騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください

東院さち

文字の大きさ
上 下
48 / 62

リカルドは沈黙した

しおりを挟む
「んっ……ふ……」

 くすぐったい。時折甘噛みされると少し痛いけれど、ウィスランドはラズの反応を怜悧な目で観察しながら臍まで辿り着いた。ラズが大事な場所を隠していた手をキスする。半身をリカルドに預けていたラズは、その目の意図を察して目を逸らした。

「ラズ?」

 ウィスランドの望みはその奥にある。

「……恥ずかしい……」
「羞恥に震えるあなたも可愛いですよ」

 手を退けると、旋毛あたりをリカルドが「えらいな」とキスをした。

「だって……」

 ラズのそれは小ぶりであまり見られたくないのだ。けれどそういうわけにはいかないこともわかっているし、二人なら馬鹿にしないとも思っている。
 ラズの葛藤や羞恥を知ってか知らずか、ウィスランドは嬉しそうにソレを見つめた。ウィスランドは俯くと頬にかかる自分の髪を掻き上げて、フルフルと震えているソレを横からパクリと口に咥えた。

「ひゃあ!」

 まさか自分のソレが食べられてしまうとは思ったこともない。ラズは人生で放ったことのない類いの悲鳴を上げた。

「どうだ?」
「んんっいい……です」

 聞かないで……、そして喋らないで。ラズは逃げたくなって腰を揺すった。

「もっとして欲しいって言ってるぞ」
「ちがっ! あんっ……ふ……」

 後ろにリカルドがいてラズのソファのように座っているから逃げられるわけがなかった。モジモジと動くのは気持ちがいいからだ。ウィスランドの繊細な美しさをもつ横顔を眺めながらラズは初めての感覚に身もだえながらシーツを掴んだ。

「ラズ、可愛い……」

 リカルドは自分の声の威力を知っているのか、ことさらラズの耳元で囁く。

「アッ! 耳元で囁くのは……だめっ」
「ラズ、耳たぶまで可愛い」

 止めを差すとばかりにリカルドはラズの耳の中を舐めた。ガサッと鼓膜が鳴る。

「ああっ! あ……あ……ん……」

 ラズの限界は早かった。

「リカルド! 酷いです!」

 ウィスランドが吼えた。
 ラズは気まずい思いでウィスランドを見上げた。ウィスランドの顔に白濁がついている。

「ご、ごめんなさい……。顔にっ」

 潔癖症のウィスランドに何てことをしてしまったのだろうとラズは申し訳なさで涙が出てきた。

「悪かった……」

 ラズの涙をみたリカルドは手を伸ばし、ウィスランドの頬についた飛沫を指で掬って口に入れた。

「青いな……」
「舐めるな! ああっ、ラズ泣かないでください。大丈夫です。飲むつもりだったんですから。ツルッと口から飛び出してしまって……」
「でもっ!」

 でもと言いながら、ラズは引いた。飲むつもりだったの? 潔癖症じゃなかったのかなとグルグルと考えが巡る。

「ラズは悪くないんです。貴実は敏感だと言いますからね。いくらでも飛ばしていいのですよ。リカルドはちょっと大人しくしていてください」

 ウィスランドの目が冷たく鈍く光った。詠唱は聞いたことのないもので、ラズは何が起きたのかと視線を彷徨わせた。魔法が展開されたことがわかったが、やはり変化はない。ラズは、もしかしてと振り向いた。リカルドも特に変わったところはないけれど、目を細めて不満そうな顔をしている。

「……」
「口が開けないだけなので、安心してください」

 そんな魔法まであるのかと、ラズは優秀すぎるウィスランドを憧れの目で見上げた。

「ラズ、魔法が気になるのはわかりますけど、今はこっちに集中してくださいね」

 そう言って、ウィスランドはラズの膝裏を持ち上げる。その脚をリカルドが受け取り、ウィスランドに見せつけるようにラズの脚を開いて見せた。
 ラズは熱い視線を後ろの孔に感じた。そこで繋がることはわかっているが、自分の中でもそうそう目にする場所ではない。

「震えてますね」

 ウィスランドは自分の頬についたラズの精液を指ですくい、ギュッと力のはいったそこになすりつけた。それだけでラズの小さな性器はピクリと反応する。

「ウィス――」

 期待と不安を滲ませて、ラズはウィスランドの名を呼んだ。

「ラズのここに触るのは……私が最初です」

 ウィスランドはラズを安心させるように笑顔を浮かべると、人差し指を目の前にある小さな孔に差し挿れた。
 

しおりを挟む
https://comicomi-studio.com/goods/detail/171091 通販してます
感想 5

あなたにおすすめの小説

愛しの妻は黒の魔王!?

ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」 ――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。 皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。 身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。 魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。 表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます! 11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?

爺誤
BL
気づいたら美女な妹とともに監獄行きを宣告されていた俺。どうも力の強い魔法使いらしいんだけど、魔法を封じられたと同時に記憶や自我な一部を失った模様だ。封じられているにもかかわらず使えた魔法で、なんとか妹は逃したものの、俺は離島の監獄送りに。いちおう貴族扱いで独房に入れられていたけれど、綺麗どころのない監獄で俺に目をつけた男がいた。仕方ない、妹に似ているなら俺も絶世の美形なのだろうから(鏡が見たい)

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

ゲーム世界の貴族A(=俺)

猫宮乾
BL
 妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

ゲームの世界はどこいった?

水場奨
BL
小さな時から夢に見る、ゲームという世界。 そこで僕はあっという間に消される悪役だったはずなのに、気がついたらちゃんと大人になっていた。 あれ?ゲームの世界、どこいった? ムーン様でも公開しています

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...