騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください

東院さち

文字の大きさ
上 下
50 / 62

どっちもどっち

しおりを挟む
「ウィス……、頑張ったな。絶対挿れた瞬間に出すと思ってたぞ」

 クスッと笑ったラズを後ろから抱きしめたまま、ウィスランドがリカルドの鼻を摘まんだ。

「もう、あなたは!」
「褒めてるのに、何故怒ってるんだ」
「フフッ」
「ラズも……。抜きますよ」
「ん……」

 笑ったのは茶化したわけじゃない。

「ウィスが頑張ってくれたんだなって嬉しかっただけです」
 ラズの中にいたウィスランドがいなくなって、フルッと身体が震えた。

「頑張りましたよ、ラズにいいところを見せたかったので」
「ウィスが達っても、きっと嬉しい。俺を大事に抱いてくれたのも嬉しかった……。愛してます、ウィスランド……」
「ラズ」

 起き上がったラズを正面から抱きしめて、ウィスランドはチュッチュッとあちこちにキスを降らせた。そして、ギュウと抱擁した後、ラズの身体に「クリーン」という魔法を使った。

「清浄の魔法ですね」

 ラズの汗や精液の汚れが一瞬で綺麗になった。ウィスランドらしい魔法だと思った。ウィスランドはラズの魔法を褒めてくれるけれど、やはりウィスランドのほうが繊細で美しい魔法を使う。ラズが洗浄の魔法を使えばそれだけで疲れてしまうし、なによりびしょ濡れになったままのはずだ。その後に風の魔法を使うので普段使うのは無理そうだ。

「そうです。綺麗になりましたよ。さぁ、リカルド」

 ラズは服を着たままのリカルドに向き合った。まだラズのベッドのようだったときのまま身体を起こしていない。

「ラズ、こっちに」

 差し伸べられた手を握って、ラズはリカルドの上に乗った。グイッと上半身を起こしたリカルドは、ラズの頬を撫でて目を細める。期待、というよりも心配しているような顔だ。

「リド?」
「ラズ、疲れたんだろう?」

 疲れていないと言ったら嘘になる。初めてで緊張もしていたせいもあって、ヘトヘトだ。

「それは多少は……」
「別に今日じゃなくてもいい。私達はラズが私達を受け入れてくれたことが大事なんだ。貴実とはいえ、初めての日に二人を相手にするのは大変だからな。だから、服を着たままでいた」

 どうして脱がないのだろうとは思っていた。リカルドの一物はズボンの中で苦しそうにしているのに。

「そうなんです。ラズの負担が大きいのに私達は二人ですからね。疲れたラズが大変そうなら後日、と決めていたんです」

 愛されている、そう思った。言葉だけじゃない。二人はラズのことを真剣に考えてくれている。だからこそ、ラズは首を横に振った。

「嫌です。俺が二人を離したくないから、望んだんです」

 それなのに、身体がしんどいというだけで一人しか相手にしないというのなら、それはただの自分勝手だ。二人がラズのことを考えてくれているようにラズだって二人のことを想っている。

「それはわかっていますよ。ラズが望んでくれて嬉しいけれど……」

 ウィスランドは仕方ない子を見るような目をラズに向けた。ラズの気持ちを優先するつもりだという言葉に偽りはないようだ。

「リドは、俺を抱きたくないんですか? そんな風に前を膨らませて、我慢できますか?」
「お前を壊すくらいなら、なんでもないことだ」

 リカルドは挑発するラズにノってこない。唇に触れるだけのキスをする。宥めるようなキスも嫌いじゃないけれど、今はいらない。

「抱いてください。俺はウィスとリドの伴侶なんでしょう? あなたのこれも……欲しいんです」

 ラズはリカルドのズボンのボタンを片手で器用に外してみせた。

「ラズッ!」

 ラズは太ももにあたるソレをみてゴクリと喉を鳴らした。

「……あ――、なるほど……」

 酷いとか言われていた意味がわかる。血管の浮き出たソレは確かに凶悪な代物だった。

「顔色が悪いぞ。今なら撤回させてやる」

 偉そうなのに自嘲気味な笑みだ。ラズが小さいことを気にしているように、リカルドは大きいことを気にしているのかもしれない。
 ウィスランドを見ると「だから言ったでしょう」と憐れむような視線を注がれた。

「撤回しません! ゆっくり、だったら。挿る……かも?」

 こういうことは勢いが必要なのだとラズは決意した。

「ラズがそういうのなら、頑張ってください。一回抜いたほうがいいかもしれませんけどね……」

 まだ悩むリカルドをラズは押し倒した。

「俺の口の初めては、リドでしょ?」

 ラズは身体をずらしてリカルドの前にかがみ込み、ソッと凶悪なソレを口に含む。確かにリカルドが言っていたように青い。そして苦みがある。あまり美味しくないのに、ウィスランドはよく飲もうと思ったなとラズは感心した。

「ッ! ラズ!」

 リカルドはラズの行動に驚いて声を上げた。いつも飄々としているリカルドの焦った声にしてやったりと心で拳を握る。

「下の口は……私ですよ」

 リカルドの性器を含んだラズの腰を持ち上げて、ウィスランドがきっぱりと宣言した。

「え……?」

 下の口、と言われて一瞬耳を疑った。そう言えばさっきもそんな事を言っていたなと思い出す。尻が開かれ、ラズがさきほどまでウィスランドを受け入れていた場所に舌が伸ばされる。

「ラズッ……!」
「ヒャッ!」

 リカルドの美声に紛れて尻を舐められたラズも声を上げた。

「ラズ、握りしめるな――」

 ウィスランドが孔を舐め奥へと舌を突き刺すと、ラズの身体はビクリと反応してリカルドを握る指に力が入る。

「あ……そんなところ――っ」

 リカルドの竿をギュッと握りしめたラズの声に甘い響きが混じり始めるとリカルドの怒張が更に膨らんでいく。

「んっ……ふ……大きい……」

 ラズが頑張って口いっぱいに咥えても半分も入らない。

「ラズ、無理をしなくていい」
「大丈夫、んあっ!」

 ラズは上の部分を舐めながら、指を使って刺激を与えた。ビクンビクンと凶悪なソレが揺れてラズの口の中で暴れた。ラズは指も使うウィスランドからの刺激にガクガクと身体を震わせながらリカルドの一物の先を吸い込んだ。

「ラズ、口を離せ」

 そう言いながらもリカルドが腰を突き出す。ラズが顔を引く余裕もなく、リカルドはラズの髪を握りながら達った。喉の奥にリカルドの快楽の証を受け止めて、ラズは咳き込んだ。


「んんっ! ケホッ!」
「大丈夫ですか?」
 
 背中をさすってくれるウィスランドが水を渡してくれたので、それで口の中のものを飲み込んだ。

「すまん、つい……」

 リカルドが顔を顰めたので、嫌だったのだろうかとラズは不安になった。ラズだってウィスランドが飲もうとしていたと聞いたとき、思いっきり引いた自覚がある。
 ラズの唇を親指で拭いたリカルドは申し訳なさそうに詫びた。
 リカルドがラズの刺激で達ってくれて嬉しかったし、無意識に突き出してしまう気持ちもわかる。謝られることは一つもない。

「謝らなくてもいいです」
「ハハッ、ラズが可愛くて色っぽくてもたなかったんだ」

 リカルドは照れたように笑い、それにラズもつられて笑った。

「もう復活してるのですか!」

 ウィスランドが恐ろしいものでも見たような声を出し、ラズもつられて視線を下げた。目の前には今抜いたはずのソレが、少しだけ凶悪感が薄れて勃っている。

「あれ……?」

 ラズは思わず瞬いた。達ったのが幻だったのかと思った。

「本当にあなたは!」

 ウィスランドの呆れたような声にむっとリカルドが不服そうな顔をする。

「お前も……、同じじゃないか」

 振り向くと、ウィスランドのソレも勃っていた。

「まぁ、仕方ないですよね。ラズが魅力的すぎるんです」

 竜の血、その精力の強さをラズは感じとらずにはいられなかった。

  

   
しおりを挟む
https://comicomi-studio.com/goods/detail/171091 通販してます
感想 5

あなたにおすすめの小説

愛しの妻は黒の魔王!?

ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」 ――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。 皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。 身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。 魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。 表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます! 11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO
BL
【完結】そのうち番外編更新予定。伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷うだけだ┉。僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げた。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなの何で!? ※R対象話には『*』マーク付けますが、後半付近まで出て来ない予定です。

監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?

爺誤
BL
気づいたら美女な妹とともに監獄行きを宣告されていた俺。どうも力の強い魔法使いらしいんだけど、魔法を封じられたと同時に記憶や自我な一部を失った模様だ。封じられているにもかかわらず使えた魔法で、なんとか妹は逃したものの、俺は離島の監獄送りに。いちおう貴族扱いで独房に入れられていたけれど、綺麗どころのない監獄で俺に目をつけた男がいた。仕方ない、妹に似ているなら俺も絶世の美形なのだろうから(鏡が見たい)

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。  

処理中です...