はおかしかった。それでも、いつも通りにしようとしていた。だから、ラルも不安でも、いつも通りいようとした。そう、ずっとそばにいたから、わかるのだ。シルヴァスの、傍に。
「おいたわしい。無垢なあなた様をかどわかすなど、痴れ者め。さぞおつらい思いをなさったでしょう」
けれど、グルジオは、いや、ここにいる者達は違うことをいう。シルヴァスが、悪いことをしたという。
ラルは、多くのことが起こりすぎて、どうしていいかわからなかった。悪いこと、とはそもそも何なのかさえわからない。だってシルヴァスは優しかったのだ。シルヴァスの事を、どうしてこの目の前の生物達はみんなそろえてひどい音で表すのか。
優しい、優しくない、悪い、悪くない、ひどい、逃げる、罪人レイモンフリート――……多くの言葉が、ラルの中になだれ込み、もうぐちゃぐちゃだった。
シルヴァス、シルヴァス、どうしてあんなに悲しい顔をしたの?
「さあ、姫――」
グルジオがラルに手を伸ばした。その時、グルジオの懐に入った、細い緑の木枝が目に入る。紅桃色のつぼみが付いた、シルヴァスがいつも髪に挿していたもの。
――ふいに思い出した、あれは、ラルが送ったものだ――思考は遠く記憶の彼方へ飛んで、ラルは瞼の向こうに、幼い自分が、シルヴァスに手渡すのを見た。
不思議なことに、ずっと枯れず、つぼみは少しずつ少しずつ、赤に色づいていった。
あのとき、受け取ったシルヴァスの顔。緑青の瞳が、優しい光を帯びた。ラルは、その光が、とても好きだった。
その枝が、今、赤く染まっている。
――それはぴたりと赤に染まったシルヴァスの姿と重なった。あの、青い顔、力ない笑みが、ラルの中にはっきりとよみがえった。
「いや!」
ラルは、その瞬間、グルジオの手から身をよじった。
「姫?」
「いや、いや! いやあ……!」
ラルの突然の拒絶に、グルジオが目を見開いた。しかし、ラルの目にはすでにグルジオも何も映ってはいなかった。意識して飛び出した言葉ではない、ただ、溢れた気持ちのまま音を出したら拒絶の形になっただけだ。ラルは自分でも、どうしていいかわからなかったし、何がしたいのかもわからなかった。途中から、ラルの言葉は、ただの音になり悲鳴になった。
「シルヴァスッ……!」
ただ、シルヴァスの名前だけ形となった。すがれるものはそれしかなかった。高い音が形作られ、覆いのなくしたネヴァエスタの森を抜け、露わになった空を高くのぼった。
「姫! 落ち着かれよ! 姫!」
焦ったようなグルジオの声が遠い。ラルはここから、本能的に逃れようとしていた。具体的なことは何も考えられなくても、ともかくここから離れたい、違うところへ行きたいという欲求が、考えるより早く体を先に動かしていた。
しかし、ラルの身体を支えているエレンヒルがそれを阻む。一見恭しく抱き留めているようで、エレンヒルの腕はその実、拘束と変わらずラルを一部の隙なく押さえ込んでいた。だからといって、もはやラルの身体が大人しくなることはなかった。なんも負担も懸からぬ、という気配でエレンヒルの腕は微動だにせぬが、その理屈を解さないラルの動きに、エレンヒルは誰知らず眉をひそめた。
「おい、軍医を――」
ラルのような少女の力など、簡単にねじ伏せることが出来よう、グルジオも皆も屈強な男だった。しかし、先に表した身分の為か、手荒にしてはならないという遠慮が働くのか、手を出しあぐねていた。グルジオが、ならば鎮静効果のある薬湯でも飲ませんと、ラルから目を離し、軍医を呼びにやらせようとしたときだった。
突然――ラルの悲鳴が止んだ。
何事か、と顧みたときにはラルはもうぐったりとうなだれていた。ラルを抱えるエレンヒルの傍らに、背後に控えていたアーグゥイッシュが進み出てきていた。その手の格好から、手刀を落としたのだと、グルジオら、他の男達は悟る。
「寝てろ」
彼らの視線をないもののように扱って、アーグゥイッシュは一言ラルに、そう言った。そしてまた、背後にすっと下がる。何事もなかったかのように。
「手荒だな。この方がどなたか、わかっているのか」
「何が起きたか、わかっちゃいねェよ」
たしなめるようなエレンヒルの囁きに、アーグゥイッシュは面倒そうに答える。
「この小娘一人に、俺たちはこんな辺境までやられてる。そこまで気を遣っていられるかよ」
その返答に、エレンヒルは答えず、ふむと顎をついと上げた。笑わぬまでも、否定的な様子は見せなかった。
「アーグゥイッシュ、この馬鹿者!」
「隊長殿はそうは思っていないようだが」
顔を真っ赤にして怒るグルジオに、アーグゥイッシュは本日幾度目かの、盛大な舌打ちをした。エレンヒルは、アーグゥイッシュの舌打ちが、単なる癖だとわかっているので動じない。ラルの身体が痛まぬように、さりげなく抱え直した。
気を失っているラルは、ひどく青ざめていてなければ、健やかに眠っているように見えた。人は大抵、眠っているときにあどけなくなるものだが、この子供は、眠っている時こそ、大人びて見えるのだなと、黄金の髪に隠された輪郭や金色の睫毛のアーチを眺めながら、エレンヒルは思った。
「さて、これから忙しくなるな……」
「頭が痛ェよ」
エレンヒルの独り言に、アーグゥイッシュが唸るように返した。怒鳴るグルジオの元へと赴く。
ラルは、それらの喧噪もひどく遠くひとり意識の底に沈んでいった。なにもわからなかった。ラルの身体から長い影がのびる。
ネヴァエスタの森とは思えぬほどの、濃い黒い影。滅多に鳴かぬヒェールの雌鳥が鳴いた。
ラルの未来がもう、今までのようにいられぬことを、どこか悟っているかのように。
疑問がそのまま、言葉となった。要領を得ないラルに、グルジオは痛ましげに顔をゆがめた。
「ああ、姫様。あなた様は、何も知らされずいたのですな」
「知らす……? 何を?」
ラルは重ねる。知らされる、とは。脳内で反芻した言葉に、ふと記憶の中のシルヴァスの姿がよみがえり重なった。赤いものに染まっていない、リュウテを弾くシルヴァスのいつもどおりの姿。――いつもどおりの、平穏。
「レイモンフリートとは、あなた様を連れ去った緑髪の男のことでございます」
「……シルヴァスのこと?」
「ええ、きっとその男にございます」
「……連れ去った……?」
「ええ、その男こそ、王国の継承者たるあなた様をさらい、十六年間も王国を欺き逃げ続けた、大罪人でございます」
「ざいにん……?」
グルジオの説明する言葉は、短い。それなのに、ラルにとってわからない事が多すぎた。その最たるものを、誰にいうでもなく、ラルは反復した。
ざいにん、罪人とは一体、なんだ。ただ、シルヴァスが自分を連れて、どこかから逃げていたこと、そして、それがとても悪いことらしいは理解した。
(シルヴァス、これってどういうことなの?)
いつもの癖で、心の中でシルヴァスに尋ねた。すると、シルヴァスのいつものあきれた顔が、脳裏によみがえった。
『お前には、まだ早いよ』
シルヴァスのいた世界のことを尋ねても、いつもシルヴァスははぐらかして、ラルに本当の事を教えなかった。ラルはいつもそれが不満だった。
けれど、
――シルヴァスが、悪いことをしていた。そう思うには、今起こっている事の方が、ラルにとって余りに非現実的すぎた。だって、シルヴァスは、いつだってラルに優しかった。シルヴァスの事は教えてくれなくても、森の中の事はたくさん教えてくれた。いつだって、慈しむように、ラルの髪を撫でてくれた。あちこち興味の移るラルに、あきれ、困ったようにたしなめながらも、それでもいつだって、笑ってくれていたのだ。
『いずれお前にもわかる時が来る。……お前の時がいつ来るかなんて、考えたけれど、わからなかった。けれど、きっと来る、それだけは僕もわかっているんだよ』
夜がくる前の、シルヴァスの言葉を思い出す。いつものように知りたがって、シルヴァスを困らせた時に、そう言った。それからの、シルヴァスの様子はおかしかった。それでも、いつも通りにしようとしていた。だから、ラルも不安でも、いつも通りいようとした。そう、ずっとそばにいたから、わかるのだ。シルヴァスの、傍に。
「おいたわしい。無垢なあなた様をかどわかすなど、痴れ者め。さぞおつらい思いをなさったでしょう」
けれど、グルジオは、いや、ここにいる者達は違うことをいう。シルヴァスが、悪いことをしたという。
ラルは、多くのことが起こりすぎて、どうしていいかわからなかった。悪いこと、とはそもそも何なのかさえわからない。だってシルヴァスは優しかったのだ。シルヴァスの事を、どうしてこの目の前の生物達はみんなそろえてひどい音で表すのか。
優しい、優しくない、悪い、悪くない、ひどい、逃げる、罪人レイモンフリート――……多くの言葉が、ラルの中になだれ込み、もうぐちゃぐちゃだった。
シルヴァス、シルヴァス、どうしてあんなに悲しい顔をしたの?
「さあ、姫――」
グルジオがラルに手を伸ばした。その時、グルジオの懐に入った、細い緑の木枝が目に入る。紅桃色のつぼみが付いた、シルヴァスがいつも髪に挿していたもの。
――ふいに思い出した、あれは、ラルが送ったものだ――思考は遠く記憶の彼方へ飛んで、ラルは瞼の向こうに、幼い自分が、シルヴァスに手渡すのを見た。
不思議なことに、ずっと枯れず、つぼみは少しずつ少しずつ、赤に色づいていった。
あのとき、受け取ったシルヴァスの顔。緑青の瞳が、優しい光を帯びた。ラルは、その光が、とても好きだった。
その枝が、今、赤く染まっている。
――それはぴたりと赤に染まったシルヴァスの姿と重なった。あの、青い顔、力ない笑みが、ラルの中にはっきりとよみがえった。
「いや!」
ラルは、その瞬間、グルジオの手から身をよじった。
「姫?」
「いや、いや! いやあ……!」
ラルの突然の拒絶に、グルジオが目を見開いた。しかし、ラルの目にはすでにグルジオも何も映ってはいなかった。意識して飛び出した言葉ではない、ただ、溢れた気持ちのまま音を出したら拒絶の形になっただけだ。ラルは自分でも、どうしていいかわからなかったし、何がしたいのかもわからなかった。途中から、ラルの言葉は、ただの音になり悲鳴になった。
「シルヴァスッ……!」
ただ、シルヴァスの名前だけ形となった。すがれるものはそれしかなかった。高い音が形作られ、覆いのなくしたネヴァエスタの森を抜け、露わになった空を高くのぼった。
「姫! 落ち着かれよ! 姫!」
焦ったようなグルジオの声が遠い。ラルはここから、本能的に逃れようとしていた。具体的なことは何も考えられなくても、ともかくここから離れたい、違うところへ行きたいという欲求が、考えるより早く体を先に動かしていた。
しかし、ラルの身体を支えているエレンヒルがそれを阻む。一見恭しく抱き留めているようで、エレンヒルの腕はその実、拘束と変わらずラルを一部の隙なく押さえ込んでいた。だからといって、もはやラルの身体が大人しくなることはなかった。なんも負担も懸からぬ、という気配でエレンヒルの腕は微動だにせぬが、その理屈を解さないラルの動きに、エレンヒルは誰知らず眉をひそめた。
「おい、軍医を――」
ラルのような少女の力など、簡単にねじ伏せることが出来よう、グルジオも皆も屈強な男だった。しかし、先に表した身分の為か、手荒にしてはならないという遠慮が働くのか、手を出しあぐねていた。グルジオが、ならば鎮静効果のある薬湯でも飲ませんと、ラルから目を離し、軍医を呼びにやらせようとしたときだった。
突然――ラルの悲鳴が止んだ。
何事か、と顧みたときにはラルはもうぐったりとうなだれていた。ラルを抱えるエレンヒルの傍らに、背後に控えていたアーグゥイッシュが進み出てきていた。その手の格好から、手刀を落としたのだと、グルジオら、他の男達は悟る。
「寝てろ」
彼らの視線をないもののように扱って、アーグゥイッシュは一言ラルに、そう言った。そしてまた、背後にすっと下がる。何事もなかったかのように。
「手荒だな。この方がどなたか、わかっているのか」
「何が起きたか、わかっちゃいねェよ」
たしなめるようなエレンヒルの囁きに、アーグゥイッシュは面倒そうに答える。
「この小娘一人に、俺たちはこんな辺境までやられてる。そこまで気を遣っていられるかよ」
その返答に、エレンヒルは答えず、ふむと顎をついと上げた。笑わぬまでも、否定的な様子は見せなかった。
「アーグゥイッシュ、この馬鹿者!」
「隊長殿はそうは思っていないようだが」
顔を真っ赤にして怒るグルジオに、アーグゥイッシュは本日幾度目かの、盛大な舌打ちをした。エレンヒルは、アーグゥイッシュの舌打ちが、単なる癖だとわかっているので動じない。ラルの身体が痛まぬように、さりげなく抱え直した。
気を失っているラルは、ひどく青ざめていてなければ、健やかに眠っているように見えた。人は大抵、眠っているときにあどけなくなるものだが、この子供は、眠っている時こそ、大人びて見えるのだなと、黄金の髪に隠された輪郭や金色の睫毛のアーチを眺めながら、エレンヒルは思った。
「さて、これから忙しくなるな……」
「頭が痛ェよ」
エレンヒルの独り言に、アーグゥイッシュが唸るように返した。怒鳴るグルジオの元へと赴く。
ラルは、それらの喧噪もひどく遠くひとり意識の底に沈んでいった。なにもわからなかった。ラルの身体から長い影がのびる。
ネヴァエスタの森とは思えぬほどの、濃い黒い影。滅多に鳴かぬヒェールの雌鳥が鳴いた。
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